「よくこんなにキモくて恥ずかしいことが描けたな(笑)」——2月26日発売の新刊『独りで死ぬのはイヤだ』を読み返し、作者の中川学さんがこぼした本音。48歳年収200万円で婚活市場に飛び込んだ日々は、知恵熱が出るほどのメッセージ地獄と、マンツーマンの会話の連続だったという。
婚活を経て劇的に成長した「文章力」ともう1つ
――集英社オンラインで連載された『婚マン 独りで死ぬのはイヤだ』がコミックスになりました。1冊にまとまると、さらに面白いですね。
中川学(以下同) ありがとうございます! 嬉しいですねー。自分でも読み返してみたのですが…なかなか面白かったです。ただ、我ながら結構キモいですね。特に1~3話が。「よくもこんなにキモくて恥ずかしいことが描けたな」と思いました(笑)。
【キモさ6:面白さ4】といったところでしょうか。「キモ面白い」ということで世に打って出たいです。
――48歳年収200万円で婚活を始めた中川さんですが、改めて「婚活」に真剣に取り組んでみていかがでしたか?
「婚活」というコミュニケーションの応用問題、難しかったです。これ以上難しい問題はないんじゃないですかね。赤点の連続だったんですけど、「婚活」をしたことによって成長できたことや得たことがあったので、取り組んでみてよかったです。
――成長できたことや得たことって、どんなことですか?
いろいろあるんですが、まず文章力がアップしました。婚活のお相手とメッセージのやり取りをものすごい数やったので。漫画にも描きましたが、やり取りのしすぎで知恵熱が出たんです。おかげさまで、文章で自分の気持ちを表現することが、少し上手くなりました。
もう1つは、女性と1対1でも楽しく話せる会話力がつきました(あくまでこの場合の「楽しく」は、私の主観です)。以前は、「緊張」が先立って全然楽しめなかったんですけど、婚活で女性と1対1でお話をする経験を積み重ね、だんだんと慣れていき、最終的には楽しめるようになりました。
コミュニケーション力って、筋力に似てると思うんです。「人に会う」というトレーニングを続けていれば、徐々についてくる。逆に怠ると衰える。婚活に取り組んでなかったら衰える一方だったと思います。なので、取り組んでよかったなぁと思います。
――婚活の中では、インタビューの際に撮影した中川さんの写真に対して「普通にイケメンかも」「年収、年齢関係なしに結婚できるでしょ」といったうれしい反応もありました。
これは、写真を撮ってくださったカメラマンさんのおかげです。その方は、私と同じ就職氷河期世代なんです。そして、晩婚なんです。撮影前、撮影現場でそのような話になり、意気投合しました。
そんなこともあったので、力を入れてカッコよく撮ってくださったのだと思います。撮っていただいた写真は本当にいいものが多く、「あ、これ、遺影に使いたい」と思ったものもありました(笑)。
「独りで死ねよ」に心が折れそうになることも
――お見合い写真が遺影ですか…?
遺影にちょうどいい絶妙な表情の写真があるんですよ。お見合い写真と兼用したいなと…(笑)。
――一方でYahoo!のコメント(ヤフコメ)やXでは、「視界に入れたくない」「ヤバイ人じゃん…汗」「作者がダメダメすぎてワロタ」などといった厳しいご指摘も…。
Yahoo!やXのコメント、ショックでした。こんなに言われるのかと…。10年以上エッセイ漫画を描いてきて、こんなに否定的なコメントをもらったのは初めてです。「風俗店でくも膜下出血を発症した体験談」を漫画化したときでもこんなに否定的なコメントはありませんでした。
「今まで中川先生のエッセイ漫画を応援してきましたが、今作は受け入れられません」って読者の方までいたんですよーー(涙) 。
でも、一方でものすごく支持してくださる方もいます。同業者で褒めてくださる方が何人かいまして、それはとても心強いです。まぁでも、賛にしても否にしても、読んでもらえるだけでありがたいです。
――実際、最もうれしかったのはどんなご意見でしたか?
『オッドタクシー』『セトウツミ』『シナントロープ』など数々の名作を生んでいる漫画家の此元和津也先生からの「面白いです。私はあそこまで身を削れません」という感想です!担当編集さんから間接的に聞いたお言葉ではあるのですが…。
――逆に最も傷ついたのはどんなご意見でしょうか?
「48歳・年収200万で婚活? はぁ? 独りで死ねよ。他人に迷惑かけるな」ですかねー。やはり撮ってもらった写真は、遺影として使用するべきなのかも…。
――中川さんが真摯に「婚活」と向き合っている姿を見ると、そういう誹謗中傷は本当に悲しくなります。
まぁでも、言い方はきついけれど、ごもっともな意見という気もしています。この意見をバネにして自分を奮起させ、年収アップを図っています。
――それと同時に、真正直に相手に向き合う不器用さには見ていてハラハラしてしまいました。
高倉健さん以来の不器用さです。それゆえ、かなりガチャガチャした展開になりましたね(笑)。
――まっすぐ過ぎて本当にハラハラしましたよ。(後編へつづく)
独りで死ぬのはイヤだ 年収200万円、48歳独身漫画家の婚活記
中川学
累計5000万PV突破!(2025年12月現在)
「集英社オンライン」の大人気コミックエッセイ連載が単行本化!
デビュー作『僕にはまだ友だちがいない』がNHKで実写ドラマ化。自身のくも膜下出血体験を描いた壮絶実録漫画『くも漫。』が実写映画化するなど、常に話題を呼ぶ漫画家・中川学。
コロナ禍のある経験がきっかけとなり、年収200万円、48歳の独身漫画家が婚活に目覚めた! 「友人や知人」「マッチングアプリ」「婚活パーティー」「お見合い」……いろんな形で本気の婚活に挑む実録コミックエッセイ! その結末は?
マンガのほか、各婚活で学んだコラムや誌上お見合いのレポートなど読み物も充実。
取材・文/集英社オンライン編集部 撮影/井上たろう

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