
国民民主党が次期の臨時国会において、「年少扶養控除」を復活させる法案を提出する方針を固めたとFNNが報じた。この法案は、16歳未満の子どもを持つ親を対象に、子ども1人につき所得税は38万円、住民税は33万円を控除するものだ。
なぜか子どもだけが差別されている
「待ってました!」
「これはもう本当にお願いします。」
「頼む!マジで復活してくれ!!!!」
「子育て世代だけ×子どもの人数で増税されていた」
国民民主党が次期の臨時国会で「年少扶養控除の復活法案」を提出すると報道されると、ネット上には歓迎の声や復活を切望する声があふれた。
同党は先の参院選の公約にこれを掲げており、有言実行となった形だ。同党は参院選で議席数を伸ばし、予算の伴う法案の提出が単独で可能となった。その最初の法案として年少扶養控除の復活を選んだわけである。
しかし、「年少扶養控除」という言葉がわかりにくく、内容が広く理解されていないため、同党も一時は「子ども減税」という名称を使用しようとしたこともあった。しかし、誤解を生むという声により、取り下げられた経緯がある。
それでは、年少扶養控除とはいったい何なのか。
一言で言えば、年少扶養控除とは、かつて0歳から15歳までの子どもを扶養する親に対して認められていた所得控除のことである。子どもを扶養していれば、税負担が少なくなる仕組みだ。
しかし、この控除は民主党政権時の2010年に「子ども手当」導入との引き換えに段階的に廃止された。
現在、16歳以上の子どもや成人、高齢者など、他の世代については控除が認められているが、0歳から15歳までの子どもについて「のみ」この控除が存在しない状況が続いている。例えば高齢者を扶養する場合、同居であれば58万円、別居であれば48万円の控除が認められている。
民主党政権は2010年、「子ども手当」の導入を決定し、その財源として年少扶養控除を廃止した。しかも、当初、子ども手当は月額26,000円とされていたが、実際には13,000円の支給にとどまった。
その後、自民党は政権奪還時の選挙で「年少扶養控除の復活」を公約に掲げていたものの、実現されないままとなっている。子ども手当は「児童手当」と名称を変えて現在も続いているが、年少扶養控除は復活していない。
また、児童手当には2011年から所得制限が設けられ、一定以上の所得がある世帯は控除もなく手当も受け取れないという状況が続いていた。この所得制限は2024年10月に撤廃されているが、それまではお金が必要なはずの子育て世代が、金銭的に虐げられている形だったわけだ。
「どの演説会場でも必ず要望を受ける」
多くの子育て世代は、年少扶養控除がないことを不公平に感じている。他の年代の人間を扶養した場合には認められている控除が子どもだけ適用されないという状況は、「子育て罰」とも言えるだろう。
玉木雄一郎党首の公式Xによると、「どの演説会場でも必ず要望を受けるのが年少扶養控除の復活」だという。そして復活によって児童手当を廃止するのではなく、児童手当と扶養控除を「併存」させる意向を表明している。
国民民主党が提出予定の法案では、施行日について所得税は2026年1月1日、住民税は前年の所得に課税されることをふまえて2027年1月1日としている。
連立の可能性が取り沙汰されている自民党との政策協議の場においても、今後はこの法案が議題となる可能性がある。
また、今夏の参院選では国民民主党のほかに、日本維新の会も年少扶養控除の復活を公約にしていた。維新とはじめとする各党との調整や、今後の国会での議論がどのように進展するかが注目される。
少子化に全く歯止めがかからない現在、子育て世代の税負担軽減は何より優先すべき喫緊の課題だろう。
取材・文/集英社オンライン編集部