「そのまんまやん」池袋に“アニメイト通り”誕生…近隣店舗は「恩恵うけてます」「他の店もあるのに…」と賛否…区の担当者は「地元町会の要望により決めました」
「そのまんまやん」池袋に“アニメイト通り”誕生…近隣店舗は「恩恵うけてます」「他の店もあるのに…」と賛否…区の担当者は「地元町会の要望により決めました」

豊島区は3月1日付けで、東池袋一丁目に走る区道の通称名を「アニメイト通り」と命名した。近年行なわれた再開発で誕生したエリア「Hareza池袋」を起点とするこの通りは、アニメイト池袋本店をはじめ多くの店でにぎわうが、SNSでは賛否の声があがっている。

どういう経緯で今回の命名に至ったのか、区の担当者に話を聞いた。 

「アニメイト通り」にSNSでは賛否両論 

豊島区が3月1日付けで東池袋一丁目を南北に走る区道の通称名を「アニメイト通り」と命名した。

豊島区東池袋1丁目18番先から12番先を結ぶ全長430メートルの通り沿いには、再開発で誕生したエリア「Hareza池袋」やアニメイト池袋本店、ホビーショップや飲食店など多くの店が立ち並び、にぎわいを見せている。 

 今回の命名をめぐり、SNSにはさまざまな声があがっている。

「アニメイト通り、めっちゃいいですね!また遊びに行きたい!!」

「アニメイト通り⁉︎ 分かりやすい」

「集客を見込む良い策ですね」

といった賛同する声がある一方で、一部には否定的な声も見られる。

「アニメ通りにすれば他の企業も来たのに・・・」

「そのままやん。もう少し工夫したら良かったのに…」

近隣の店舗からも賛否があった。

「この道を歩く多くの人がアニメイトさん目当てですからね。活気があっていいのではないでしょうか。ウチの店にも缶バッジをつけたお客さんがよく入ってきて“ついで”に安い靴を買っていってくれます」(靴店店員)

「アニメイトさんが地域を代表する店舗なんで仕方ないですが、付近にはユニクロや飲食店もあるし関係ない店もある。ウチはお客もかぶるので恩恵があるけど、昔からやってるお店は少しかわいそうな気がします」(ホビーショップ店員)

「かなり優遇されてますよね。アニメイトさんは豊島区のハロウィンでも一緒にやられていますし、それだけ区とも親密なのかな(笑)。このあたりにお客が来ることはありがたいですが、大人や年寄りが近寄りがたい街になってきたね、ウチの店もそろそろ撤退かな」(飲食店店主)

「企業の名前を付けるわけにはいかない」と伝えたが…

どういった経緯で命名に至ったのか。豊島区役所土木管理課の担当者に話を聞いた。

「豊島区では平成2年度から区道に通称名を設定してきました。今回の『アニメイト通り』の命名もその一環です。通称名が設定された通りは、『アニメイト通り』を含めて62路線あります。

2024年の夏頃に、地元の町会・商店会から東池袋一丁目の区道を『アニメイト通りと命名したい』という要望がありました。ただし区道は公の施設ですので、好き勝手に名前を付けるわけにはいきません。

ある程度、公共性がなければいけないとお伝えしたうえで、なぜ『アニメイト通り』と命名したいのかを地元の方でしっかり議論してもらい、その成果を役所に出してもらいました。

それを踏まえて、今年2月上旬に『この内容であれば、区道の通称名として設定できる』と判断し、3月1日付けで『アニメイト通り』と設定しました。地元の発意であり、区から要望したということではありません」

地元の町会・商店会からの要望により今回の命名に至ったそうだが、その中では課題もあったという。

「最初に地元から相談があったのは昨年の夏、7~8月頃です。ただ、区としてもいろいろと課題がありました。

それらの課題を示して、地元で話し合いをしていただいたその結果、地元の関係町会・商店会7団体の連名で、今年2月に『要望書』という形で書面でいただき、それを受けて区として対応したという形です。

『課題』というのは、アニメイトがいち企業の名前であるということです。

企業の宣伝に使われてしまったり、民間の営利活動に区が関与する形になるというのは、やはり公益上、望ましくありません。

ですので、『企業の名前を付けることは認められない』とお伝えしたところ、地元の方から『じつは違うんだ』というお話がありました」

「アニメイト移転後10年間で通りのにぎわいが大きく変わった」

地元からは、アニメイトが「世界的に認知されている」という話があったという。 

「アニメイトは世界中のアニメファンに認知されており、『アニメイトといえば東池袋』という認識が一部ではあるようです。海外からの渡航者がアニメイトを目当てに池袋を訪れるという実態もありました。“地域の顔”として認知されているわけです。

そういった理由で、『アニメイトはいち企業の枠を超えている』という声が地元からありました。地元の方からいただいた要望書を見た限りにおいては、区としても納得、同意できるような内容だと判断しました」 

 区の担当者によれば、アニメイトが現在の所在地に移転したのは今から約10年前。それ以降、通りのにぎわいが大きく変わったという。

「もともと『アニメイト』はサンシャインシティの隣で営業されていて、現在の所在地に引っ越してきたのが2012年でした。それから10年以上たち、通り沿いにカフェやコスプレ専門店など、アニメ関連のお店がものすごくたくさんできたんです。

もともとお店なんて1軒くらいしかなかったのが、この10年で道沿いのにぎわいが大きく変わりました。そういう意味で言うと、いち民間企業の営業というよりも、『地域のにぎわいを創出した』という公的な成果もあったわけです。

今回の命名は、そういう点も勘案しました」

2024年に行なわれた「池袋ハロウィンコスプレフェス」にもアニメイトは参画しており、10月末に開催された3日間のイベントには約16万人が来場した。まさに地域の活性化に大きく貢献している形だが、一方で今回の命名には前出の店主をはじめSNSでも否定的な声も出ている。命名に至る議論の中で、否定的な意見は出なかったのだろうか。

「世間から否定的な声が出るのではないかと想定はしていましたが、地元の方の議論の中では異論は出ませんでした。もちろん、アニメイトという企業への優遇措置なども一切ありません」

日本を代表するアニメの聖地のひとつとして、池袋はこれからさらに発展していくだろう。

取材・文/集英社オンラインニュース班

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