“ショーンK”復活にネットは歓喜も「また経営コンサルタントを名乗るとは」「経歴盛りすぎでは」の声…かつて経歴詐称騒動を取材した記者も驚いた“ほらっちょ”の今
“ショーンK”復活にネットは歓喜も「また経営コンサルタントを名乗るとは」「経歴盛りすぎでは」の声…かつて経歴詐称騒動を取材した記者も驚いた“ほらっちょ”の今

2016年3月に経歴詐称問題を報じられ、表舞台からその姿を消していたショーンK氏が、突如“復活”したとして話題になっている。4月24日に千葉県の君津市民文化ホールで「君津商工会議所創立30周年記念事業」の講演会に登壇することがわかったのだ。

かつて彼の経歴詐称取材を担当した記者に話を聞いてみた。 

ラジオ番組で嗚咽しながら謝罪して、世間から消えた男

「経歴詐称発覚から9年という長い時間が過ぎて、“みそぎ”はじゅうぶんに済んだと思うので、どんどん表に出るべきだと思います。しかし、経営コンサルタントを再び名乗るとは……」

こう戸惑っているのは、経歴詐称取材を担当した『週刊文春』の元記者だ。

ショーンK(56歳)が、千葉県の君津商工会議所主催の講演会に登壇することが明らかになり、SNS上が異様な盛り上がりを見せている。「復活まじ?」「オレたちのショーンK」「早く見たい!」と、多くは好意的だ。

もちろん、4月24日に君津市民文化ホール(502席の中ホール)で行われる講演のチケットは、早くも完売した。

ショーンKが「経営コンサルタントのショーン・マクアードル川上」を名乗り、『報道ステーション』(テレビ朝日系)のコメンテーターとして登場したのは2015年3月のこと。

彫が深く、浅黒いハンサム。スーツを着こなし、渋い声で安保法制からAIまで幅広く語る姿は人気となり、翌年の年明けには、ニュース新番組『ユアタイム』(フジテレビ)のメインキャスターへの大抜擢が発表された。

しかし、その放送開始直前に『週刊文春』が経歴詐称疑惑を報じると、ナビゲーターを務めていたラジオ番組で嗚咽しながら謝罪して、ラジオ・テレビなど全番組を降板し、世間から消えた。

担当記者が振り返る。

「彼はニューヨーク生まれのクォーターを自称して、ショーン・マクアードル川上、通称ショーンKを名乗っていました。しかし実際は熊本県生まれの純日本人で、本名は川上紳一郎。

テンプル大での学位取得もハーバード大でのMBA取得も、ありとあらゆるものを詐称していました」

それでも、今回の講演会のポスターには「ショーン川上氏」と書かれ、講演会を報じるオンラインメディアは、<「ショーンK」ことショーン・マクアードル川上氏>(スポニチアネックス)、<「ショーンK」ことショーン川上氏>(日刊スポーツ)……と、今も芸名に芸名を重ねた呼称が使用された。

呼称はご愛嬌としても、担当記者が戸惑うのは「経営コンサルタント」を再び名乗っていることだ。

君津商工会議所の講演会ポスターには、<経営コンサルタント/専門領域は経営開発、事業再生、新規事業開発>と記載されている。

ショーンKは昨年8月、自身の公式サイトをリニューアルしていた。黒を基調として、その横顔がモノクロのイラストで描かれたスタイリッシュなデザインだ。経歴を記した部分にはこう書かれている。

<金融、製造業、ハイテク、情報通信、産業財、メディアなど大手から中小零細、ベンチャー企業まで約720社(1995~2023年1月末)、日系・外資問わず様々な事業領域における経営・事業課題に対する分析、戦略立案、実行支援業務に従事>

担当記者が続ける。

「ショーンKは、日本LCAというコンサルタント会社に在籍していましたが、大卒資格が無いのに雇用されたのは英語が話せたためで、ほぼ通訳の仕事に従事していたと社員が証言しました。

その後、独立したことになっていますが、彼がコンサルタントを行ったと社名を挙げた企業に取材すると、ある大手企業は『プレゼンテーションの司会をお願いしただけ』、ある外資系企業は『お名前を聞いたことがありません』と回答し、コンサルタント実績を探しても見当たりませんでした」

コンサルタント実績は、詐称発覚前の2倍に⁉︎ 

経歴詐称発覚後も同様だ。

「番組降板後、都内の某不動産会社社長が支援していたと聞きましたし、まして経歴詐称が発覚した後で、経営コンサルタントとして迎える企業があるでしょうか?

彼は長年、ラジオ番組のナビゲーターを務め、企業経営者を招いて話を聞いていました。経営者の話を語ることはできると思いますが、それは評論家の範疇です。経営コンサルタントに資格は必要なく、自称できる職業かもしれませんが、それにしても、当時の公式サイトでコンサルタント実績として300数十社と書いていて盛り過ぎだと思った記憶がありますが、今、2倍以上の720社に増えているなんて……」(担当記者)

ショーンKはかつて米国のコンサルタント会社、ブラッドストーン・マネジメント・イニシアティブ・リミテッドの代表を名乗っていた。

しかし、ニューヨークの本社は月額8000円程度で借りられるレンタルオフィス、判明したブラッド社の納税額はわずか2万円だった。

しかも、公式サイトには事業パートナーとして外国人ら3名を掲載していたが、インターネット上で探した無関係の人物の顔写真を勝手に掲載して、名前とプロフィールを創作しており、パートナーなど存在しなかった。わざわざ米国で会社登記を行っていながら、画像検索を掛ければ即座に露呈する稚拙な作業を行っていたのだ。

経営コンサルタントとして実績が無ければ、講演会で何を話すかという疑問も沸くが、スポーツ紙の芸能担当女性記者はこう振り返る。

「報道ステーションに出演していた時、ショーンKがカッコよすぎて見とれてしまい、話している言葉が頭に入って来ませんでした。けれど経歴詐称が明らかになった後、コメントをよくよく聴いてみると、難解な言葉を使っているだけで、内容は意味不明だったことがわかりました」

君津商工会議所のポスターには、ショーンKの言葉としてこう書かれている。

<不確実性の闇の中、わずかな可能性が突破口へとつながる道筋を照らし、正解のない既知と未知の狭間で大胆な別解を紡ぐ>

報道ステーション当時を想起させる意味不明の言葉である。

担当記者はこう話す。

「彼は中学生の頃から英語を一生懸命勉強して、あの渋い声と相まって、英語の話し手としては秀逸です。また、ラジオ番組では周囲の評判がよく、スポンサー筋も降板を残念がっていました。経歴を詐称しなくても、優秀なナビゲーターとして活躍できた気がするのですが……」

せっかくここまで話題となっている“復活”なのだから、今度は“ほらっちょ”(少年時代のあだ名)なしの活躍を見せてほしいものだ。

取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班

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