永田町では6月解散説も「ただの駄々っ子」維新の強硬姿勢に政権幹部「信用ならん」 鍵を握る麻生副総裁、国民民主へ再婚ラブコール
永田町では6月解散説も「ただの駄々っ子」維新の強硬姿勢に政権幹部「信用ならん」 鍵を握る麻生副総裁、国民民主へ再婚ラブコール

日本初の女性総理大臣の誕生、連立政権の組み替え……。2025年は日本政治が激動の1年だった。

2026年の日本政治はどこに向かっていくか。高市政権は解散に踏み切るのか。それはいつなのか。ジャーナリストの長島重治氏が解説する。

自民・維新の連立政権が参院で6議席足りない、という現実

まずはこの1年間の政治展望を考えたい。

高市総理は2025年末に東京・赤坂の議員宿舎から総理公邸に引っ越した。総理の執務室がある総理官邸に隣接する総理公邸に住むことで、「危機管理に万全の態勢で備えたい」と周囲に意気込んでいる。

高市総理の仕事始めは1月5日の伊勢神宮への参拝、その後の年頭記者会見で始まった。
その後は韓国の李在明(イ・ジェミョン)大統領、イタリアのメローニ首相を日本に迎える。

李大統領は高市総理の地元・奈良県に足を運び、日韓首脳会談を実施する予定だ。日中関係が冷え込む中、同じ東アジアの盟友として韓国の外交的価値がますます高まっている。ただ、それは中国にも言えることで、李大統領は訪日の前に1月5日に訪中している。

一方のメローニ首相。

高市総理とは初めてとなる日伊首脳会談では、日英伊で共同開発を進めている次世代戦闘機が主要議題になり得る。

何より大事なことは、李大統領は直前に習近平主席と会談し、メローニ首相はトランプ大統領に誰より近いと言われている。日本にとっても最重要な米中の両首脳について、二人から色々なコツを聞くことも重要なミッションになるだろう。

1月23日には国会が開会する。2026年度の予算案について3月末までに年度内成立をさせることが政権の最優先課題だ。その意味では2025年末に高市総理と国民民主党の玉木雄一郎代表が「年収の壁」で合意したことはとてつもなく大きい。

玉木氏が「当日のお昼過ぎでも合意に至らず、決裂を決意した」という交渉は高市総理の急転直下の決断でひっくり返った。年収655万円以下という「壁」は残ったが、納税者の8割をカバーする「大盤振る舞い」(財務省幹部)をしてまで高市氏が国民民主にこだわったのは自民・維新の連立政権が参院で6議席足りない、という現実だ。

さらに、高市氏の側近はこう解説する。

すぐに『連立離脱だ』と言い出す維新にはうんざり

「高市さんは吉村代表や藤田共同代表との個人的な関係は悪くない。ただ、閣内に入って責任を共に背負いもせず、すぐに『連立離脱だ』と言い出す維新の”ヤンキー体質”にはうんざりしている。国民民主党を巻き込むことで、だだっ子の維新を牽制したいという思惑もあるようだ」

その効果はてきめんで、玉木氏はすでに「年収の壁」での合意を理由に2026年度予算に「成立に向けて協力する」と述べた。所得制限を665万円以下とすると、現在は低所得層に限られる非課税枠の対象を大幅に増やすことになるため、財務省は減収規模をおよそ年6500億円と試算した。

片山さつき財務大臣は「確かに痛いが、埋まらない支出でもない」と周囲に語り、財政へのダメージも抑えたという認識だ。むしろ、政権幹部は「維新は信用できない。国民民主を取り込めるなら安い買い物だ。麻生さんにも感謝しているよ」と打ち明ける。

「麻生さんにも感謝していると」いうのは、高市氏と玉木氏が合意する会談の前に、麻生太郎副総裁と国民民主の榛葉幹事長が水面下で会談し、交渉の下地を作っていたことへの感謝という意味だ。

 麻生氏は政敵「菅元首相」に近い維新に不信感

麻生氏は政敵である菅義偉元首相に近い維新への不信感が強い。維新とでは選挙協力も進まない。国民民主なら、連合の民間産別の団体票も期待できるため、「国民民主との連立こそが麻生氏の悲願だ」(麻生派中堅)と言われている。

それでは、2026年に国民民主党は連立入りするだろうか?

答えは「ノー」だ。玉木氏は多党化時代の政策実現のあり方として、周囲に「野党のままでも政策実現は可能だ」と語っていて、逆に自信を深めたようだ。当面は連立政権には入らず、半身のまま、予算や内閣不信任案では政権与党に協力して、自分たちの政策実現を交渉する「部分連合」を選択するだろう、というのが大方の見立てだ。

国民民主党が半身で政権と対峙する以上、高市自民は維新を取り込み続けなければならない。ただ、吉村代表が「改革のセンターピン」と言い放った議員手数の削減は2025年の臨時国会では見送りになった。

2026年の通常国会での成立を意気込むが、維新以外の政党はどこも慎重だ。加えて、この課題は衆院議長の下に置かれた与野党協議会で春ごろまでに結論を出すことになった。ただ定数削減をするだけではなく、選挙制度改革と一体での改革を各党が志向している。

自民の反発強い自動削除条項「とても採決に持ち込めない」

自民党は中選挙区制と小選挙区制が党内アンケートで半々だったという。立憲民主党は小選挙区制を志向し、国民民主党は定数3程度の中選挙区連記制、公明党は都道府県別の比例制や小選挙区比例併用制を提案している。

つまり、各党が自分たちの政党に有利な選挙制度をテーブルに乗せようとしているので、とても春までに結論が出せる状況ではない。

維新は1年以内に決まらなければ、「小選挙区25、比例20を削除する」という自動削除条項を入れて、各党協議会の結論を待たずに1年以内の決着をもくろむ。

ただ、この自動削除条項には自民党内にも反対が多く、とても採決に持ち込める状況にはならないだろう。

そうなると、維新は副首都法案など他の項目をあきらめて連立離脱を選択するのか、春以降に決断を迫られることになる。党創設者の松井一郎氏は「約束守ってもらえないなら連立離脱するべきだ」と維新の幹部たちに伝えているといわれる。

吉村氏も「センターピン」と言い切った以上、実現を迫り続けるが、もともと高市氏と連立交渉の過程で最後の方に入った約束だ。わずか1週間程度のスピード結婚だったため、高市氏も自民党に持ち帰って細部を詰めたわけではない。

最大の焦点は、6月の国会会期末の衆院解散

自民内には「なんで大阪府知事が国会議員の定数削減を求めてんだ。関係ないじゃないか」と不満がたまっている。

予算が成立した4月以降には、6月会期末にかけて、連立政権内も議員定数削減を巡ってもめていく可能性が高い。

今年前半の政局展望の最大の焦点は、6月の国会会期末に高市総理が衆院解散に打って出るかどうかだろう。

昨年10月に連立相手を公明党から維新に乗り換えて発足した高市政権は新たな連立の枠組みについて、国民の審判を受けてはいない。その意味では衆院を解散する大義は成り立つ。

6月の会期末には立憲民主党が内閣不信任案を出してくることも想定されるので、高市総理の勝ち気な性格を考えたら、対抗手段として解散総選挙に打って出る可能性はある。もちろん、そのときまで政権の高支持率を維持できているかどうかなど不安定要素があることは言うまでもない。

通常国会は150日間と長いため、高市総理自身は頑張っても、閣僚や党側から失言やスキャンダルが出てくる可能性もある。

2026年に解散が行われる可能性は?

そうしたときに、局面打開のために解散に打って出て権力基盤を強固にして憲政史上最長と言われる長期政権を実現させたのが安倍政権だ。

高市氏は安倍晋三さんを師と仰ぎ、安倍さんが重用した官邸スタッフを次々と高市官邸に招き入れている。その中でも安倍政権で7年半も政務秘書官を務めた今井尚哉氏は内閣官房参与として、高市氏から助言を日夜求められている立場だ。

その今井氏は「安倍政権では常に衆院解散のタイミングを探っていた。選挙に勝つことで政権基盤が強固になり、内政でも外交でも政策実現への力が増していくのだ」と語っていたことがある。

ただ、肝心の高市氏自身は選挙や政局よりも政策への興味や関心の方がはるかに強い。お目付け役の麻生副総裁も「解散は再来年以降でもいいんじゃねーか」と周囲に語っている。

高市氏の自民党総裁任期は2027年9月。衆院議員の任期は2028年10月。高市氏が解散を決断しなければ、2026年には選挙が行われない可能性もある。多くの永田町関係者の見立てを総合的にみると、2026年に解散する可能性は50%程度といったところか。

ただ、物価高が続く国内経済にしても、沖縄近海で空母の艦載機訓練をする近隣の軍事大国にしても、課題や懸念が山積しているのが事実だ。どこかのタイミングで政権基盤を固めるための解散総選挙に打って出る決断をする可能性もある。

2026年の政局展望は国民民主党、維新との関係に加えて物価高対応、そして対米国、対中国外交という内外の諸課題と重なる形で、高市総理が総理大臣の唯一無二の権力である「伝家の宝刀」をいつ抜くのか、そこに注目が集まることは間違いない。

文/長島重治

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