どんな批判にも正面から切り返し、鉄のメンタルと評される自民党の鈴木貴子広報本部長。そのブレない強さはどこから来るのか。
「原点は、やっぱり人」
SNSでの批判や答弁での追及に、鈴木議員はいつも堂々と切り返す。そのメンタルの強さについて聞くと、意外な答えが返ってきた。
「ブレない強さというよりも、人はちょっとしたことでもブレる弱さがあるということを知ることが大事なんだと思います」
父・鈴木宗男氏が批判を受けていた時代、鈴木議員は10代で世間が経験してこなかったメディアバッシングを見てきたし、体験してきた。
「だから『強い』というより、事実は事実として伝えたいという思いが強いんです。広報の仕事も同じ。ことさらに誇張することを目指しているわけでもないし、『こんなことが決まりました』だけじゃなくて、そこに至る過程をできる限り皆さんにお伝えしたい」
政治は機械がやるものではない。
「どれだけ生成AIだ、スーパーコンピューターだと言われても、人がいるから営みがあって、社会の秩序が必要になって、政治が求められる。その原点は、やっぱり人なんです」
尊敬する人は「子どもたち」
尊敬する人を聞くと、鈴木議員は少し考えてからこう答えた。
「うちの子どもたちかもしれません。可能性とか、気づきをくれる存在なんですよ」
2024年10月に行われた第50回衆議院議員総選挙が終わった後、長女から手紙をもらった。1か月も離れていて、「なんで1回も帰ってきてくれないの」とでも書いてあると思っていたはずなのに、そこに書かれていたのは意外な言葉だった。
「『お母さん、金メダルとれたね。
『お母さん、疲れただろうから、まずお母さんが身体をしっかり休めてね。その時にそばにいさせてね』って。どこに行きたいとかじゃなくて、『ただ一緒にいさせてね』って。究極じゃないですか。それだけ寂しい思いをさせてしまった。私も小さい時に経験したからこそ、同じ思いをさせてしまった、と申し訳なく思いました。
もう、一生分の親孝行をしてくれたと思えて、この後、あなたにどんな反抗期が来ても、この手紙を読んで抱きしめるから!って」
母の表情で瞳を潤ませる鈴木議員。子どもたちは最近も、こんな名言も残したという。
「下の子が『将来、お姉ちゃんと結婚したい』って言うんです。
幸せを後押ししてくれるのが政治家の仕事だと、子どもは純粋に思っている。
「『困ったときにどうにかするのがお母さんたちのお仕事』みたいな。多分それぐらい大きな枠組みで考えているんだろうけど。深いですよね。まさにその通りですから。
あと、子どもは『お母さんは周りの人を幸せにするのがお仕事です』って言ってくれるんです。そう感じてくれているなら嬉しいし、そのために頑張らないといけない」
政治家と母、「切り替えなんてない」
政治家としての顔と、母親としての顔、切り替えはあるのか。また、仕事と家庭の両立ということは、子どもを持つ人たちなら誰でも気にするところでもある。大切にしていることを聞くと、鈴木議員はこう率直に答えた。
「切り替えなんてありませんし、両立なんてできてないんですよ。まず、両立ってなんですか?という感じで」
もっと子どもと一緒にいたい。政治家として人様の卒業式には出られるのに、なんで我が子の卒業式に出られないんだろう。その葛藤は常にある。
「それも子どもに説明がつかない。ただただ申し訳ないと思うのだけど、子どもたちに伝えるべきは『ごめんね』より、『大好きだよ』だとも思うんです。ちなみに私の父の口癖は『スマンな』でした。父としてやっぱりあと一つ足りてませんね」
そう語る表情は柔らかで、自身の父へ愛ある皮肉を込める。そんな鈴木議員は、働く女性のきれいごとではない本音をずばり代弁する。
「私ももちろんですが、世の中の働いている親は、できるんだったら、もっともっと子どもといたいんですよ。でも同時に、仕事を辞めたいわけでもないし、おざなりにしたいわけでもない。だから永遠に答えがないんです。満足もないし、納得もないし、完璧もないし、完全もない。
でもね、子どもがこうも言ってくれたんです。『お母さん、お仕事大変って言うけど、お母さんいつもお仕事楽しそうにしてるよ』って。楽しそうにしてるって見えていれば、よかったなと」
鈴木議員にとって、政治家として一番成し遂げたいことはなにか。
「寛容な社会。人の幸せを素直に喜べる社会を作ることです」
やりたいことはたくさんある。ライフワークの防災・減災、子ども・子育て支援、教育改革など。
「上の子は小学2年生ですが、学校の様子を見ていても、今の日本の教育は『のびのびと』とか『想像力を』と掲げているわりには、持ち物や身につける物が細かく指定されていて、モヤモヤするところもありますね」
でも最終的には、寛容な社会に尽きるという。
「人の幸せを素直に喜べる。全てを受け入れる必要もない。だからといって、排除しない。それが支え合いの社会なのでね」
27歳で初当選、これからも「使っていただく」
27歳で初当選した際は、当時の最年少議員でもあった鈴木議員。それだけでなく、防衛大臣政務官を始めとして、外務副大臣など、最年少で就任したという記録をいくつか持っている。この件について歯がゆく思っているのは当の本人だ。
「“最年少○○”言うのはあくまでも記録、タイトルにすぎません。そして、“鈴木宗男の娘”もまた同じ。
政治家としてみなさんにいつまでも使っていただけるように、『鈴木貴子と言えばこの仕事をした』『あの人だよね』という、人の記憶に残る仕事をして、記録よりも記憶に残る政治家でありたいですね」
そして、こうも付け加える。
「子どもたちとは、一緒にいる時間は少なくても、人のために働く姿を見せていきたい」
インタビューの最後、再びお子さんの話に戻った。
3年前の七夕で、長女が短冊に書いた願いごとは《あかちゃんをうむときにいたくありませんように》だったという。
「私がさんざん『痛みは忘れるけれど、それは違う。本当に痛い思いをして産んだんだから!』って語っていたものだから、それが強く印象に残っていたんでしょうね」
笑いながら、でも優しい目で語る鈴木議員。
「でも、産むことは前提なんですよね。どんな人生が待っているかわかりませんが、家族や大切な人に出会える人生であって欲しいと願っています」
政治家として、母として。鈴木貴子は今日も、人の幸せを素直に喜べる社会を目指して歩み続けている。
取材・文/木原みぎわ 撮影/齋藤周造

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