芸歴50年超のザ・ぼんちをボコした金属バット…THE SECONDで約束した「出囃子交換」が実現しなかった理由「来年の出場は、もうできれば…」
芸歴50年超のザ・ぼんちをボコした金属バット…THE SECONDで約束した「出囃子交換」が実現しなかった理由「来年の出場は、もうできれば…」

THE SECOND2025グランドファイナルで惜しくも準決勝敗退となった漫才コンビ・金属バット。しかし、大会では芸歴50年以上の大ベテラン、ザ・ぼんちに勝利するなど、たしかな爪痕を残した。

ザ・ぼんち戦後には劇場での出囃子をコンビ間で交換することを約束していたが、その後どうなったのか。二人が大会を振り返る。 

出囃子交換、実現せず 

—少し経ちますが、THE SECOND2025おつかれさまでした。

友保隼平(以下、友保) まーた負けましたね。また負けたよ。

—初戦のザ・ぼんち戦は見事でした。

友保 ボコしてやりましたよ。宣言通りボコしてやりました。ええ。

—めちゃくちゃ面白かったです。司会の東野幸治さんがちょいちょいカメラに抜かれてたんですけど、すごく笑ってらっしゃいましたね。

友保 おもろいもんなあ。俺らも袖で見てたんですよ、ぼんち師匠が漫才やってるとき。

もう笑ってまいましたもんね。

小林圭輔(以下、小林) 有田(哲平)さんも笑い転げてたもんな。

友保 「メッシ、メッシ、飯…おかずも食え」言うて(笑)。あのとき、全員立ち上がりましたもんね。

—ぼんち師匠に勝ったらお互いの出囃子を入れ替えるというお話でしたが。

友保
 それが無理みたいなんですよ。(里見)まさと師匠も「社員がいいって言ったらええよ」って言ってスカしてんなと思ったんですけど。後々、NGK行って「どうなんですかね?」って聞いたら、社員の人が「師匠の出囃子っていうのは神聖なものなんで」と。あ、ホンマですか言って。ええ(笑)。

—一応ご本人とは約束してましたけど…。

友保 あきませんでしたね。

「祇園花月限定ならいけるかも?」みたいな話なんで(笑)。

小林 あれからまだ、(ぼんち師匠と)会ってないですけどね。

友保 まあ、なんばグランド花月(NGK)の看板芸人なんで、はい。俺らの拍手だけの出囃子でぼんちさん出てきたらおもろいんですけど……出囃子って、神聖なもんなんですね。

—知らなかったんですね(笑)。

友保 いやでもやっぱりね、師匠や思いましたよ。ぼんちさんがTHE SECOND終わったとき、けっこう長い休み取らはったらしいんですよ。旅行行く言うて、コンビそろって家族総出で旅行に行ったんですけど、どこ行ったと思います?

—え、コンビで家族で? 淡路島のホテルニューアワジとか?

小林 関西すぎる(笑)。

友保 なんとドバイ行ったらしいですよ。マジ師匠!

—やっぱりスケールが違いますね…!

友保 さすが師匠。家族だけやなく、お弟子さんも連れてったらしいですよ。

—よくコンビで旅行に行かれるんですか?

小林 いや、ちょっと浮かれてたんじゃないですかね。
久しぶりに全国放送のゴールデンに出はったから。

友保 まぁ負けましたけどね、僕らも。囲碁将(棋)さんに負けましたけど。

実は1分も早く終わった準決勝ネタ 

—準決勝の囲碁将棋戦も盛り上がりましたね。2点差で惜敗。終わったあと、勝ったと思いました? 負けたと思いました?

友保 そりゃ勝ったと思いましたよ。

—会場のウケ的にはどっちでしたか?

友保 うわ、どっちなんやろう。まあ1個あるのは、僕らがネタ下がる(終わる)ときに時計見たら、まだ5分ちょいやった(笑)。

小林 短かったな(笑)。

友保 バリ短いやん。1分も巻いてもうて。

小林 これバレるかな、バレへんかな。

友保 ちゃんとかかってるやん(笑)。

—ただでさえ、間をしっかり使う漫才でしたが、本当はもっと沈黙が長かった?

友保 いや危なかったですね。もっと黙ってたら、もっと点数低かったかも(笑)。

—いや、審査員の女性が笑いを溜めて爆発させる「バネ」みたいって言ってましたね。

友保 あれね。できるヤツがいましたね。

—審査後、小林さんは審査員に詰め寄ってましたが…。

友保 あの人帰りにどんどんちっちゃなって。ナメクジみたいに溶けてしまったらしいで。

小林 そうかぁ。

—そして、優勝はお二人の盟友でもあるツートライブ。

友保 優勝してよかったっすね。

—ぶっちゃけ、正直悔しいお気持ちはありましたか?

友保 いや、とっくの昔に超えられてますからね。

何言ってるんですか。あいつらがどんだけ関西の深夜番組を彩ってるか。

小林 そうそう。

—大会直前の取材でも、ツートライブはTHE SECONDにハマりそうとおっしゃってました。

友保 「ツートライブが優勝する」まで言ってたんじゃないですかね。

—言ってなかったです。

友保 初戦で最高得点出して、そのまま優勝するんじゃないかって。

—言ってなかったです。

友保 でも、ツートライブが決勝のネタで「死ぬ」っていうとこあるんですけど。舞台裏で芸人みんなで見てて。周平が「死んで」って言ったら、ちゃんと客がサーって引いて(笑)。俺らも「あ、死んだらあかん」って。


小林 死んだらあかんな。

3年連続大会に出て気づいたこと 

—前評判では囲碁将棋さんが優勝と言われてましたが、勝負は時の運ですね。

小林 わからんかったっすな。

—決勝翌日、囲碁将棋さんの決勝の漫才に1点をつけた人というのが話題になっていましたね。

友保 あれ俺、聞いたんですけど、審査員の人がガラス細工持ってたらしくて。文田さんの声がデカすぎてパーンと割れてそれで1点つけちゃったらしいです。でも誰も損してない大会ですわ。母心さんくらい。(※予選でTHE SECOND史上最低得点の194点を記録)

小林 母心さんは記憶に残ったからいいけど、トットさんのほうがね……。(※予選で229点を記録)

友保 (トットの)桑さん、まだ休んでるもんな(笑)。すぐ今年の最低得点記録抜かれたから。

小林 あと、初戦で囲碁将さんに負けた吉田たちのプライドが見えた瞬間がありまして。終わってからすぐ(吉田たち)ゆうへいに「同じ点数で(囲碁将棋に)負けたなあ」って言われて。どっちも283点かなんかで負けて。これ裏読みすれば、当たる順番が違ったら、お前らも、もう負けてたんやぞと。

友保 あれ、そういう意味なんか。まったく気づかんかった(笑)。

—大会に3年連続で出続けている唯一のコンビとして何か気づいたことはありましたか?

友保 あ、僕はね、気づきましたよ、これ多分誰も気づいてないと思うんですけど、楽屋のケータリングがちょっとショボなってきてますね。私はもう3年間見てきてますんで。THE SECONDの歴史とともに動いてますので。

—ちなみに一番すごかったときは何があったんですか?

友保 その年々のケータリングの顔があったですよ。初年度は「ジョア」とか「ビックル」でできたタワー。とんでもない豪華さでしたよ。去年は世界中のアイスがあって、ハーゲンダッツ食べ放題。今年はもうそれがすべてなくて…。

—ガリガリ君もない。

友保 ガリガリ君もない。いやでもやってくれてるだけで、ありがたい。

—今大会の事件簿みたいなのありましたか?

友保 これおもろいもんで、1回目、2回目はいっぱい覚えてたのに。3回目にもなると、もうなんも覚えてないですわ。ベテランぶって。

—打ち上げはどんな感じだったんですか。

友保 打ち上げがもう……今年はそういうのないっていうんで。しっぽり懇親会みたいなの、局内でしっぽり。ただ、まさと師匠は最後まで元気でした。その後、もう1軒行ったらしいです。

来年度の出場は? 

—お2人は一緒に行かなかったんですか?

友保 我々はもうドラゴンボールみたいに方々に散りました。

—ちなみにどこに行かれたんですか?

友保 僕は荒川でゴザ敷いて寝ました。

小林 僕は都庁に挨拶に行きました。

—でも、だいぶ深夜の遅い時間ですよね。ぼんち師匠は大丈夫だったんですか。

友保 めちゃめちゃ元気でしたね。ドラキュラみたいになってましたよ。

小林 当日は朝からNGK出てるんですよ。そっから来て、朝4時半ぐらいまで飲みに行ってたらしいで。

—懇親会では、ぼんち師匠と話しました?

友保 しゃべりましたよ。わし、まさと師匠の横で飲んでましたけど、「視聴率がよかった」とか「ボコボコにしたで」とか。あと「出囃子交換してくれ」ってずっといってました。

で、師匠も酔ってはったんで、まさと師匠が「え、(ビール)ついでくれへんの?」いうから、「いやいや、わし勝ってんねん」「ああ、ごめんなさ~い」っていうノリを100回ぐらいしてました。えらい気に入って。ちなみに、おさむ師匠は何言ってるかわからなかったです。

小林 あと(ガクテンソクの)奥田(修二)さんが、ずっとマシンガンズさんに説教してましたね。「こうしたらもっとできるのに」っていうのをずっと言い続けてて。

友保 テクニック論の人やから。

小林 最終的に奥田さんが自腹でマシンガンズさんを強くするライブを打つって…。

友保 言うてたな。けっこうな金払ってやるって。合宿するっていうてた。

—熱いですけど……奥田さんに何かメリットがあるんでしょうか。

小林 税金対策じゃないですか。

友保 多分そうやな、本(初エッセイ本)も売れてしもたさかいに(笑)。

—来年はツートライブが、前年度優勝者の席に行くってことですね。

友保 忙しい言うてましたもん。

—(ツートライブ)周平魂さんとは飲みにも行けてないですか?

友保 この前、1回行きましたね。笑い飯の西田(幸治)さんが賞レースで決勝行ったら、フグおごってくれるんですよ。ほんまめっちゃうまかった。すごい店やったんですよ。フグとクジラの専門店。もう世界中のフグを食い切ったヤツが最後に行く店やって。

—どんなお店なんですか?

友保 でっかい鉄板にニンニクチップまぶしてその上にフグ置いて。

—え、ニンニクでフグ?

友保 意味わかんないでしょ。で、バジルと一緒に食うみたいな。ほんまフグの無駄遣いしてましたよ。

—西田さんはなんて言いながら食べてるんですか?

友保 うまいな。やっぱりニンニクは美味いなって(笑)。

—フグは……。最後に来年のTHE SECONDは出られますか?

友保 そうですね。来年の出場ですか。もうできれば(大会自体が)ない方向で動いてほしいですね。「出たかったのに」って言いたいです。

小林 それがベストですね。

友保 「あのネタしよう思ってたのにな~」って。

小林 「出てたらな~、今年仕上がってたのにな~」って。

友保 「またフグ食べたかったな~」って。

小林 ニンニク食えば、いいやん。

取材・文/西澤千央 写真/石垣星児

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