〈Z李&滝沢ガレソが2025年ネットニュースを振り返り〉ライバー刺殺、立ちんぼ界隈から妖怪ションベンすくいまで…「“弱き男から奪う女”を憎む者たちが大暴走」「ネーミングでニュースが決まる」
〈Z李&滝沢ガレソが2025年ネットニュースを振り返り〉ライバー刺殺、立ちんぼ界隈から妖怪ションベンすくいまで…「“弱き男から奪う女”を憎む者たちが大暴走」「ネーミングでニュースが決まる」

ロイターが調査した「日本におけるニュースの情報源とされているインフルエンサ―」ランキングで、4位と12位に入った滝沢ガレソ氏とZ李氏。Xを中心に巨大なバズを連発してきた2人だが、2025年に話題となったニュースを語り合う。

 

「弱者男性vsいただき女子」的な構図で伸びるニュースは増えている

Z李 2025年に話題になったニュースは「性」が絡むものが多かった印象ですね。色恋沙汰で言えば、3月に起きたライバーの最上あいさん刺殺事件とか。ライブ配信をしているところを襲撃されてしまった事件。 

滝沢ガレソ(以下、ガレソ) 高田馬場の路上でメッタ刺しにされてしまった、痛ましい事件でした。 

Z李 刺した男は配信で最上さんと知り合って、彼女が勤務していた山形のキャバクラで初めて会い、以降、何度も金を無心されて……消費者金融から借りてまで工面していたんだよね。なのに、ある時からバックレ、フルシカトされたわけだから殺意が芽生えたみたいなんだけど……。

でもさ、話題になったのって彼女が「ライバー」だったってことがかなり影響していると思うんだよね。

ガレソ 確かに。今っぽい響きはあります。

Z李 金をいっぱい使ったのに何もしてくれなかった女を殺すっていうのは、たぶん飛鳥時代とかからあったんだよ。変な話、縄文時代とかにも、「鹿やらウサギやら肉をたくさんあげたのに、1回もヤらせてくれないから槍で突いた」なんてことはあったと思うし。

ガレソ いただき女子のりりちゃんの事件あたりから、「弱者男性」っていうワードもかなりクローズアップされましたよね。最上さんの事件と同じような構図で、NSXっていう高価なスポーツカーを売ってまで貢いだけど袖にされた新宿タワマン女性殺害事件の男性の公判がありました(7月14日に東京地裁で懲役15年の判決。

男性は控訴)。「弱者男性vsいただき女子」的な構図で伸びるニュースは増えていますよね。

Z李 世間の反応も一部はかなりバグってて、ネット民たちは団結して過激化するわけよ。「遺族からカネを取り返せ!」なんて意見まででてきて。「弱き男から奪う女を憎む者たち」がわんさか湧いて、Xやヤフコメはめちゃくちゃになっていた。

ガレソ キャバクラ嬢や風俗嬢もですけど、彼女たちなりの苦労があるはず。危ない目に遭うリスクも抱えてるわけだし。でも、弱者男性たちは「楽して儲けやがって」としか思わない。

Z李 「俺は朝から晩まで働いて8000円なのに、なんでライバーは投げ銭で2万円なんだ」っていうね。

最近のネットニュースの根底には、この「持たざる者」「不満を持つ者」が群れをなして燃やすっていう構図がありますよね。不健全すぎるよ。

Z李が犯罪ユニットに心を揺さぶられるワケ 

ガレソ 新宿の大久保公園の立ちんぼ界隈でも、大きな事案がありましたね。先月、池袋のガールズバーの店長とキャスト1名が、成績の悪い女性従業員に売春をさせていた事件。

「売り上げ立てられないなら、立ちんぼやるか風俗か、選べ」って迫って。GPSで居場所を管理し、客との会話は録音、売り上げはほぼ全額ピンハネするという非道っぷりが際立ちました。 

Z李 先日、刊行した短編小説集『君が面会に来たあとで』の中で、同じような話を書いてて。それはホストにハマった地雷女が「お守りだよ」ってGPSを持たされて自ら売春に励むって話なんだけど、事実は小説より奇なり、だね。  

ガレソ 立ちんぼで言えば、大久保公園で売春していた4人組が捕まっていましたね。それこそ集英社オンラインでインタビューを報じたんじゃなかったですか? 事件発覚後、僕もポストしましたが、かなりの方に読まれていました。

Z李 「億を稼いだ伝説の立ちんぼ4人衆」みたいなやつね。話がそれて申し訳ないんだけど、俺、こういうユニットものの犯罪に目がなくて(笑)。

歌舞伎町でいえば、少し前の話になるけど、「令和のキャッツアイ」ってネーミングされた女性2人組の昏睡強盗チームがいてさ。それがまた絶妙に「キャッツアイ」とはかけ離れてて……。

妖怪の起源は「変態」だった⁉ 

Z李 ガレソ君は、今年で起きたニュース、何が一番印象に残ってる?

ガレソ 驚いたニュースでいうと、10月に西宮で起きた飲尿事件ですね。50代の男性が何を思ったのか、隣でションベンしていた男子高校生の尿を手ですくって飲んだという。これ、かなりくらいました。

被害者の方がいることなので、あんまり面白いとか言っちゃいけないんだけど、「わざわざ丁寧に手ですくってションベンを飲む」かつ「飲んだあと紳士的に『ありがとう』と言って立ち去る」という、無駄に紳士的なふるまいにやられましたね。

Z李 俺、漫画家の水木しげる先生をものすごく尊敬しているんだけど、妖怪文化が好きで。水木先生が描いた妖怪って、こういうやつのことなんじゃないか?って感じている。

例えば妖怪「垢舐め」ってのがいるのよ。これ、古い昔の変態がお風呂に入ってきて、少年少女を舐めまわすような事案が発生したもんだから、変態的な行為が妖怪として描かれてるんじゃないかとか。

河童だってそうでしょう。「川で遊んでたら河童に尻子玉抜かれるから気をつけなさい」とか言うじゃない。要は例えば、平安時代とかに「母上、川で遊んでいたらお尻を触られました」っていうところから河童になったりしたかもしれないわけで。

ガレソ 河童は禿げてたんでしょうね。そして、川辺の草むらに潜んでいたから緑色になっていた。なるほど、合点は行きますね。

Z李 妖怪の起源は変態だったんじゃないか、そんな確信も持ててきました。

だから50年後か100年後か知らんけど、妖怪「ションベンすくい」ってのが現れてもおかしくないですね。

滝沢ガレソも唸った「天才的なネーミング」  

ガレソ Zさんが思う、一番印象に残ったニュースはなんですか?

Z李 そうだなあ……世界情勢とか、高市関連でいい話をしたいところなんだけど、さっきの流れで変態系のニュースが頭から離れない(笑)。生徒を盗撮した“変態教師グループ”が話題になったけど、それでいうと、2年前にあった25年間で何千個も自転車のサドルを盗んでいたやつを超えるやつは今年もいなかったね。

そいつはとにかく、自転車のサドルだけを収集し続けて、何十年も捕まらずに四半世紀を過ぎたという。どこに置くのか、何に使うのか。ある種の性癖なんだろうけど、すごくない?

ガレソ 変態関連のニュースで、僕がZさん上手だな~と思ったのは、昨年、同僚女性が使っていたコップやハチミツに精液を混入させた事案があったじゃないですか。あのとき、「ハチミツ精子マン」ってあだ名がついたこともあって、猛烈な勢いでニュースが拡散されていったんですが、そのネーミングをつけたのが……。

Z李 不肖ながら、私ですね(笑)。同じ会社の経理の女性を標的にして、精子を飲み物に混ぜて、その様子をXに投稿していたやつね。

ガレソ あのタイトルセンスには脱帽しました。あのとき僕は、「ハチミツ射精マン」って呼んでしまって。引くに引けなくなった記憶があります(笑)。

Z李 本件ではハチミツって題材もよかったのかも。「牛乳」「緑茶」だといまいち弱いもんね。「ハチミツ」に対抗するには、「歯磨き粉」くらいしかない。面白いネーミングがつくっていうのも、ネットニュースでは大事だよね。

ガレソ 自民党の議員が18歳のJD(女子大生)に金渡して自慰を見せつけるという事案が2022年にあったんですが、このとき僕は「パパ活シコ太郎」って名前をつけてまとめたんですね。これも大量のインプレッションがつきました。

Z李 カタカナがうまく入ると伸びるのかな? そんな法則はある気がするね。ネーミングって大事で、例えば今年話題にもなった「メガソーラー」だってさ「自然を切り開いてあんなものを置いてケシカラン!」とか怒る人たくさんいるじゃない。

けど、メガソーラーが「超大型太陽光発電所」って名前でしかなかったら、そうはなってないでしょ。言いにくいし。

「ワクチン」もそうだし「パパ活シコ太郎」「ハチミツ精子マン」……そうだね、6文字以内のカタカナを入れるといいのかも。「ホームタウン構想」もそうだね。

ガレソ 陰謀論界隈の人たちが群がりそうなテーマですね。

Z李 結局、ネットニュース界隈って刺激が強いものでないと反応が得られなくて、良いコンテンツは読まれず、不満やうっぷんを晴らすような記事ばかりあふれてしまってるよね。陰謀論ってのも主要コンテンツになってて、かなりまずいと思う。俺らが言ったところで、もうどうにもならないのだろうけど。

俺もガレソ君も、キャラや設定に飲まれないよう俯瞰してSNSをやってるけど、たいがいの発信者は承認欲求や自己顕示という魔界で焼かれて、見失うよね。かくして荒れたコンテンツばかりが作られ、消費されていく。日本の将来がマジで心配です、はい。

取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班

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