ミュージカル『最後の事件』稽古場レポート到着 3名のドイルと3名のホームズによる9通りの化学反応
ミュージカル『最後の事件』稽古場より (撮影:西村淳)

ミュージカル『最後の事件』が、2026年2月7日(土) から3月8日(日) まで東京・博品館劇場、3月13日(金) から16日(月) まで大阪・サンケイホールブリーゼで上演される。このたび、研ぎ澄まされた集中力と静かな熱気が漂う稽古場の空気を伝えるオフィシャルレポートが到着した。



本作は、アーサー・コナン・ドイルが1893年に発表した「最後の事件」をモチーフに創作された二人芝居。世界一有名な探偵のひとり「シャーロック・ホームズ」を生み出したドイルの知られざる心の内面と苦悩、そして彼にまつわる隠れた実話をもとに、ミュージカルとして新たに創作された作品だ。世界的な名探偵を生み出した彼が、なぜ自身のキャラクターと対立することになったのか。成功の裏にあった夢と葛藤の物語が、舞台上で明らかとなる。



アーサー・コナン・ドイル役、シャーロック・ホームズ役は、それぞれ3名の俳優が演じる。ドイル役の加藤和樹、矢崎広、髙橋颯、ホームズ役の渡辺大輔、太田基裕、糸川耀士郎と、個性豊かな俳優陣が集結した。本作の魅力のひとつは、キャストの組み合わせによって生まれる化学反応。シンプルな二人芝居だからこそ俳優たちの魅力が鮮烈に浮き上がる。6名の実力派俳優たちが物語に無限の表情を与え命を吹き込み、脚本・作詞・演出であるソン・ジェジュンがキャスト個々の強みを活かし、唯一無二の緊張感と濃密な空間を創り出す。



稽古場レポート

初日まで約2週間となった1月下旬、全キャスト揃っての稽古が公開された。トリプルキャストによる9通りの組み合わせがある本作。今日はどんなアーサー・コナン・ドイルとシャーロック・ホームズとなるのか──。



いよいよ稽古スタート。

まずはドイルがホームズを生み出すシーンから。演じるは、加藤和樹×渡辺大輔。執筆デスクに座ってホームズの人物像を構築していく加藤ドイル。その姿は、今まさに冒険に出ようとしている少年のよう。一方、ドイルのペンから生まれてきた渡辺ホームズは、どっしりとした落ち着きを見せる。若々しく、そしてワクワクを抑えられない加藤ドイルに対し、名探偵の風格を備え、高慢ともとれる存在感を放つ渡辺ホームズ。何事にも動じない渡辺ホームズに羨望にも似た眼差しを向けながら、その周りを右に左にと動き回る加藤ドイル。ふたりが織りなす、このコントラストが面白い。なるほど、加藤×渡辺はこの方向で演じるのかと思いきや、あるやりとりでドイルは創造主としての冷静な一面を見せ、逆にホームズの感情が露わになる瞬間も。ドイルの思考の中に生きるホームズが、もしも現実世界に飛び出してきたら──。この物語の軸を見事に体現するドイルとホームズがそこにいた。



ミュージカル『最後の事件』稽古場レポート到着 3名のドイルと3名のホームズによる9通りの化学反応

加藤和樹
ミュージカル『最後の事件』稽古場レポート到着 3名のドイルと3名のホームズによる9通りの化学反応

渡辺大輔

続いては、ドイルとホームズのタッグによって次々と短編が生み出されていくシーン。

演じるは、矢崎広×太田基裕だ。加藤×渡辺によって披露されたシーンから時間が経過しているとはいえ、矢崎ドイルと太田ホームズを観ていると「親友」という言葉が頭に浮かんでくる。みずみずしさたっぷりの矢崎ドイルに、声で動きで、豊かな表情を見せる太田ホームズ。このシーンの稽古では、今日一番の笑いが起きた。ふたりの快進撃を表すがごとく、シャーロック・ホームズシリーズのタイトルが軽快に紹介されていくデュエット曲。この作品タイトルを、矢崎と太田は体で表現したのだ。これがまぁ、ドタバタで面白い。きっと、その場のひらめきで生まれてくるものなのだろう。矢崎は迷いなく、太田は途中から這う這うの体で。その全てが面白みに溢れており、クリエイティブスタッフ、他キャスト、さらには取材陣からも笑い声が漏れていた。今後、このナンバーの演出がどのように変化していくかはわからないが、期待せずにはいられない。



ミュージカル『最後の事件』稽古場レポート到着 3名のドイルと3名のホームズによる9通りの化学反応

矢崎広
ミュージカル『最後の事件』稽古場レポート到着 3名のドイルと3名のホームズによる9通りの化学反応

太田基裕

そんな笑いのシーンから一転、髙橋颯×糸川耀士郎によって披露されたのは緊迫の場面。

このふたり、休憩時間中も自席で台本と向き合う姿が強く印象に残っている。ドイルの仕掛けによって追い詰められていくホームズのソロナンバーでは、糸川が稽古後にふともらした「このシーンからはきっつい(笑)」の言葉どおり、ホームズの感情が爆発する。抑制の中にある昂り。いうなれば、“青い炎”だ。続くデュエットでは、髙橋ドイルと糸川ホームズが激しくぶつかり合う。極限とも思える険しさでホームズと対峙する髙橋ドイルからは、ある種の葛藤も見てとれる。これは意志か、固執か。果たして、ふたりが迎える結末とは──。



ミュージカル『最後の事件』稽古場レポート到着 3名のドイルと3名のホームズによる9通りの化学反応

髙橋颯
ミュージカル『最後の事件』稽古場レポート到着 3名のドイルと3名のホームズによる9通りの化学反応

糸川耀士郎

こうした稽古の間にクリエイティブ卓に視線を向けると、音楽監督の岩崎廉、歌唱指導の吉田純也の姿が。非常に複雑な構造になっている楽曲の数々(詳しくは、パンフレットに掲載される岩崎のメッセージをご覧いただきたい)。ふたりの音楽家が今作のミュージカルナンバーをどのように導いていくのか、こちらも期待が高まる。



稽古後、取材陣からはこんな声が聞こえてきた。

「どの組み合わせで観たらいいのか……」。筆者も心の中で大きく同意した。ここまで記してきたレポートは、ひとつの組み合わせによる、限定的なシーンの断片にすぎない。同じ組み合わせ──たとえば加藤ドイルと渡辺ホームズの人物像は、シーンが進むごとに変わっていくだろう。もちろん他の組み合わせもしかり。さらに、組み合わせが変わることでの変化も、同一コンビが公演を重ねることで生じる変化もあり得るだろう。



さまざまな年代・経歴のキャストがそれぞれのアプローチで役を構築し、真っ向からぶつかり合うミュージカル『最後の事件』。ぜひ、全ての組み合わせによる“対決”を目撃いただきたい。



撮影:西村淳



<公演情報>
ミュージカル『最後の事件』



脚本・作詞・演出:ソン・ジェジュン
作曲:ホン・ジョンイ



翻訳・訳詞・演出補:福田響志
音楽監督:岩崎廉
振付:松田尚子
歌唱指導:吉田純也



【キャスト】
アーサー・コナン・ドイル:加藤和樹、矢崎広、髙橋颯
シャーロック・ホームズ:渡辺大輔、太田基裕、糸川耀士郎



演奏:treetop(栗山梢、豊住舞、久保奈津実)



【東京公演】
2026年2月7日(土)~3月8日(日)
会場:博品館劇場



【大阪公演】
2026年3月13日(金)~16日(月)
会場:サンケイホールブリーゼ



関連リンク

チケット情報:
https://w.pia.jp/t/saigonojiken/(https://t.pia.jp/pia/event/event.do?eventBundleCd=b2563150&afid=P66)



公式サイト:
https://finalproblem.jp/

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