エンタメの主人公も、脚本を書いて映画を撮ることもできる生粋の映画人、ジョージ・クルーニーの戸田奈津子の思い出
エンタメの主人公も、脚本を書いて映画を撮ることもできる生粋の映画人、ジョージ・クルーニーの戸田奈津子の思い出

字幕翻訳の第一人者・戸田奈津子さんは、学生時代から熱心に劇場通いをしてきた生粋の映画好き。彼女が愛してきたスターの見るべき1本を、長場雄さんの作品付きで紹介する。

明るいエンタメから本格社会派まで

通訳を担当したのは2~3回ほどしかありませんが、とにかくものすごく頭がいい親分肌という印象です。短いインタビューの中でもちゃんと笑わせて楽しませてくれるし、言いたいことはビシッと伝える、そのメリハリがすごいんです。

『オーシャンズ』シリーズで共演したブラッド・ピットやマット・デイモンたちからの信頼はすごいわね。かなり長い下積み時期を経た、酸いも甘いも知るプロフェッショナルだと思います。

彼の一番の実力がわかる映画は、監督と脚本も務めた『グッドナイト&グッドラック』(2005)ね。マッカーシズム(赤狩り)が吹き荒れる1950年代を舞台にした、興味深い政治ドラマで、意識の高い彼らしい作品だと思いました。

『オーシャンズ』シリーズのような明るくて楽しい映画もいいけれど、こういう社会性のある映画も作ることができる。幅の広さと才能を感じる、とても魅力的な映画人です。

『グッドナイト&グッドラック』(2005) Good Night, and Good Luck. 上映時間:1時間33分/アメリカ

1950年代アメリカ。マッカーシー上院議員による"赤狩り"が数千人に及ぶ国民から職を奪い、恐怖が全米を覆っていた。報復を恐れるマスコミが批判を控える中、議員の真の姿を報じたのは、CBSの人気キャスターであるエド・マロー(デヴィッド・ストラザーン)と、番組スタッフたちだった。

ジョージ・クルーニー

1961年5月6日生まれ、アメリカ・ケンタッキー州レキシントン出身。

父はニュース・キャスターのニック・クルーニー、叔母は歌手のローズマリー・クルーニー。1978年にテレビドラマで俳優デビューし、1994年からドラマ『ER緊急救命室』にレギュラー出演し、広くその名を知られるように。主な出演作は『アウト・オブ・サイト』(1998)『スリー・キングス』(1999)『オーシャンズ』シリーズ(2001、2005、2007)『シリアナ』(2005)、『マイレージ、マイライフ』(2009)『ファミリー・ツリー』(2011)など。『コンフェッション』(2002)で監督デビューを果たし、『グッドナイト&グッドラック』(2005)『駆け引きは、恋のはじまり』(2008)『スーパー・チューズデー~正義を売った日~』(2011)なども手がける。

語り/戸田奈津子 アートワーク/長場雄 文/松山梢

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