
5月末、大阪市北区の老舗ラーメン店「薩摩ッ子ラーメン 東天満総本店」に突如として長蛇の列が出現。そのきっかけは、BTSのJ-HOPEがプライベートで来店し、Instagramに投稿したことだった。
大阪の老舗ラーメン店に大行列。原因は超人気アイドル
5月30日、大阪市北区にある老舗ラーメン店「薩摩ッ子ラーメン 東天満総本店」前に、突如として長蛇の列が出現した。多いときには100人以上が列をなし、ラーメンを食べるまでに3時間以上を要する事態となった。
突然の騒動に驚いた近隣住民は、行列の様子をSNSに投稿。その様子が瞬く間に拡散され、大きな話題を呼んだ。数時間前までは空席もあった店に、いったい何が起こったのか。
実は、“ホビ”の愛称で親しまれるBTSのメンバー・J-HOPE(ジェイホープ・31)が、プライベートで同店を訪問。その様子を自身のInstagramのストーリーに投稿したのだ。これは、5月31日と6月1日に京セラドーム大阪で開催される単独ワールドツアー『j-hope Tour 'HOPE ON THE STAGE' in JAPAN』の前日の出来事だった。
「BTSは2022年6月14日にメンバー7人が『グループ活動を一時中断し、それぞれソロ活動や兵役義務に専念する』と発表し、同年12月から順次兵役に入隊。
Apple Music のインタビューでは『6月に全員が帰還したら、すぐ再会して未来について話し始める』などと話しており、ファンとしても活動再開の期待が高まっています」(音楽業界関係者)
世界を股にかけるBTSの莫大な経済効果
世界を舞台に活躍するBTSがもたらす経済効果は莫大である。
アメリカの公共ラジオ放送局「NPR(National Public Radio)」の調査によると、その規模は年間およそ50億ドル(約7兆2,400億円)にのぼり、韓国のGDPのおよそ0.3~0.5%を占めるとされている。
「BTSは単なる音楽グループにとどまらず、地域経済や国家経済、文化輸出にまで影響を及ぼす、巨大な“BTS経済圏”を築いている存在です。たとえば、BTSの公演には海外から約18万人のファンが韓国を訪れ、宿泊・交通・飲食などを通じて、約5億1,500万ドル(約746億円)もの経済効果を生み出すとされています。
また、2022年6月14日にBTSがグループ活動の一時中断を発表した直後には、所属事務所『HYBE』の株価が約25%下落。英語圏メディアでは『約17億ドル(約2,300億円)相当の時価総額が消失した』とも報じられました」(同前)
さらに、BTSはX(旧Twitter)をはじめとするSNS上でも数々のギネス記録を保持している。
「現在は更新されていますが、2019年にはJUNGKOOKがビリー・アイリッシュの『Bad Guy』に合わせて踊る短い動画を投稿し、それが世界最多ツイート数となる240万件超を記録。ギネス世界記録にも認定されました。
またグループとしては、2017年から2021年までの5年連続で『世界で最もツイートされたアーティスト』に選ばれており、2021年には『最も多く言及された音楽グループ』としてもギネス記録に認定されています」(同前)
今年4月にはJINも来店!?
今回J-HOPEが訪れた「薩摩ッ子ラーメン 東天満総本店」は、1963年創業の老舗ラーメン店。店内には多くの芸能人のサインが並ぶが、なかでも韓国アイドルのサインの多さがひときわ目を引く。
「2015年2月の日付で、BTSメンバー全員のサインも飾られており、もともとBTSファンの間では知られた存在でしたが、今回J-HOPEが来店したことで、この店は完全に“聖地巡礼”のスポットのひとつになりました。実際、この店には他にも韓国アイドルのサインが数多くあり、大阪を訪れた韓国アイドルが立ち寄る店として、タレント内でも認知されています」(韓国アイドルファン)
“推し活”の一環として行われる“聖地巡礼”だが、韓国アイドルファンと国内アイドルファンとでは、そのスタイルに微妙な違いがあるという。
「旧ジャニーズなどの国内アイドルのファンは、デビューした劇場や舞台、所属事務所の建物といった“公式”な場所を巡ることが多い印象です。また舞台やライブの頻度が高く出待ちなどをする機会があるため、韓国アイドルのファンに比べて“聖地巡礼”をする人はあまりいない印象です。
一方で、韓国アイドルは日本国内でのライブイベントが限られているため、“聖地巡礼”がファンの推し活の定番になっています。巡るのは、MVのロケ地やメンバーが訪れた飲食店など。必ずしも公式発表の場所ではなく、InstagramなどのSNSを通じて得た情報をもとに訪れることが多いように感じますね」(同前)
同ラーメン店のオーナーは、取材に対し「15年ほど前に韓国アイドルの2PMが来店して以来、韓国アイドルが大阪に来た際に立ち寄ってくれるようになった」と語る。
「今回、“BTSの聖地”と呼ばれているのは、とても光栄です。実はBTSだけでなく、2PMや東方神起など、多くの韓国アイドルが来店してくれています。サインは残っていませんが、SEVENTEENのメンバーも訪れてくれました。
それでも、今回のホビ(J-HOPE)さんのInstagram投稿による反響には本当に驚きました。本当にありがたいことです。実は、今年4月末には、BTSのJINさんもお忍びで来店してくれていたんですよ」
活動再開が期待される直前で、未だ衰えぬ経済効果を見せたBTS。
取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班