クマによる人的被害が増えている。直近で最も多かったのは2023年度だったが、死亡者数は2025年10月末時点ですでに2023年度の数を超えた。
畑でクマに襲われた女性は前頭部を14針縫うケガを…
2025年9月26日午後4時15分ごろ、秋田県北秋田市の北西部にある山の中の住宅街で「80代女性がうずくまっている」と通行人から119番通報があった。女性は当時、頭から血を流しており、「クマに襲われた」と話していた。
80代女性が当時の様子をこう振り返った。
「自宅裏の畑で農作業をしていたら、急に視界が暗くなった。太陽が雲に隠れたのかなと思って顔を上げると、体長1メートルのクマが目の前にいたんです。威嚇用で音だけ鳴るピストルを持っていたから、必死に数発撃った。そしたらクマが別の畑に行って、その時に頭から痛みを感じたのさ。
頭にかぶっていた手ぬぐいをとってみると血だらけで、血がドバドバと流れて上着も一気に赤く染まってしまった。痛みがジワジワと出てきて、『あ、引っかかれたんだな』とわかったわけ。まだクマが近くにいるから、逃げなくちゃと必死に逃げて、通りすがった人に119番してもらったんだわ」
女性の頭には2~3本の爪のようなもので引っかかれた傷ができていたという。
女性は前頭部を14針縫うことになり、約1週間後に退院した。クマの出没が相次ぐことから、朝方や夕方から夜にかけては「息子と極力一緒に外へ出ることにしている」と話す。
「8月下旬にも夕方4時ごろ、近くに住む60代の男性がここから5キロ先に行ったところで、ランニング中にクマに襲われているんだわ。目の下から首まで強く引っかかれて重傷だったらしく。気をつけてなと言われていたけど、まさか自分が被害に遭うとは思わなかった」
クマなどの狩猟を生業としてきたマタギ文化が残る北秋田市だが、「これまで人里に降りて人を襲うことは少なく、異常事態だ」と女性は話す。
「私らも歳だし、畑などもあるからどこかへ引っ越すことも気軽にできない。もともとクマが襲ってくる場所ではないから。どうしちゃったんだろうね。威嚇用のピストル音もそこまで効果があるとは思えなかったし、クマ対策に慣れている個体だと思う。なるべく一人で出かけない。
「真っ赤な眼をして、わっと襲われたときの恐怖は二度と忘れられない」
秋田県でのクマによる人的被害は、2023年ごろから増えており、秋田市内では5人が次々とクマに襲われる被害も出た。
2023年10月9日、午前9時頃ーー。秋田市南部の川沿いの住宅街にクマが現れた。計5人がケガを負い、事故現場付近には、運転免許センターや小学校、保育園が近くにある。
この日は「スポーツの日」で、祝日の閑静な朝の時間帯だった。近隣住民の女性は「救急車が複数台、消防車やパトカーまでが駆けつける大騒ぎの日になるとは思わなかった」と明かす。
「1メートルくらいのクマが出て、騒ぎになりました。私もクマを見ました。うちの飼っている犬もいつもとは違う様子で、落ち着かない状況だった。とにかく家から出ないことを意識して待っていると、パトカーや救急車の音が聞こえてきて、ようやく安心できました」
襲われた一人で80代の男性は、耳の裏の左後頭部を12針縫い、左腕から左脇腹にかけて大きいアザができる打撲傷を負った。
男性はこの日、自宅敷地内でテレビアンテナを修理していたという。修理作業に疲れた男性は、椅子に座って休んでいたときに背後から突然、クマに襲われた。
「クマが後ろから俺を突き飛ばしたんだよ。2メートルくらい飛ばされてしまった。何が起きたかわからなかった。
消防や警察の人らに話を聞くと、四足歩行でクマが俺の敷地内に走ってきて、俺が邪魔だったのかクマが手で俺の頭を狙って押しのけたらしくて。でもそれだけで、こんなケガをするとは思わなかったんだわ」
当時、近郊の住宅街では散歩中だった80代男性がヤブのなかでクマに遭遇し、ケガを負った。その後、回覧板を届ける途中だった70代女性を襲い、クマが人から逃げる形で前出の80代男性に危害を加えたという。
80代男性を襲った後、クマは東の方へ走り去った。男性は上半身が血だらけになり、打撲による痛みから立ち上がることもできなかったという。
「痛くてたまったもんじゃなかった。引っかかれた傷より、打撲のほうがはるかに痛くて、意識がもうろうとしていた。40年以上ここに住んでいるけど、クマがここに出ることなんて一度もなかった。だから襲われた当時は、クマによるものだったなんて理解できなかった」
被害にあった5人は、市内の病院へ緊急搬送されたという。
近隣住民によると、顔を引っかかれたり、太ももをかじられたりするなど大ケガを負った人が数人おり、体の他の部位から皮膚を移植しなければならないほど重体だった人もいるという。
80代男性は運ばれた当日に家に帰宅できたものの、ほかの4人は約1カ月入院をしていたという。
被害にあったという他の男性は「真っ赤な眼をして、わっと襲われたときの恐怖は二度と忘れられない」と近隣に話しているという。
次あったら終わりかも…
環境省によると、2023年度はクマのエサであるブナの実(どんぐり)の凶作が東北5県(青森・岩手・秋田・宮城・山形)で目立ったことなどが原因で、住宅街でクマの出没が相次いだとしている。
毎日のように人の生活圏内でクマの目撃情報があり、人的被害数は2006年の統計開始以降でもっとも多く、その年度の死傷者数は219人だった。
そして2025年は10月末時点で196人を超えた。23年度と同様に、ブナの実の大凶作が予測されており、今年も被害が多発している。
クマは1歳半ほどで親離れすると言われており、被害が多発した23年の母グマから行動を学んだクマが暴れ回っているという見方が強い。
なかでも、クマがこれまで苦手としていた爆竹や車のクラクションの音によるクマ対策はすでに効果が薄くなっているとされている。
これまでのクマ対策の有効性も危ういなか、前出の80代男性は「もう高齢だし、ほかの場所に引っ越す余裕もない」と肩を落とす。
「もしいまクマに遭遇したら、逃げるところがあればすぐ移動するけど、もう正直どうしようもないよね。俺以外に襲われた人たちも高齢者が多く、頭を抱えるなどの防御姿勢をとることは無理だったよ」
環境省は、クマと出くわして襲われたときには、「後頭部で手を抱えてうつ伏せになり防御姿勢を取ることで、致命傷になるリスクを下げられます。
男性は「生活する以上、外に出ないわけにはいかないから。もう諦めるしかない」と肩を落とした。
取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班

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