
浜松市中央区千歳町のガールズバーで7月6日午前1時ごろ、両手に“特殊な刃物”を持った男が店長と従業員の女性2人を背後から何度も刺すなどして殺害した事件が起きた。殺害されたのは、同店店長の竹内朋香さん(27)と同店従業員の伊藤凜さん(26)。
給料の大半を“酒と洋服代”に費やしていた
静岡県浜松市のガールズバーで店長と従業員の女性2人が刺殺された事件で、山下市郎容疑者(41)が現行犯逮捕された。山下容疑者は浜松の飲み屋街では知られた存在だった。
市内で飲食店を経営する男性が話す。
「山下は”山ちゃん”と呼ばれていた。会った時から刺青が上半身に入っていて、背中には仁王様。服もおしゃれで、会うたびにナイキなどのブランドスニーカーを履いていて、履いている靴や服がいつも違かったのが印象的です。服はストリート系だったかな。いつもキャップをかぶっていて、度の入ったサングラスを夜でもかけていました。
でもお金がそこまでなかったのか、アクセサリーはクロムハーツのパチモンをつけるなど、見栄っ張りが出ていました。自分を強く見せたいというプライドは高かったです。タバコもよく吸うほう。一晩で一箱なくすとかザラでしたね。
性格は社交的でしたよ。いつもジャックダニエルのハイボールを好んで飲んでました。集団で店に来ることはなく一匹狼です。一人で行きつけの居酒屋に行き、一緒に居合わせた他の席のお客さんと飲む感じ。朝まで飲むことがほとんどでした。お酒は強かったですね。酔うといつも腕相撲を周りの客に申し込んでました。割と強いほうだった」
山下容疑者は浜松市の隣にある市内の単身者向けの家賃2万6000円のアパートに少なくとも4年以上住んでいた。週に1~2回、浜松や掛川の繁華街に飲みに出ており給料の大半を“酒と洋服代”に費やしていたという。
山下容疑者と数年前から親交があった女性が語る。
「2年前に飲酒運転でタクシーに突っ込んでしまい、交通事故を起こし逮捕されました。起訴後に罰金80万円を払って出てきて、周りに『財布に大打撃だよ』と笑って話していました。
刺青をバカにしてくる人がいるとすぐオラついていた
一方でトラブルも多々あったという。
「山ちゃんは媚びる人には媚びて、下に見下す人にはとことん悪態をつく。気に触ることを言ってくる人にはとことんオラつくんです。『はあ? なに?』と最初から(怒りの口調で)始まり、『んだてめえ。喧嘩売ってんの?』と初対面の人にもキレ始め、イラつくことが重なると『殺しそうになったわ』などと怖いニュアンスの発言もチラホラしてました。
特に年下でタメ語をつかうような男の子にはキツかったですね。刺青もすごくて印象に残る人だから、一回会ったら忘れない人。人によっては、態度が悪く映っており、浜松近辺で出禁になっている店も多いです。
でも女性には気分がよくなるとおごってはくれるし、優しかった。なに飲むの?とか同席した女の子に気前よく話しかけたり、決して女性にはオラつく人ではなかった。いつもPayPayやカードより現金で払う人でした。最後に会ったのは2、3週間前、フラっとお店にきてすぐ帰った。
山下容疑者は調べに対して、「殺意があった」と認めている。一方で、犯行に至った経緯を「小馬鹿にされた」などと供述しているという。
「プライドは高く、小馬鹿にされるとよくキレていた。刺青をバカにしてくる人がいるとすぐオラついていた。十数年前には“暴力団”に入っていたと話しており、そのときに和彫りの刺青を入れたと話していたけど本当かどうかわからない。(地元の暴力団関係者は「見たことも聞いたことない」と関係を否定している)いまは足を洗ってカタギになったとか。
もともとトラック運転手をしていたが、飲酒運転でクビになり、その後は塗装屋として働いていた」(同前)
ギャンブルなどはほとんどせず、趣味はキックボクシング、ジムにも長年通っていた。プライベートについては詳細を話さないものの、結婚歴もあったという。
「結婚は約20年前にしていたけど離婚、娘さんが一人いたと聞く。娘さんはすでに成人している。『娘には会いたい?』と聞いたけど興味はなさそうだった。若い女の子と歩いていた目撃情報はたびたび入ってきたしそれなりに恋もしてきたと思う。
竹内さんと伊藤さんにはそれぞれ10か所以上の刺し傷などがあった。酒とオシャレに生きた孤独な男が事件を起こす引き金になった“小馬鹿にされた”言葉とは何だったのか――。
※「集英社オンライン」では、今回の事件についての情報を募集しています。下記のメールアドレスかXまで情報をお寄せください。
メールアドレス:
shueisha.online.news@gmail.com
X(旧Twitter)
@shuon_news
取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班