「WBC観戦罪は草」「もう朝の会」閣僚の現地観戦を批判する野党にSNSもあきれ…繰り返される国会の無駄遣い
「WBC観戦罪は草」「もう朝の会」閣僚の現地観戦を批判する野党にSNSもあきれ…繰り返される国会の無駄遣い

与党閣僚が野球の国際大会・WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)を観戦していたことを中道改革連合の小川代表が国会で取り上げたことをめぐり、SNS上で疑問の声が広がっている。

「この中で現地に試合観戦に行った閣僚がいたら手を挙げて」

衆院予算委員会では、中道改革連合の代表を務める小川淳也衆院議員が質疑の中で、WBCを観戦した閣僚がいるかどうかを確認。行った閣僚に挙手を求め、片山さつき財務相、木原稔官房長官、城内実経済財政政策担当相が手を挙げた。

小川代表はこれを受けて「危機管理上…」と言いかけたが、坂本哲志委員長から時間切れを告げられた。

これに対し政府側は、「首相官邸の危機管理センターは24時間体制で情報収集をしており、常に迅速に報告を受けている。危機管理上は問題ない」との認識を示した。

このやり取りが報じられると、SNSでは、

「WBC観戦罪は草」
「この質問に何の意味があるの?」
「国会でWBCの出欠確認とか、もう朝の会で草w」
「そんなことより物価を議論してくれ」

といった批判的な声が相次いだ。

与党を監視するのは野党の重要な役割であるものの、こういった的外れな質疑で国会の審議時間を使うことへ非難が相次いでいる。

実は、日本の国会ではこれまでも政策論争そのものではなく、政治家の行動や生活スタイルをめぐる追及が話題となった例が少なくない。

代表的な例としてよく知られているのが、2008年の「カップ麺はいくら?」問題だ。

2008年10月28日の参議院外交防衛委員会で、当時民主党所属だった牧山ひろえ参院議員が、当時の麻生太郎首相に対して次のような質問を行った。

「カップラーメンひとついくらくらいかご存じですか」

麻生首相はこれに対し、

「いまは400円くらいします?」

と答弁した。

当時のカップ麺の価格は100円台から200円台程度だったため、この発言は「庶民感覚とずれている」として大きく報道された。

牧山氏はその後、この質問は小麦価格の高騰や物価上昇を議論するための導入だったと説明している。しかし、メディアでは「カップ麺400円発言」だけが切り取られ、国会審議の象徴的なエピソードとして広く知られることになった。

国会で漢字テストも

2009年には「未曾有」を「みぞうゆう」と読んでしまい話題となっていた麻生首相に対し、民主党(当時)の石井一議員が国会で改めて「漢字テスト」を実施した。

石井議員は首相が就任直前に月刊誌「文芸春秋」に寄稿した論文から12の単語をセレクト。

「就中(なかんずく)」「畢竟(ひっきょう)」「窶(やつ)し」など難読漢字を記載したパネルを用意し、読めるかを問うたうえで、「(論文は)本当にあなたが書いたのか」と追及した。

これに対し首相は「書かせていただいた。皆さんが読みにくいのは『身を窶し』ぐらいじゃないか」と答弁し、漢字テスト戦略は不発に終わった。

政策そのものではなく、首相個人の読み間違いに焦点が当たったことで、「国会でそこまでやる必要があるのか」という批判を招いた。

国会以外の場ではあるが、今回のWBCに似た構造の野党批判の例は過去にもある。

安倍政権下では、首脳外交の一環として行われたトランプ大統領との「ゴルフ外交」が、野党からの批判対象となった。

立憲民主党の福山哲郎幹事長(当時)は2018年4月、北朝鮮や通商問題、シリア情勢が緊迫する中でのトランプ大統領とのゴルフについて「国民の理解を得られないのではないか」「違和感がある」と批判した。

一方、外務省は、両首脳がゴルフと夕食を通じて日米関係の幅広いテーマについて意見交換し、親睦を深めたとしており、政府側は一貫して外交日程の一部とかねてから位置づけていた。

昨年から続く関税問題を例に引くまでもなく、トランプ大統領との親密な関係は、今となっては外交上重要であることは広く認識されているが、当時はこの文脈で首相を批判する一部メディアもあった。

政策成果そのものより「ゴルフをしていた」という絵柄が先行した点で、象徴的批判の典型例の一つといえる。

このように政治の場において、政策そのものではなく、政治家の象徴的な行動や発言を取り上げて問題を印象づける手法がしばしば取られることがある。

短いフレーズで伝わりやすく、メディア報道やSNSで拡散しやすいという特徴がある一方、政策の中身よりもエピソードだけが注目されるという側面もある。

今回のWBC観戦をめぐる質疑でも、SNSでは、

「野球観戦より税金や物価を議論してほしい」
「これでは政策審議が進まない」

といった声が広がった。

もちろん、政治家の行動や姿勢を問いただすこと自体は国会の役割の一つである。危機管理意識や庶民感覚を問う議論は、政治への信頼にも関わる問題だ。

ただし、国会には限られた審議時間しかない。予算や法案、物価対策や外交政策など、国民生活に直結するテーマを議論する時間をどのように確保するかは、与野党双方にとって重要な課題となっている。

WBC観戦をめぐる今回の質疑は、国会審議の優先順位や政治のコミュニケーションのあり方について、改めて議論を呼びそうだ。

取材・文/集英社オンライン編集部

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