TBS・田村真子アナ「ビリビリが怖くて進行に集中できない日も…」『ラヴィット!』で駆け抜けた20代と“好きな女性アナ1位”の重圧
TBS・田村真子アナ「ビリビリが怖くて進行に集中できない日も…」『ラヴィット!』で駆け抜けた20代と“好きな女性アナ1位”の重圧

TBSの朝の顔として、不動の地位を築いた田村真子アナウンサー(29歳)。バラエティ番組『ラヴィット!』での親しみやすい笑顔と安定した進行で多くの視聴者を魅了し、昨年「ORICON NEWS」が発表した「第21回 好きな女性アナウンサーランキング」では、初めて1位の座に輝いた。



一方で、その裏側ではゲームで負けた際のペナルティ「ビリビリ椅子」の「ビリビリ」に震えながら進行に集中できなかった日々や慣れないバラエティ番組の現場で必死に走り抜けた20代の葛藤があったという。自身初となるフォトエッセイ『陽がのぼるほうへ』を刊行し、30歳を目前に控えた田村アナに今の思いを聞いた。

「ビリビリ」が本当に嫌で仕方なかった

今年でバラエティ番組『ラヴィット!』のMC就任5年目を迎える田村真子アナウンサー(29歳)。30歳を目前に控え、がむしゃらに駆け抜けた20代を振り返り、「まるでマラソンの後半をずっと走り続けているようでした」と語る。

「番組が始まったころは、(バラエティの)流れに慣れるのにとにかく必死で、共演する芸人さんたちが楽しそうにしていても、一緒に楽しむ余裕がありませんでした。

まずは進行役を全うすることだけで精一杯。だからこの4年間、特に直近の2~3年は、時間が経つのが驚くほど早く感じました。でも『20代は少しくらい辛くても、ここで頑張っておいたほうがいい』という思いがずっと心の中にあったので、立ち止まることなく、ひたすら走り続けてきました」(田村真子アナウンサー、以下同)

『ラヴィット!』ではコーナーやロケを通してさまざまな挑戦をしたが、中でも番組スタート当初、特に精神的に大きなプレッシャーとなったのが、名物企画であるゲームで負けた際のペナルティ「ビリビリ」だった。単なる罰ゲームにとどまらず、MC業務に支障をきたすほどの恐怖となった時期もあったという。

「ビリビリが本当に嫌だった時期が、実は長くあったんです。今よりも頻繁に、ほぼ毎日のように受けていたときがあって……。さすがにあの頻度で受けると、気持ちがもたなくなってしまいました。そして『この後ビリビリがあるかも』『今日もゲームに失敗して受けることになるかも』と頭によぎり、進行に集中できなくなったんです」

その時期は、出社するだけでも大きな気合いが必要だったそう。

そんな中で田村アナの心の支えとなったのは、同じくMCを務める麒麟川島明さんだ。

「私がビリビリに動揺し、進行に必死でカメラの位置やCMのタイミングを把握できず、カンペに気づけないことがあります。そういうとき、川島さんが察して、さりげなく会話でフォローしてくれます。川島さんには本当に何度も助けてもらっています」

 また、レギュラー出演者たちとも回を重ねるごとに信頼関係が築かれ、田村アナの精神的な支えとなっていった。

「ピンポン卓球のゲームで大失敗して落ち込んでいたとき、ギャル曽根さんが『大丈夫、大丈夫、落ち込まないで』と、まるでお母さんのように優しく話しかけてくれたのが印象に残っています。

さらに、昔はロケが苦手でしたが、なすなかにしさんやおいでやす小田さんが一緒だと、全力で場を盛り上げてくださるので、『この人たちについていけば大丈夫だ』と安心でき、少しずつ慣れていくことができました」

好きな女性アナ1位に 「2連覇のプレッシャーはある」

『ラヴィット!』での活躍もあいまって、田村アナは2024年「好きな女性アナウンサーランキング」で初の1位に輝いた。その反響は想像以上だったという。

「発表された日、スタジオから打ち合わせ室へ戻る道中で、『ラヴィット!』のスタッフはもちろん、他部署の社員にまで、すれ違うたびに『おめでとう』と声をかけてもらいました。人生でこれほど『おめでとう』と言われることがあるだろうかと思うほど、会社の人たちが自分のことのように喜んでくれて、本当にうれしかったです」

受賞当初は、「なぜ私が……」と謙遜する気持ちもあったものの、周囲の喜びを目の当たりにし、自身の責任を強く意識するようになっていった。

「周りの方々がこんなに喜んでくれるなら、その期待に応えたいという気持ちが以前より強くなりました。『次は2連覇だね』と言われると、プレッシャーは感じますが(笑)。ただ、これまでと変わらず淡々と、着実に職務を務めていく姿勢は変わりません」

元気の源は椎名林檎 

真面目で礼儀正しい一方、お笑い好きでひょうきんな一面も持つ。そんなギャップが魅力の田村アナ。上京して10年が経つが、『ラヴィット!』での活躍や「好きな女性アナウンサー1位」という快挙の後でも、学生時代の友人からは「ずっと変わらないね」と言われるそう。



その背景には、自分を見失わないための大事なマイルールがある。

「周りのペースや環境に飲まれそうになったときは、昔の自分を思い出して、初心に戻るようにしています。

例えば、昔よく聴いていた椎名林檎さんや少女時代の曲を聴いたり、母校が仏教校だったので、お寺のような落ち着く場所を訪れたりします。特に、椎名林檎さんの「ありあまる富」(TBSドラマ『スマイル』主題歌)を聴くと、学生時代の帰り道や景色が鮮明に蘇ってきて、気持ちを落ち着かせることができるんです」

変わることは決して悪いことではないが、田村アナは「変わらない自分を大切にしている」と話す。

「周囲の変化に対応しながら成長していくことは、これからの人生において必ず必要です。しかし一方で、純粋な気持ちを持ち続けたいという思いもあります。昔の自分が抱いた感情や思い出を大切にしながら、これから先も生きていきたいです」

30歳からは「自分にしかできないキャリアを積んでいきたい」 

これまでは目の前のことに必死で、「未来を考える余裕はなかった」と振り返る田村アナ。上司から「今後、どんな仕事がしたいか」と聞かれても、日々の『ラヴィット!』の生放送に全力だったため「先のことを考える時間はありません」と答えるしかなく、何も思い浮かばなかったという。

しかし、30代を迎えるにあたり、少しずつ先を見据えるようになったそうだ。

「ニュース番組から『ラヴィット!』のようなバラエティ番組まで経験しているアナウンサーは、あまり多くありません。だからこそ、私にしかできないキャリアの築き方があるのではないかと考えています。それを形にしていくためにも、まずは心にゆとりを持って仕事に取り組むことが今の目標です」

取材・文/橋本岬 撮影/杉山慶五

田村真子(たむら・まこ)
TBSアナウンサー。1996年2月3日生まれ、三重県出身。

2021年3月よりスタートした『ラヴィット!』でMCを務める。2024年「第21回 好きな女性アナウンサーランキング」(オリコン)にて同局女性アナウンサー初となる1位を獲得。初のフォトエッセイ『陽がのぼるほうへ』(太田出版)を発売。

TBSアナウンサー・田村真子 1stフォトエッセイ 陽がのぼるほうへ

田村真子
TBS・田村真子アナ「ビリビリが怖くて進行に集中できない日も…」『ラヴィット!』で駆け抜けた20代と“好きな女性アナ1位”の重圧
TBSアナウンサー・田村真子 1stフォトエッセイ 陽がのぼるほうへ
2025年8月27日1980円(税込)168ページISBN: 978-4778340612田村真子がカルチャー誌『Quick Japan』と公式Webメディア『QJWeb』で毎月掲載していたエッセイ連載に、書籍オリジナルコンテンツを加えた自身初となるフォトエッセイ。連載原稿のほか書き下ろし原稿を加えたエッセイと、60ページ以上の大ボリュームのフォトストーリー、さらに親友・近藤千尋さんとの対談インタビューや連載写真のフォトアルバムで構成されます。 エッセイパートでは、2024年の夏からおよそ1年間にわたって社会人7年目の日々の中で感じたことや学生時代の思い出、そしてアナウンサーという仕事への向き合い方や将来への希望を、田村さんが等身大の文章で綴っています。普段の放送とはひと味違った、プライベートの田村さんの小さな悩みや日々の喜びを、自身の言葉でぎゅっと詰め込んだエッセイです。 また60ページ以上の大ボリュームのフォトストーリーでは「20代最後の小旅行」をテーマに自然豊かな渓谷や欧風の可愛らしいコテージ、趣味の美術館巡りなどさまざまなロケーションでのカットを掲載。旅先でリラックスした田村さんの自然体な姿はここでしか見られません。 『ラヴィット!』MCを務める朝の顔として人気を集め、2024年「好きな女性アナウンサーランキング」1位に輝くなど、老若男女の視聴者から愛される田村さんの、どこまでも明るく飾らないポジティブな魅力が詰まった一冊です。
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