日本人がパンを食べる理想の頻度は月に2~4回? お米を食べたら太るは本当? 知っておきたい主食の栄養学
日本人がパンを食べる理想の頻度は月に2~4回? お米を食べたら太るは本当? 知っておきたい主食の栄養学

炊き立ての白米や香ばしいパン…おいしい主食はついつい食べ過ぎてしまいがち。だが、こうした炭水化物を食べ過ぎてしまうと、みるみる太ってしまうことはいまや誰もが知っている。

けれど、主食には食べてもいい種類や知っておくと安心な食べる適量があることをご存知だろうか。

女性のための栄養学をYouTubeで発信するあこさんの最新の著書、『おいしく食べて、体ととのう まいにちの栄養学』より一部を抜粋・再構成し主食の栄養学を紹介する。

鉄不足さんは「お冷ごはん」がベター

白米は肥満を招くから食べてはいけない。そう考えている方もいらっしゃるかと思いますが、よい点もあります。

例えば、白米には栄養吸収を阻害するフィチン酸が入っていない点。玄米の場合は、鉄や亜鉛の吸収を阻害するフィチン酸が含まれており、鉄不足の人にはおすすめできません。一方で、白米の食べすぎは糖尿病リスクが上がるという報告があるのも事実。

これは食物繊維が不足することが要因と考えられているのですが、このデメリットをカバーできるのが冷ごはんです。ごはんを一度冷ますと「レジスタントスターチ(難消化性デンプン)」が増加し、2型糖尿病や肥満に対する予防効果があると示されています。

雑穀米で老化スピードを遅らせる

最もおすすめしたいのは雑穀米。黒米や赤米、きびやあわやアマランサス、もち麦などの雑穀をごはんにブレンドすることで、白米では不足する食物繊維や鉄、マグネシウム、ビタミンB群などを補うことができます。

2021年に発表されたメタ分析では、雑穀の長期的な摂取は2型糖尿病患者の空腹時血糖およびHbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)レベルの改善につながることが報告されています。

血糖値をコントロールすることは老化予防にもつながるので、女性には雑穀米を積極的にセレクトしていただきたいです。フィチン酸についても白米に雑穀を混ぜるため、影響は気にならない程度です。

玄米を食べたいという方には発芽玄米はいかがでしょうか。発芽玄米にするとフィチン酸を50%以上減少させることができるうえ、第7の栄養素と言われるフィトケミカルも摂取することができます。

腸内環境を荒らす可能性があるゾヌリン

パンに含まれるグルテンにはゾヌリンというたんぱく質の一種が含まれます。ゾヌリンは腸の粘膜細胞のつなぎ目をゆるめてしまい、そこから体によくない物質が取り込まれる可能性が。

この現象は一般的に「リーキーガット症候群(腸管粘膜の透過性亢進)」と呼ばれ、アレルギーや肌荒れなどの原因になる可能性が指摘されています。これがパンの食べすぎはよくないと言われる所以です。

こう言われるとパンを排除したくなるかもしれませんが、全くパンを食べられない「セリアック病」の人は日本人では0.1%未満。ですので、パンを一生排除する必要もないかなと私は考えています。

体調を見ながら「ごはんときどきパン」

最も大切なことは頻度とタイミング。パンを食べる頻度が毎日の人と週1回の人では、腸に対するインパクトが異なることが想像できます。

また便秘や下痢、腹部膨満感などのお腹の症状があるときにはパンを控えておくなど、タイミングを見計らうことも重要です。パンは手軽で食べやすいものですが、食パンや菓子パンは肥満や糖尿病のリスクも上昇させる可能性があります。

基本の主食はごはんとし、自分の体調を見ながらパンの頻度を月2回、4回などと目安を作っておけると◎。この頻度は年々変化していく可能性もあるので、フレキシブルに対応していくのがよいでしょう。

2007年に行われたメタ分析では、大麦粉や全粒粉などを利用したパンは糖尿病リスクを低下させることが示されています。

パンでもごはんでも食物繊維を多く含むものが「健康効果あり」というわけですね。これらのことを踏まえて、ご自身なりのパンとの付き合い方を考えていけるとよいと思います。

図/書籍『おいしく食べて、体ととのう まいにちの栄養学』より

おいしく食べて、体ととのう まいにちの栄養学

あこ
日本人がパンを食べる理想の頻度は月に2~4回? お米を食べたら太るは本当? 知っておきたい主食の栄養学
おいしく食べて、体ととのう まいにちの栄養学
2024/12/171,694円(税込)256ページISBN: 978-4816376498

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