
48歳から婚活を始めた漫画家・中川学。漫画『婚マン 独りで死ぬのはイヤだ』では自らの婚活での体験談を赤裸々に描いて話題を呼んでいる。
お見合い企画に応募した理由とは……
集英社オンラインで中川氏のお見合い相手を募集してみたところ、予想を上回るたくさんの応募が来た。その中の一人、家庭菜園を営む42歳のナナさん(仮名)と、実際にお見合いをしてみることになった。
2月某日、少し緊張する中川氏の前にナナさんがやってくる。この日のために中川氏の著作『くも漫。』『探さないでください』『すべりこみ母親孝行』などを読んできてくれたという。
【漫画】『婚マン 独りで死ぬのはイヤだ』を読む
――今回、応募してくださった理由を教えてもらってよろしいでしょうか?
ナナさん 集英社オンラインには「中川先生と一度お話してみたいという方を募集しています」と書いてありましたので、まずはお話から……というような気持で応募させていただきました。もちろん、パートナーを見つけたいという気持ちがあったうえでのことです。
――もともと中川さんのファンだったのですか?
ナナさん それが……中川先生、ごめんなさい。私は漫画とかあまり読まないんです。今回のネットの記事を見て、そこで先生に興味を持ったという感じです。だからこのお見合いが決まった後に、先生の本を読ませていただきました。
――率直に中川さんの漫画を読んでどう思われました?
ナナさん そうですね。まず私はこれまで、本当にあまり漫画を読んでこなかったんですね。読んだことがあるのと言いますと、根本敬さんの作品とか……。
――根本敬さん!?
中川学 私、一昨年前くらい、ちょっと行き詰ったときに、根本先生の塾に行っていたんですよ。まさか漫画を読んでいないというフリからその名前が……。サブカルがお好きなんですか?
ナナさん いやー、私、サブカルは正直よくわからなくて……。
中川学 じゃあナチュラルに根本敬先生にたどり着いたんですか(笑)。なかなかいないですね、それは。
ナナさん 確か、原一男さんのドキュメンタリー映画『ゆきゆきて、神軍』を見たときに、「根本敬さんが好き」みたいなシーンがあったんですね。そこから根本敬さんに興味を持って、漫画を読んでみたんです。
中川学 なるほど。僕はそこまで多く根本先生の著作は読んだことないのですが、前に確か、『美術手帖』で、“根本敬ゲルニカ計画”という特集をやっていましてそれで―――。
※
ナナさんのまさかのエピソードをきっかけに、中川氏とナナさんがお見合いの出だしから“根本敬”トークで盛り上がるという珍事が起こった。
「“語るか、語らないか”だけ」中川学の漫画を読んだ感想
そして根本敬トークが落ち着いたところで、改めて中川氏の漫画の感想を聞いてみると……。
ナナさん 『くも漫。』は倒れているシーンが結構痛々しくて、うわっとなっちゃったのですが、『探さないでください』とかは本当に面白い。まるで太宰治のような。
――中川さんは本当に包み隠さず、かっこつけず、恥ずかしい部分とかも漫画に描いてさらけ出してますよね。そこが面白いのですが、恋愛相手としてみたとき、そこに抵抗とかはなかったですか?
ナナさん そうですね、そういった部分は“語るか、語らないか”だけだと思うんですね。だからそこに対しての抵抗的なものは全くありません。
――では逆に、中川さんが漫画家として活躍されていることについてはどう思われますか? ネットの声など見ると、「漫画家という職業は婚活するうえで相当なアドバンテージだ」という声もありますが。
ナナさん もちろん自分の考えをアウトプットできるすごく尊敬できる職業なのですが、漫画家さんだから会ってみたかったというよりも、シンプルに中川先生の雰囲気がいいなと思ったという感じです。
中川学 えっ! それはどういう意味で……?
予想以上の盛り上がりをみせるお見合い企画。この後ついに、婚活をするうえで最大の障壁になっている「年収200万円」問題について、ナナさんが率直な思いを語る。
後半へつづく
【漫画】『婚マン 独りで死ぬのはイヤだ』を読む
取材・文/集英社オンライン編集部