
恥ずかしい時、悔しい時、モヤモヤする時……思わずネガティブな気持ちになったときこそ、読書で心をやすらげてみませんか? あの人・この人に聞いてみた、落ち込んだ時のためのブックガイド・エッセイです。
大きな声で言えないのだけれど、クリスマスが苦手だ。
今でも目に焼き付いているのは、クリスマスシーズンにテレビをつけるとケンタッキーフライドチキンのCMが流れていて、子どもたちがおいしそうに鶏肉を頬張る姿。テレビに手を突っ込みたくなるくらい食べてみたいのに、私はこれを食べたら湿疹が出るのか…という切なさが胸いっぱいに広がった。いわずもがな、乳製品と砂糖たっぷりのクリスマスケーキも食べられない。食べられないものだらけのクリスマスは、食いしん坊の私にとってとっとと過ぎ去ってほしい期間になった。
大人になってからもその気持ちはあまり変わらず、クリスマスムードに対して疎外感を覚える。私はなぜこんなにもクリスマスが苦手なんだろう? と不思議に思う。そんなもやもやする気持ちを照らしてくれた2冊の本をご紹介したい。
1冊目は星野概念さんの『こころをそのまま感じられたら』だ。

『こころをそのまま感じられたら』
星野概念/著(講談社)
星野さんは最近、私と一緒に『自分のために料理を作る 自炊からはじまる「ケア」の話』という本を出した。
2冊目は伊藤絵美さんによる『カウンセラーはこんなセルフケアをやってきた』をご紹介したい。

『カウンセラーはこんなセルフケアをやってきた』
伊藤絵美/著(晶文社)
この本は臨床心理士である著者が自身の不安や不調(ギャンブル依存、共依存の母親との関係)などに対して実践してきたことをまとめた一冊。この本に出てくる「自動思考」という概念を初めて知った時、あぁ、すごく楽になれるかも! と思った。
料理家という仕事柄、クリスマスから逃げることはできず、12月になるとクリスマスらしいレシピを出したくなる。でも別にそれでいいのだ。本場さながらのクリスマスのお祝いをしなくても、なんかそわそわしてしまうクリスマスシーズンに人と会う言い訳になればいいと、この2冊がそう思わせてくれた。