ボートレースからつ(佐賀県唐津市)

GⅠ開設72周年記念「全日本王者決定戦」

6月5日(木)~10日(火)開催





 ボートレースからつ(佐賀県唐津市)のGⅠ開設72周年記念「全日本王者決定戦」(優勝賞金1200万円)が6月5日、開幕する。10日までの6日間開催。

 地元の大エース峰竜太を筆頭に、池田浩二、桐生順平、西山貴浩など昨年のグランプリ組が大挙参戦する超豪華なメンバー構成。


 中でも注目は峰も含めた地元佐賀勢で、峰と並んでSGウイナーの宮地元輝、定松勇樹、深川真二に、山田康二、末永和也、古賀繁輝、上野真之介、将と健の安河内兄弟、常住蓮と世代構成も好バランスの強力布陣。

 その中から、当地周年へ並々ならぬ思いを持つ宮地に話を聞いた。

<目次>



■地元周年への熱い想い



 ――2025年の頂点を目指した戦いも折り返し地点。前半を振り返っていかがですか?

 「今年はチャレンジカップ(11月、福岡)の優勝を最大の目標にしているんですけど、そのためにはドリーム戦からのスタートが条件。今(5月25日現在)獲得賞金額は3位なので、ベストじゃないけどベターな成績は残せているかなと思います」

 ――今年最初のSGが地元九州でのクラシック(3月、若松)。そこも今年序盤の目標の一つに掲げていましたが、6月のこのからつ周年はどんな位置付けですか?

 「もちろん重要視しています。地元の周年は、レーサー人生の中で一度は取らないといけないタイトルだと思っていますから」



 ――からつの周年と言えば65周年記念(2018年4月)で優出しましたが結果はF。苦い思い出ですね…。

 「6号艇で前付けに行ってFだったんで、いろいろ批判を受けました。大きな金額の返還になったので、施行者さんには迷惑をかけてしまったし、Fは本当に申し訳なかったと思います。ただレースに対しては自分の中で一切の後悔はありません」

 ――あの65周年は、全国の周年記念で初めての優出でした。

 「優勝できなかったので正解とは言わないけど、後悔はないんですよ。SGやGⅠを勝った今の自分ならああいうレースはしないかもしれないけど、あの当時の自分は一般戦で下積みしてようやくGⅠに出てきた実績のない若手。
これが最初で最後のGⅠの優勝戦になるかもしれないと思っていたし、自分がGⅠの常連になるためにはタイトルが必要。リスクを負ってでも勝負に出る必要があると思っていましたからね」

 ――その苦い結果があるからこそ勝ちたい?

 「あのレースがなくても、自分の中でからつの周年は勝たなければならないレースの一つです。自分は正直に言って、オールスターやグランプリを勝ちたいとか個別のタイトルへの意欲は全くないんですよ。問題はどこのレース場での開催なのかという〝場所〟。僕はからつのSG、GⅠと福岡のSG、GⅠを勝つのがレーサー人生の最大の目標。グランプリの場所がからつや福岡なら死ぬ気で取りに行きますけどね」



 ――からつと福岡への思い入れの理由は何があるんでしょうか?

 「地元のからつは一番練習をしたし、一番お世話になった。それが大きいですね。弱い時から温かく見守ってもらった。それにあのGⅠの優勝戦で迷惑をかけたので、やっぱり少しでも恩返ししたい。その思いはずっと持っています。福岡は、福岡市に今住んでいることもあって、友人や知人も多くてやっぱり応援してくれる人が多い。それに福岡はピットがスタンドの対岸にあるので、ファンがたくさん来ている様子が見えるんですよ。
レーサーとしては燃えるものがあります」

 ――地元からつの地の利は大きいですか。

 「水面は穏やかなことが多いので地の利が出にくいレース場ではあるんですけど、やっぱり走り方はあります。『ホーム追い風が基本』という意識で調整もレースもやる必要があります。一番練習している水面で、地の利も誰よりも一番あるとは思っていますよ

■ファンを沸かせるレースをしていきたい



 ――からつ周年の直前はまるがめのオールスター。今年もファン投票で多くの票を集めて上位での出場でしたね。

 「本当にありがたい話です。この票に報いたいですよね。ボートレースはギャンブルであると同時にエンターテインメントでもあるので、ファンを沸かせるレースをしていきたいですね」



 ――ファンを沸かせるレースとは?

 「ファンがレースを見ていて面白いと思うレースですね。ファンが楽しくないと面白くない。今は昔と違ってイン逃げばかりになってしまっているけど、この流れを崩したい。だってレースがイン逃げばかりになったら、恐らくこの業界は廃れる。それはギャンブルとしてもダメだと思う」

 ――SG、GⅠ、GⅡで5回の優勝がありますが、インは一度だけ。ほか4回はイン以外です。


 「予選を圧倒して最後にインで勝てるのがいいんですけどね(笑)。でも、毎回毎回そうはならない。やっぱりイン以外で優出する可能性の方が多いので、イン以外で勝てる選手でありたいとは思いますよ」



 ――最後に意気込みを。

 「からつは本当に大事なレース場。気合の入ったレースを見せるので、応援してください」

■プロフィル





◆宮地元輝(みやち・もとき)

 1986年11月9日生まれの38歳。佐賀県神埼市出身。神埼高卒。2007年6月デビューの100期。同期は桐生順平、川野芽唯、平高奈菜ら。養成所卒業後は体重増でデビューがままならないなどなかなか芽が出ず、芦屋でのデビュー初勝利まで1年8カ月を要した。ただ、13年1月のびわこでのデビュー初優勝を飾ると、急激に成績を伸ばしてA1に定着。22年9月の福岡周年でGⅠ初Vを挙げると、同年12月の大村グランプリシリーズでSG初優出初V。
昨年は最高峰の一戦グランプリにも初出場し、トップレーサーの仲間入りを果たした。通算145優出37Vで、そのうち地元からつでは7Vと抜群の実績を誇る。生涯獲得賞金は5億7430万円。169センチ、56キロ、A型。※成績は5月25日現在


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