「この会議、出る意味あります?」業務に多大な悪影響を及ぼす〈無駄な会議〉はなぜ増殖するのか…減らす方法もズバリ解説
「この会議、出る意味あります?」業務に多大な悪影響を及ぼす〈無駄な会議〉はなぜ増殖するのか…減らす方法もズバリ解説

多くの会社で増殖する〈無駄な会議〉。出席者の時間を奪うだけでなく、プロジェクトにも多大なる悪影響を及ぼすという。

なぜ惰性で会議が開かれてしまうのか。そしてどうしたら減らせるのか。

橋本将功著『人が壊れるマネジメント プロジェクトを始める前に知っておきたいアンチパターン50』より抜粋・再構成して、多くの会社が抱えるこの問題の解決法をお届けする。

出席者が「無意味な時間を過ごすだけ」と感じる会議

プロジェクトにおいて、会議はディスカッションや意思決定、情報共有の手段として重要な要素です。しかし、その会議が適切に運用されない場合、メンバーの時間と集中力を奪い、チーム全体に悪影響を及ぼすことがあります。

特に、惰性で設定されている目的が曖昧で進行が非効率な「無駄な会議」が頻発されると、メンバーのモチベーションが低下し、業務の効率が低下するだけでなく、最終的にはプロジェクト全体の進行に支障をきたす恐れがあります。

そもそも、無駄な会議は上長が報告を直接聞いて安心したり叱咤したりするためだけに開かれていることも多く、参加者の時間を消費してプロジェクトのリソースを削っているという意識が低いことが考えられます。

無駄な会議の典型的な特徴は、目的やゴールが明確でないことです。たとえば、「進捗状況の確認」という名目でチーム全体の会議が設定されていても、何を確認し、何を決定するのかがはっきりしていない場合、参加者はその場にいる意義を見失いがちです。

また、議題が曖昧なまま会議が進むと、議論が散漫になり、最終的に「何が決まったのかわからない」という結果に終わることが少なくありません。特にリモートワークの場合、少数の発言者以外は誰も話を聞かず非効率な状態で自分の作業を行っているという状況になりやすくなります。

さらに、会議の参加者が適切に選定されていないことも問題を深刻化させます。会議に参加する必要のないメンバーが招かれる一方で、重要な決定に関わるべきメンバーが欠席していると、議論が実質的な意義や成果を伴わないものになります。

不要な参加者にとっては時間の無駄であり、必要な参加者には後で再確認や追加の調整が発生するため、さらに時間が浪費されます。こうした状況が繰り返されると、会議そのものへの信頼感が低下し、メンバーが「どうせ無意味な時間を過ごすだけだ」と感じるようになります。

無駄な会議はメンバーのモチベーションを低下させるだけでなく、業務効率にも悪影響を及ぼします。頻繁に会議が設定されると、メンバーが集中して作業に取り組む時間が削られるだけでなく、会議から実務に戻るための切り替え時間も必要になります。

このような環境では、メンバーが「会議のための仕事」に追われるようになり、本来の業務の優先順位が低下することが避けられません。会議の多い組織では、しばしば集中できる時間が残業の時間だけ、ということになりがちです。

また、無駄な会議設定が常態化すると、「会議への参加が仕事だ」という勘違いが蔓延するようになり、時間の消費に対してプロジェクトの進捗が出ないために、その対策会議が開かれ、さらに作業時間が圧迫されるという悪循環に陥るようになります。炎上・失敗するプロジェクトではこうしたパターンが多く見られます。

効率的で成果のある会議を実現するためには

無駄な会議を防ぎ、効率的で成果のある会議を実現するためには、以下のマネジメント方法を実践することがポイントです。

①会議体を見直す
無駄な会議による組織やチームの生産性・効率性へのデメリットについての認識を共有し、会議の頻度を見直します。定例会議が形式的なものになっている場合、その必要性を再評価し、本当に必要な場面だけに絞ります。また、会議の代替手段として、メールやチャットツール、ドキュメント共有を活用することも検討します。

②会議の目的を設定する
会議の目的とアジェンダ(議題)を明確に設定し、参加者全員に事前に共有します。

要件定義など複雑なテーマについては担当者が事前に資料を作成し、「何を話し合い、どのような決定をするのか」を具体的に示すことで、会議が時間を浪費する場ではなく、生産的な議論の場となります。また、議事録やミーティングの録音・録画をとっておき、決定事項や新しいタスクの追加、プロジェクトの変更点などについて後から参照できるようにしておきます。

③適切な参加者を選定する
必要なメンバーのみを招集し、それ以外のメンバーには会議の要約を議事録などで共有することで、無駄な参加を減らします。また、進行役を明確にし、アジェンダに沿った効率的な進行を心掛けます。

④フォローアップを行う
会議後のフォローアップを徹底します。決定事項や次のステップを明確に記録し、関係者全員に共有することで、会議の成果をプロジェクトに反映させます。これにより、会議が実際のプロジェクト進行に貢献しているという認識を広げることができます。

文/橋本将功

『人が壊れるマネジメント プロジェクトを始める前に知っておきたいアンチパターン 50』(ソシム)

橋本将功
「この会議、出る意味あります?」業務に多大な悪影響を及ぼす〈無駄な会議〉はなぜ増殖するのか…減らす方法もズバリ解説
人が壊れるマネジメント プロジェクトを始める前に知っておきたいアンチパターン 50
2025/3/312,200円(税込)264ページISBN: 978-4802615051

知っていれば避けられる!プロジェクト現場のマネジメント「アンチパターン」集

プロジェクトマネージャー(PM)一筋24年!500件以上のプロジェクトを経験してきた著者が、多くの組織・プロジェクトで見られる「人が壊れるマネジメント」の原因を体系化し、その回避法を具体的にご紹介します。

「目標の不明確さで壊れる」
「経営陣の無理解で壊れる」
「意思決定過程への非参加で壊れる」
「マイクロマネジメントで壊れる」
「組織文化とのミスマッチで壊れる」
「実行したタスクがキャンセルされて壊れる」

などなど、人が壊れやすい50のアンチパターンを紹介。
再現性の高い「正しいマネジメントの方法」をセットでお伝えします。

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