不法就労を通報すると「1万円」…茨城県の新制度に賛否「密告では」「外国人狩りがおきる」全国最多3452人の背景
不法就労を通報すると「1万円」…茨城県の新制度に賛否「密告では」「外国人狩りがおきる」全国最多3452人の背景

茨城県が新年度から導入を目指す「通報報奨金制度」が話題だ。この制度は不法就労外国人の情報を市民から募り、摘発につながった場合に報奨金1万円程度を支払う予定で進められている。

この制度に対して、「これはやるべき」「報奨金ハンターが増える」「外国人狩りが起きる」などネットには賛否両論が広がっている。

 

また、政治団体や人権団体から「密告者になれと言っている」「外国人差別と分断の助長に繋がる」と撤回を求める声が上がる。

茨城県、不法就労者3年連続で全国1位…

2月18日の記者会見で茨城県の大井川和彦知事は、不法就労外国人に関する「通報報奨金制度」について「何か密告制度とかそういう話になっていますが、本当に真面目にやっていただいている外国人労働者まで不安に陥れるような身も蓋もないような話には絶対になりません。ならないよう設計しています」と語った。

そもそもなぜこのような制度が必要だったのか。

茨城県は農業大国と呼ばれるほど農業がさかんで、2024年の農業産出額は約5494億と8年連続全国第3位だ。

それゆえ、農業分野における外国人労働者の数が全国で1、2を争うほど多いという背景がある。茨城県の担当者に同制度について尋ねてみた。

「2024年の出入国在留管理庁のデータで茨城県は不法就労者が3452人に達しており、全国で一番多く、3年連続で全国1位という背景があります。

そんな中、法に基づいて真面目に働いている外国人や経営努力している事業者まで同じように見られてしまうんじゃないかという懸念がありました。

真面目にやっている方たちがそういった不安に陥るようなことはあってはならないと不法就労対策を行政としてしっかりやっていこうと今取り組んでいるところです」

現段階では制度設計している最中で、詳細については今後決まっていくという。

ネット上では制度に対してさまざまな声があるが、やはり多いのは「外国人差別に繋がるのではないか」という声だ。その点について茨城県はどう考えているのか。

「制度の設計についてはあくまで予定ではありますが、人権侵害に繋がらないような制度設計を今考えております。外国人の個人情報は一切受けつけない方向ですし、取り扱いいたしません。そもそも個人情報をいただいても調査権を持たない私たちには確認のしようがありません。

例えば『〇〇という事業者で不法就労している人が多い』などの情報は、私どもも普段事業者回りをしている際にも耳にします。そういった事業者の情報をネットで募るという予定です」

年間20件くらいを想定も「情報がないのが一番」

大井川知事は記者会見で「確認できた不法就労だけ警察に通報する仕組み」と語っていたが、寄せられた情報をどのようにして信頼のおける情報か判断するのだろうか。

「情報の確度については情報提供者に氏名など素性を明かしてもらった上で情報を寄せてもらいます。

例えばですが、『事業者さんから報告を受けている人数と畑で働いている人数が違う』など数字から情報の整合性を確認することもできます。その都度、情報を精査し、県警と連携すべきかなど状況を判断することとなります。

もちろん私たちが得た情報を持ってその事業者に出向き、白黒つけることはできませんし『不法就労している方がいますよね?』と直接聞くことはできません。情報提供を受けたという事実についても、われわれがその事業者に明かすことはいたしません」

通報報奨金1万円程度ということで「報奨金ハンターが増加するのでは」とネット上では危惧されているが、どういったケースであれば支払われる予定なのか。

「これについては寄せられた情報によって摘発にいたった場合と考えています。金額についても概算上の予算が20万円で年に20件という想定のもと1件1万円程度と申しています。

茨城県内だけで1年間20件もの摘発というのはそこまでないのかと思っています。そもそもあってはならないことなので情報がないのが一番だと考えております」

また、担当者はこの制度の意義について「正直者がバカを見る」現状の打開策としての側面を上げる。

「不法就労が増えているのは、それをわかっていながらも雇い入れて受け入れる方がいるからという側面があるかと思います。

不法就労は違法ですからこの制度によって、不法就労をしている事業者さんが改めたり、違法行為を犯そうとしている事業者さんへの抑止の意味合いも強いです。

本当に経営努力して外国人を雇うための人件費を工面している事業者さんや農家さんからすれば、不法就労の外国人を安く使ったり、外国人が働いているだけで周囲から同じように見られるのはおかしいという声はたくさんいただいております。

茨城県は人手不足という事もあり、外国人の力を借りないと経済が回っていきません。ですから不法就労が多いままですと、結果的に優秀な外国人の人材まで他県に出ていくことに繋がりかねないと考えております」

法務省の出入国在留管理庁にも同様の通報制度があるが、県がこうした通報制度を行なうのはほとんど前例がないとのことだ。どのような制度になるのか今後も注目が集まる。

取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班

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