高市旋風で子どもの習い事が激変「ドラムやりたい!」が止まらない? 教室は新校舎建設、女の子も興味津々
高市旋風で子どもの習い事が激変「ドラムやりたい!」が止まらない? 教室は新校舎建設、女の子も興味津々

音楽教育への関心の高まりから、近年、ドラムを習う人口が増えている。実際、各地の音楽教室のHPをみると「ドラム教室を増設しました」の文字が並んでいる。

世界に目を向ければ、ドラム教育市場は2024年に約14.3億ドルに達し、2033年には約26.8億ドルへ成長する見通しだ(DATA INTELO「ドラム教育市場調査レポート 2033」)。

 

日本国内においてそんな急成長を底上げしているのが、小・中学生の存在だが、多種多様な楽器がある中で、なぜ“ドラム”なのか。実際に習っている親子やドラム教室に話を聞いた。

高市旋風の一端? ドラムを叩くようになって前向きに

音楽の習い事といえば、よく聞くのはピアノやバイオリンで、ドラムは「置き場に困る」「近所との騒音トラブルが心配」と、なかなか始めるにはハードルが高いイメージがある。

母親たちが我が子の習い事にドラムを選んだ背景にはどのような理由があるのだろうか。

「音楽を通して楽しく達成感を味わい、向上心・自信につながっているのか、息子の性格が前向きになった」と話すのは都内在住のマリカさん(41)だ。現在10歳になる息子は、3年前からドラムを始めた。

「某大手音楽教室で元々ピアノを習っていました。でも、集中力が続かず悩んでいたときに、レッスン室内にあるドラムに興味を持ちました。大好きなリズムゲームの『太鼓の達人』を彷彿とさせることもあってか、やらせてみると『ピアノよりも楽しい!』と。

基礎的なリズムからはじめ、簡単な曲を演奏できるようになったかと思うと、今では好きな曲を課題曲として演奏。『次のレッスンが楽しみ!』と話すほど夢中です」

今年1月の日韓首脳会談で、高市早苗首相が韓国の李在明(イ・ジェミョン)大統領とドラムセッションをしたのは記憶に新しい。高市首相のスティックさばきに背中を押された子も少なくないようだ。

神奈川県在住・ミサキさん(36)の8歳の娘もその一人。

「娘のお友達でドラム教室に通っている子がいて、以前から『体験に行ってみたい』とは言っていたんです。ただ、男の子が多いようで二の足を踏んでいました。

そんな中、“日本初の女性総理”である高市さんが楽しそうにドラム演奏をする姿を見て『やっぱりやる!』とすぐに体験に行きました。最初、本物のドラムを前に圧倒されて緊張気味でしたが、演奏が始まると笑顔でスティックを振っていました。

まだ自宅にドラムはないので、クッションやティッシュ箱を叩いて練習しています。今後続ける場合は、購入も検討していますが、騒音が大丈夫かという不安はあります」

ドラムを習うと脳が活性化し、コミュニケーション能力も上がる?

昨今のドラムブームについて、音楽事業を手掛ける株式会社GT MUSICの代表取締役でドラム講師も務める滝川岳氏に話を聞いた。

「GT MUSIC SCHOOLには、現在180名ほどの生徒が通っており、半数の90名ほどがドラムを習いにきています。そのうち、約3割が中学生以下の生徒さんです。

YouTubeでたまたま観たドラム演奏に惹かれて来る子、楽器店で試しに叩かせてもらい魅了された子、親御さんが音楽関係者で興味を持たれた子など、きっかけは様々です。

中には、『サッカーは挫折をしてしまったが、ドラムなら楽しく継続して習えるのでは』と通い始めてくれた子もいます。叩けば音が出るドラムは、他の楽器よりハードルが低く、演奏する楽しさを感じやすいんです。

新型コロナウイルスの影響も大きいと感じています。

コロナ禍の巣ごもり需要でドラム人気が高まり、2020年は電子ドラムが前年比の2.6倍売れたそうです。スクールに通う生徒の中にはご自宅に電子ドラムがある子も増えています。特別なものだったドラムが身近なものになりました」

ドラムを習いたい生徒の増加で、GT MUSIC SCHOOLでは新たに5階建てのスクール施設を建築中だという。ドラム人口の増加には、“叩けば音が出る”ことで、楽譜が読めなくても楽しめるという特性も影響しているようだ。

「足で踏むとドンと大太鼓(バスドラム)が鳴り、手元には小太鼓(スネアドラム)やシンバルがあります。本来はそれぞれの楽器を4人で奏でていたはずのものが、両手両足を使い4人分を1人で操っているようで、アンサンブル(合奏)を1人で体感できてしまう。達成感も感じやすいんです。

“楽しくリズム感を育む”ことを大切に1人1人に合わせて一対一で教えています。リズム感は、生まれ持ったものだという方もいますが、環境を整え、そこに身を置けば身につくものです」

また、ドラムには演奏することによる副産物も多いという。

「両手両足を同時に動かすため、脳の活性化につながり集中力・記憶力が鍛えられることが期待できます。音楽の土台となるリズム感が育まれるのはもちろん、全身運動なので、エネルギーの発散により心身の健康に良い影響を与えます。スティックコントロールで反射神経が鍛えられるようで、他のスポーツに良い影響があったという声も聞きました」

発達障がいの児童の支援にも一役買っている

社会性やコミュニケーション力の向上のために、発達障がいなどを持つ子どもたちにドラムを教えることもあるという。

「児童発達支援・放課後等デイサービスを行なう企業からご依頼を受け、ドラムを教えに行ったり、教室に来てもらって叩いてもらう機会もあります。

最初は緊張したり、こちらに注目してくれない子もいますが、リズム遊びが始まると夢中になってくれます。まずは、リズムの核である4分音符を使った言葉遊び“魔法のリズム”をゲーム感覚で行ない、リズム感を鍛えます。口数の少ない子が声を発したり、過集中の特性が強い子が周囲に合わせて演奏を楽しむ姿も見受けられます」

最後に、今年1月の日韓首脳会談での、高市早苗首相と韓国の李在明大統領のドラムセッションの反響について尋ねてみた。

「目に留まった人も少なくないようで、ドラムへの親近感・認知度が高まったように感じています。ギターなどに比べ、話題に上がることの少なかったドラムが注目されるのは嬉しいです。

スティックさえあれば誰もが叩けるドラムですが、続けると何万通りもある奏で方、その奥深さに魅了されるはず。機会があればぜひ叩いてみてほしい」

ちょっぴりハードルは高いけれど、メリットもたくさんあるドラム。高市首相効果もあり、まだまだスポットライトがあたる機会がありそうだ。

取材・文/山田千穂 集英社オンライン編集部ニュース班

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