四谷大塚の現役男性講師が小学生女児の下半身などを盗撮し、“ロリコン仲間”とのSNSに住所や名前とともにバラまき。女児の母は絶句し、「被害届を出します」【2023スクープ記事 5位】

2023年度(1月~12月)に反響の大きかったスクープ記事ベスト10をお届けする。第5位は、現役の塾講師が教え子を盗撮していたことをスクープした記事だった(初公開日:2023年8月11日)。

中学受験塾として高い進学実績を誇る「四谷大塚」(本部・東京都中野区)の現役男性講師が、ローアングルで女児の下半身を狙った盗撮動画を繰り返し撮影。この動画に加え、女児の実名や連絡先などを小児性愛者仲間が出入りするSNSに掲載していたことが集英社オンラインの調べでわかった。取材班は投稿された複数の動画だけでなく、仲間に向けて「輪姦したい」などと発信した講師の書き込みも入手した。被害児童の保護者は「絶対に許さない」と激昂、被害届を出す方針だ。

2023年度(1月~12月)に反響の大きかったスクープ記事ベスト10をお届けする。第5位は、現役の塾講師が教え子を盗撮していたことをスクープした記事だった。

(初公開日:2023年8月11日。記事は公開日の状況。ご注意ください)

SNSに「近くで待ち伏せしたら、本物のAちゃんと出会えるかもです」

来年、受験を控える生徒にとって正念場ともいえる夏期講習がおこなわれる8月某日、男はこの日も教壇に立っていたー。

四谷大塚の都内西部にある教室で講師を務めている、20代の男性講師Mは、教室で学習机の下から盗撮した女子児童の股間の動画などを、小児性愛者が集うサイトやSNSに繰り返し投稿していた。

四谷大塚の現役男性講師が小学生女児の下半身などを盗撮し、“ロリコン仲間”とのSNSに住所や名前とともにバラまき。女児の母は絶句し、「被害届を出します」【2023スクープ記事 5位】

塾から帰宅するM

なかでも、教室の床に小学4年生の女児Aさんを体育座りさせて撮影した4分53秒の動画は、Mの異常さが際立っている。MはこのAさんの成績がふるわない理由を「やる気の問題」として、Aさんに「やる気を出して頑張らないとお仕置きする」と宣言し、自分が設定した「お仕置き」の内容を口頭で復唱させている。

以下は、Mと女児Aさんの動画内でのやり取りの一部だ。



M「名前、学年。これをしなければ先生にこれをしてもらいます」

A「〇年のAです。7月までやる気を出して頑張らないとお仕置きをされます」

M「もう一回いきましょうか。まず、お仕置きの内容と、あと、誰にされるのかと。ま、誰も聞かないし。誰も聞いてないから」

A「えっと、〇年のAです。
7月まで頑張らなければお仕置きをされます。お仕置きの内容は‥‥」

このあと、Mは「お仕置きの内容」を復唱させる形で、Aさんに卑猥な言葉を発言させている。

四谷大塚の現役男性講師が小学生女児の下半身などを盗撮し、“ロリコン仲間”とのSNSに住所や名前とともにバラまき。女児の母は絶句し、「被害届を出します」【2023スクープ記事 5位】

Mは複数の女児を個別で呼び出し、動画を撮影していた(知人提供)



Mはこれらの動画を「グループ外流出厳禁」としながら、SNSやサイトに投稿。Aさんにおいては、実名、住所や小学校名までもさらし、「家の近くで待ち伏せしたら、本物のAちゃんと出会えるかもです」と“仲間”たちにけしかけ、「イタズラ電話をかけたい人はあらかじめご相談を」と保護者の携帯電話番号まで書き込んでいる。

四谷大塚の現役男性講師が小学生女児の下半身などを盗撮し、“ロリコン仲間”とのSNSに住所や名前とともにバラまき。女児の母は絶句し、「被害届を出します」【2023スクープ記事 5位】

MがSNSに投稿した塾生の個人情報(知人提供)

MのSNSを知る知人男性から提供された動画内容に衝撃を受けた取材班はまず、個人情報をさらされている女子児童Aさんの保護者に実態を伝えることにした。

保護者は被害届を出し、厳正な刑事処分を求めていくと明言

Aさんの母親は事情を聞くと、非常に慌てた様子で半ばパニックになりかけた。件の動画を見せると、ときおり声を荒げて興奮し、「最低ですよ」と繰り返し、涙を流した。



取材班は動画に映り込んでいる撮影者の映像や、他の講師との会話などからMを特定し、母親に面識があるかをたずねた。

「まじですか……。あります。面談で……M先生……、そうなの……最低ですね。これは最低ですよね。ちょっと1点いいですか? 何もされてはないんですか、娘は。
娘は何もされてないんですよね?」

取材班はその場で、母親にMの顔写真を見せ、確認を求めた。

四谷大塚の現役男性講師が小学生女児の下半身などを盗撮し、“ロリコン仲間”とのSNSに住所や名前とともにバラまき。女児の母は絶句し、「被害届を出します」【2023スクープ記事 5位】

塾から帰宅する途中のM

「合ってます。100%これです」

そう答え、問題の4分53秒の動画を、母親は食い入るようにさらに見つめた。

「最低ですよ…最低ですよ。この動画をネットに載せてたってことですよね? もしかしたら住所わかってるんだから本当に襲われたりとかもありえますよね? もう本当に、本当に。これどれぐらい続きます? こんなことをずっとAは言わせられてるんですか?」

Aさんは今年になってから四谷大塚に通い始めたところで、Mが担任だったという。



「担任で理科の先生なんです。算数とか国語の先生もいるんですが、居残りのときなどは(教科に関係なく)M先生が見てくれてたんです。すごく遅い時間まで居残りになったこともあるんですが、でもそれはAが終わらなかったからと聞いていました。私も何度かお電話と面談で会ったことがあるんですけど、てっきり熱心でいい先生だと……」

また、Aさんと同じく、SNSで住所をさらされた別の女児の母親に該当画像を見せると、絶句し、声を震わせた。

「ホントにM先生ですか? 娘が勉強の相談をすると熱心に聞いてくれ、真っ先に行動してくれる先生なんです。本当に信じられない、なんてことを…」

ある母親はショックを受けながらも、被害届を出すことを明言、厳正な刑事処分を求めていくという。

この塾講師Mや、雇用主の四谷大塚は、実際にどの程度の罪に問われる可能性があるのか。
インターネットに関わる民事刑事の紛争や児童買春、児童ポルノに係わる法律に詳しい奥村徹弁護士(大阪弁護士会)に聞いてみた。

「お聞きした内容で刑事罰に問うとすれば、地域にもよりますが、迷惑防止条例違反を適用できる可能性があります。このところ顕在化しているアスリートの盗撮動画問題と一緒で、胸や股間部分をクローズアップするような、撮られて恥ずかしい画像であれば検挙できます。今年の3月にも全国女子駅伝で、出場した選手の下半身を望遠レンズなどで執拗に撮影したのは、卑猥な意図が明らかだとして、京都府警が撮影者の男を府迷惑防止条例の疑いで書類送検し、罰金刑になりました」

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Mが投稿した塾内の別の動画。やはりローアングルで撮影されたり、女児にワイセツな言葉をいわせているシーンもあった(知人提供)

条例は地域ごとに異なるので一概にはまとめられないが、迷惑防止条例は通常、公共の場所を前提としている。だが現在は、学校の教室といった限定された場所でも適用する方向に進んでいるという。
奥村弁護士が続ける。

「ですから、塾の教室内での盗撮も、迷惑防止条例に問える可能性があります。逆に学校の教室等を規制していない地域では、迷惑防止条例に問えない可能性もあります。懲役や罰金などの罰則はそれぞれ都道府県によって異なります」

都の迷惑防止条例違反だけでなく、撮影罪の可能性も…

今回の事件の舞台である東京都の迷惑防止条例の「盗撮」にかかる部分は、学校を含んだ不特定多数が利用したり出入りする場所を対象としており、1年以下の懲役または100万円以下の罰金、常習の場合は2年以下の懲役などの罰則を定めている。

写真の内容が「わいせつ」と断定できなければ、画像の公表や販売等の行為があっても「わいせつ物頒布等罪」などに問うのは難しいという。しかし、今回のMの所業はさらなる違法行為を含んでいる可能性があると、奥村弁護士は語る。

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自習室でもMは盗撮を繰り返していた(知人提供)

「画像や名前や電話番号をネットでばらまくという行為について、本人や保護者が名誉毀損罪で刑事告訴することも可能です。また、お聞きしている範囲では、個人情報とともに犯意を促すようなことが書いてあり、それを読んだ人が実際にそこに行って住居侵入やわいせつ行為に着手したら、『教唆』での処罰も可能です。また、住所や画像をさらされたことを被害者が知り、わかったうえで本人と対峙して怖い思いをした場合などは脅迫行為で問える可能性もあります。
さらに撮影されたのが今年の7月13日以降であれば撮影罪を規定する『性的姿態撮影等処罰法』が施行されているので、そちらで問える可能性もあります」

法的手段を刑事に限らなければ、適用範囲は格段に広がる。

「民事であれば、そもそもそんな撮影は承諾してないとして肖像権を主張して損害賠償を問うことができます。また、塾の使用者責任を問うことも可能です。授業中や塾の教室内で行われることには使用者として責任がありますから」

いずれにしても、単なる「マニア」では片付けられない人物を雇用し、児童を危険な目にさらしてきた四谷大塚の責任も問われるだろう。

四谷大塚の現役男性講師が小学生女児の下半身などを盗撮し、“ロリコン仲間”とのSNSに住所や名前とともにバラまき。女児の母は絶句し、「被害届を出します」【2023スクープ記事 5位】

四谷大塚、本部がある中野校舎(撮影/集英社オンライン)

実はMは、SNSに「自分は性犯罪の前科がある」といった内容の文面を投稿している。
政府は現在、子供と接する職場での就労希望者に、性犯罪歴がないことの証明を求める制度の創設を検討しているが、今秋提出見込みの関連法案では学習塾やスポーツクラブは対象から外される見通しとなっており、再考が迫られることは必至だ。

♯2では集英社オンラインが問題の動画を入手した経緯と共に、Mがおこなってきた投稿内容を詳報する。

取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班