
活動休止や短期留学もありながら、今年でデビュー20周年を迎えた原幹恵。彼女が世に出るきっかけとなったグラビア活動について振り返ってもらった。
先輩ギャルに「全然かわいくないじゃん」と陰口
――16歳のときに女優に憧れて「第9回全日本国民的美少女コンテスト」に応募。グラビア賞を獲得して芸能界デビューとなりました。
「グラビアってなんだろ?」みたいなところから入りましたね。なんとなくは知ってましたけど、自分の体にコンプレックスがあったし、「賞を取れたのはうれしいけど、グラビア賞か。ちょっと嫌だな……」みたいな。
――どのあたりがコンプレックス?
自分の胸が周りと比べてボリュームがあったので。高校1年生でFカップくらいはあったのかな。それで事務所の方が考慮してくれてコンテスト後1年くらいはグラビア活動はせず、アイドルグループをやってました。

――では高2くらいからグラビア活動を?
そうですね。最初は水着になることがすごく恥ずかしかったんですよ。バスローブで現場に入って、それを脱いで水着になる瞬間が。
――高校生じゃそりゃそうですよね…。
でもどんどん慣れていって、気がついたらバスローブなしで水着のまま「お願いしまーす!」って現場に入るようになってました(笑)。

――適応力が高い(笑)。しかし、同級生や地元の友人にも自分の水着姿を見られるわけですよね。
男子の目線というのは気になりますよね……。地元は新潟の田舎なので、デビューしてから直接何かを言われるわけではないけど、何か視線を感じるみたいな。
駅で友達と一緒に電車を待ってたら、ギャルの先輩たちがこっちを見てて、「ほら、あの子だよ」「全然かわいくないじゃん」「あなたのほうがかわいいよ」みたいなやりとりが聞こえてきたこともありました。それはイヤでしたね。
「“ヤンサンっ子”になれてうれしかった」
――グラビア自体で辛かったことは?
いや、もうグラビアは本当に楽しくて! 私が高校生だった当時ってすごくいい時代で、まだまだ海外ロケにいっぱい行けたんですよ。学業優先とはいえ、2週間に3回もグアムに行ったりしてました。だから楽しい思い出がいっぱいです。
――それは、うらやましい!
撮影現場ってメイクさん、スタイリストさん、カメラマンさんと和気あいあいと楽しく仕事をして、その場所場所でまったく違う自分に出会えるというか、知らない自分を写真に収めてもらえるんですよ。
それを見ると「私ってこんな一面もあるんだ」って思えて、それまでコンプレックスだと思っていた胸も「これって私の武器なんだ」と思えるようになりました。

――本当に楽しんで撮影をしていたんですね。
辛かったことを強いて挙げるなら、やっぱりダイエットとか体形の維持でしょうか。
――過激すぎて着たくない水着はありましたか?
雑誌ではなく写真集だと事務所、編集の方、カメラマンさんとどういう作品を作りたいかって入念に打ち合わせをするんですよ。
“手ブラ”など少し露出の多い衣装もありましたが、自分の作品の中で“新しい自分”にチャレンジしようと話し合った結果、そういう撮影になるので抵抗はありませんでした。

――グラビアアイドルとしてうれしかったことは?
やっぱり“ヤンサンっ子”になれたときはめちゃくちゃうれしかったですね。
――ヤンサンっ子?
「ヤングサンデー」(2008年休刊)に定期的に出るグラビアアイドルのことです。あれ、ヤンサンっ子だったかな? わからない。私が勝手に言ってただけかも(笑)。
当時は少年誌、青年誌は専属じゃないですけど、「この雑誌にしか出られない」という暗黙のルールみたいなのがあったんですよ。それが私はヤンサンだったんです。ヤンサンに出るようになって、グラビアアイドルとしてちょっと成長できたかなと思えるようになりました。
今の年齢の体で何かを残せたら
――そんな大好きなグラビアのお仕事も、2017年、29歳のタイミングで引退しています。
30歳を目前して、年齢的にも(キャリアを)切り替えやすいタイミングといいますか、これからはお芝居をがんばっていこうって思った年齢だったんでしょうね、たぶん。16歳から13年間もやってましたし。
――それだけやっていたら「もういいかな」と?
「もういいかな」というよりは「もう自分をグラビアで表現することがなくなった」みたいな感覚が大きかったかもしれないです。こんな衣装も着たし、あんな場所に行って撮影もしたし、こういう雰囲気の写真ももう全部「経験済み」になったというか。私が見せられることはもうないかもと思ったのもありますね。

――しかし、まだ原さんのグラビアを見たい人はたくさんいるのでは。
インスタのコメントでも「また見たいです」ってコメントはけっこういただきます。
――戻りたいという気持ちは?
今年のお正月に実家に帰ったときに今までの自分の写真集を全部見返したんですよ。そうしたら、その年代ごとに体形、髪型、雰囲気が全然違っていて。だったら今の自分の年齢で何かひとつ、かたちに残してもいいのかな、と思ったりはしましたね。
グラビアに戻りたいというよりは、今の自分を収める作品をフォトブックくらいのボリュームでできたらいいなと。
バスト美容液のために起業を決意
――もし実現したらファンは喜びますね。
ただ、私も自分の体を見ていて、「もっとこうしたほうがいいな」と思うようになってきました。やっぱり年齢とともに体って変わってくるものなんですよ。
今までのケアじゃダメかもってなったときに、バストに通じる何かをやりたいなと思って、今は自分でバスト美容液をつくってるんです。

――ご自身で?
そうです。2021年くらいに商品開発のために起業して、現在製作中です。
――実業家になっていたんですね!
はい(笑)。バストって大きくしたくても脂肪なので難しいんですよ。そこでバスト美容液で肌の質感を変えてフワフワした柔らかいバストをつくるという商品を現在、製作中です。いつ発売できるかはちょっとわからないんですけど。
――すべてひとりでやられてるんですか?
はい。どこかの企業とのコラボでもないですし、自分でOEM(他社ブランド製品を製造する会社)先を探して、「こういう成分を入れたくて」とかイチから全部ひとりでやってるのでめちゃくちゃ時間がかかっちゃっていて……。
――では完成したら、そのバスト美容液でケアした体でのフォトブック……期待してます!
がんばります(笑)。
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取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班
撮影/石田壮一