〈警視庁幹部が不機嫌ハラスメント〉「アイツは使えねえ」「土日にも電話の時代錯誤」オンカジ摘発などで成果の“たたき上げ警視”に何が起きたのか
〈警視庁幹部が不機嫌ハラスメント〉「アイツは使えねえ」「土日にも電話の時代錯誤」オンカジ摘発などで成果の“たたき上げ警視”に何が起きたのか

怒鳴ったりはしないが不機嫌な態度で相手を委縮させる「不機嫌ハラスメント(フキハラ)」を理由に警視庁本部の課長が処分され、その後、退職したことがわかった。課長は治安対策で成果を上げ、部下や事件記者からの評価は優秀で一致しているが、同時に部下へのあたりがきついことでも有名だった。

優秀な捜査指揮官でも、「昔の体育系みたい」と評される組織運営が許されないことがわからなかったのか……。

最近警視庁が検挙した重要事件捜査のけん引役だった

複数の社会部記者によると、9日付で退職したのは警視庁で風俗関係事件を担当してきた、課長を務めた警視正のA氏(60)。少年事案やサイバー犯罪、消費者被害などを扱う生活安全部の畑を歩み、課長には2024年8月に就任した。A氏を取材してきた警視庁担当記者の一人がその仕事ぶりを話す。

「生活に密着した問題を扱う部署だけに、Aさんは悪質ホストやオンラインカジノへの警戒を呼び掛ける学生や企業向けの防犯講話をするなど、外部での活動も盛んでした。

それだけではありません。昨年吉本所属の6人の芸人がオンラインカジノをやっていたとして賭博容疑で摘発(書類送検)された事件や、全国の1800もの性風俗店と契約していたスカウトグループ『アクセス』のトップを組織犯罪処罰法違反容疑で逮捕しグループが解体に追い込まれた事件、直近では退職代行モームリの事件も、Aさんが先頭に立って切り盛りしました」(記者)

最近警視庁が検挙した重要事件捜査のけん引役だったA氏は9日、同僚らに笑顔で見送られながら警視庁を後にした姿が目撃されている。だが定年の年齢でも年度末を前にした退職には「処分絡みだろう」との見方もあったという。

そこへ10日になって、A氏が言動によって部下を委縮させる『フキハラ』をしたと認定され、昨年12月に警務部長注意を受けていたと朝日新聞が報じた。

同紙によると、「(A氏から)パワハラを受けている人がいる」との複数の訴えを受けた警視庁が部下らに聞き取りをしたところ、「男性に反論すると不機嫌になる」「一方的で意見具申できない」「部下の好き嫌いが激しい」といった証言があった。

いっぽうで、自分自身がパワハラ被害に遭ったと明確に証言する部下はおらず、「誰よりも仕事をする」と仕事を評価する声もあったという。

“被害者”は自分がパワハラ受けているとはなかなか話さなかった

こうした毀誉褒貶相半ばする評価は、警視庁担当記者からも同じように聞かれた。

「私たち記者に対する顔は誠実で、レクの対応も丁寧だし人当たりも悪くなかったです。でも仕事が絡むとめちゃくちゃ厳しかった。

一度ヘマをして彼に『切られた』ら最後、もう二度と相手にしてもらえなかった。『何かネタありますか?』なんて不用意な聞き方をした記者を『何かありますかじゃねえだろ!』って一喝して泣かせたこともありました。

でも本当に悲惨だったのは部下たちだよ。Aさんは『俺は優秀だ』『あいつらは使えねえ』って平気で口にする。自分がデキる人間だから求める基準が異常に高くなっちゃうんだろうね。でも言い方はきつくても指摘している内容自体はもっともだったりするから、尊敬しつつも恐れおののいている部下が多かったんじゃないかな」(全国紙社会部記者)

別の大手紙社会部記者も、

「いい意味でも悪い意味でも昔ながらの刑事で、パワハラ気質でよく(警視庁)人事1課にタレコミがいってました。でも“被害者”は自分がパワハラ受けているとはなかなか話さないから処分されなかったんだよね。Aさんは仕事ができることで有名だったけど、若い子(部下)にとっては時代錯誤な存在だったんだろうね」

と証言。以前から言動が問題視されてきたことをうかがわせる。

さらに別の警視庁担当記者は、A氏が過去に同様の問題が理由で昇進が足踏みしたことがあると証言した。

「Aさんはいわゆる『オールドプレイヤー』なんだよ。毎日毎日彼のところに通い詰める記者のことを『根性あるな』って認めるような昔の体育会系みたいな人。

彼は部下の誰よりも仕事をして、土日の深夜だろうが平気で電話してくる。今の若い人たちはそれをハラスメントと感じるんだろうけどね。

彼はノンキャリアで交番勤務から始め、途中昇進が止まったことがあるのに(警視より一階級上の)警視正にまでなった叩き上げで、そんな人は今の時代めちゃくちゃ少ないですよ。それだけ熱意があるからキャリア組もその熱意を評価して引き上げたし、もともと刑事畑(捜査二課)だった彼を生活安全部が引き抜いた経緯もあります」(警視庁担当記者)

記者に「自分が率いた課のラベル」を貼った焼酎をふるまう名物刑事

朝日新聞によれば、A氏の処分理由は前任部署にいた2021年9月から25年9月ごろにかけ「良好な職場環境を整える立場にあったにもかかわらず、部下に対して日常的に不機嫌な態度で接した」というものだ。警務部長注意処分は懲戒ではなく「監督上の措置」だという。

退任を前にA氏は担当記者を集めた飲み会で「警視庁〇〇課」と自分が率いた課のラベルを貼った焼酎をふるまったという。不良警察官が続出する時代、“名物刑事”がこんな形で警視庁を去ることを残念がる声が記者たちからは出ている。

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取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班

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