ベネズエラに敗れ、WBC出場6大会目にして初のベスト8敗退に終わった侍ジャパン。世界の強豪を相手に「力の差」を見せつけられた敗戦だったが、そんな中でも大きな存在感を放った男がいる。
「連覇」の夢は無念にも途絶えた――。
日本時間3月15日。アメリカフロリダ州マイアミのローンデポ・パークで行われたワールド・ベースボール・クラシック2026準々決勝。日本はベネズエラを相手に5‐8で敗戦。前回大会に続く連覇を目指した戦いは志半ば、ベスト8という結果で幕を閉じた。
敗戦の理由は各メディアがさまざまに報じているが、シンプルに「力負け」だったと言っていいだろう。データを見ると、それが如実にわかる。
投手で言えばこの日は両国合わせて13人が登板(日本6人/ベネズエラ7人)したが、「球速」に着目すると、この日投じられた全316球のうち、球速上位19位までをベネズエラの投手陣が占めた(20位に日本の山本由伸がランクイン)。投手は「球速」がすべてではないが、日本の投手陣が誇る技術を、ベネズエラ投手陣が「出力」でねじ伏せたという見方ができる。
打者に関しては、MLBで「価値が高い」とされるハードヒット(打球速度95マイル以上)の準々決勝での数を見ると、日本の9本に対してベネズエラが14本。日本もスタメンに現役メジャーリーガー5人を並べたが、MLBオールスター級がズラリと並ぶベネズエラがそれを上回ったと言える。
史上最強の呼び声も高かった日本が、過去最低となるベスト8で敗退――。この現実は受け入れるしかないが、一方で日本球界の未来に明るい兆しをもたらした選手もいる。佐藤輝明だ。
ベネズエラ戦で打席に立った全打者の中で、打球速度1位は大谷翔平が初回に放った先頭打者本塁打(113.6マイル/約182.8キロ)だったが、2位は3回裏に佐藤輝明が放った二塁打(108.6マイル/約174.8km/h)。打球速度だけで言えば、ベネズエラが放った3本の本塁打を上回った。
しかもこの打球はベネズエラの先発スアレスが投じたインローの変化球を、腕をたたみながら上手く打ち返した打球。決して「100%のスイング」ではなかったはずだ。それでも、並み居るメジャーリーガーを上回る打球速度を記録したことに価値がある。ちなみに今大会、侍ジャパンの面々が記録した打球速度の上位10傑は以下になる。
NPBからは佐藤輝明だけがランクインした数字
【2026WBC 侍ジャパン打球速度上位10傑】
・順位 ・選手 ・打球速度(マイル) ・対戦相手 ・回(イニング) ・打席結果
1 大谷翔平 117.1(約188.5km/h) VSチャイニーズ・タイペイ 1回 二塁打
2 大谷翔平 113.6(約182.8km/h) VSベネズエラ 1回 本塁打
3 村上宗隆 112.1(約180.4km/h) VSチェコ 8回 本塁打
4 村上宗隆 111.8(約179.9km/h) VS韓国 8回 安打
5 大谷翔平 110.8(約178.3km/h) VS韓国 3回 本塁打
6 佐藤輝明 108.8(約175.1km/h) VS韓国 7回 一ゴロ
7 佐藤輝明 108.6(約174.8km/h) VSベネズエラ 3回 二塁打
8 岡本和真 108.3(約174.3km/h) VSチャイニーズ・タイペイ 5回 左直
9 吉田正尚 107.1(約172.4km/h) VSオーストラリア 7回 本塁打
10 岡本和真 106.7(約171.7km/h) VSベネズエラ 3回 二塁打
(※参考/Baseball Savant(https://baseballsavant.mlb.com/)
大谷翔平は“さすが”の一言だが、佐藤は出場機会が少なかったにもかかわらず(大会通じて10打数3安打)6、7位にランクイン。選手単位で言えば大谷、村上宗隆に次ぐ打球速度を記録した。また、上位10傑の顔触れを見ても分かるように、佐藤以外は全員が現役メジャーリーガー。打球の質だけをみれば、すでにその打撃が「メジャーリーガー級」であることを証明したとも言える。
今春のキャンプで、佐藤に「打撃の質」について話を聞ける機会があった。今季の佐藤はセ・リーグ二冠を記録した昨季よりも体重を増やしてキャンプイン。その意図について、こう語っている。
「体重を増やしたことで、たとえば昨年までは100の力でしか打てなかった打球を80~90で打つことができる。実際に、その手ごたえも感じています」
ベネズエラ戦で記録した二塁打は、まさにその成果と言っていいだろう。傍から見ればコンパクトに、決してフルスイングではないにもかかわらず、高い出力を発揮できる。セ・リーグMVPを獲得した昨季から、さらなる進化を見せているのだ。
また、打撃技術や出力以上にフォーカスしたいのが、その「メンタル」だ。ベネズエラ戦で井端弘和監督は佐藤を2番に先発起用。大会前から「大谷のあとを打つ選手」は高い注目を集めたが、1~2戦目の近藤、3戦目の鈴木誠也と、今大会で「大谷のあとを打った選手」は3戦連続、実に13打席ノーヒットに終わっていた(4戦目は大谷が不出場)。
ベネズエラ戦の3回に佐藤が放った二塁打は、大会通じて「大谷のあとを打つ選手」が15打席目にして初めて放ったヒットでもあったのだ。日本中が注目する国際舞台で、なおかつ世界を代表するスーパースター大谷の「あとを打つ」ことの重圧は、想像を絶するはずだ。
後ろを打つ鈴木誠也も初回に負傷交代と、「重圧がかかる」という意味では今大会屈指のシーンだった。そんな局面で、佐藤は結果を示した。試合には敗れたが、もしも準決勝に進出できたと仮定したら、井端監督は迷わず「2番佐藤」を選択したはずだ。
ロス五輪でのリベンジに期待
「学生時代から、どちらかと言えば周囲の目とか、声とかはあまり気にならない方でした。数字も気にしないですし、過去は過去。たとえば昨年、結果を残して今季はどうとか言われることも多いけど、まったく気にしていないです」
思えば12球団屈指の人気を誇る阪神タイガースという“特殊な球団”にドラフト1位で入団しながら、1年目から5年連続2ケタ本塁打。打てないときは容赦ないバッシングを浴びながら、それでも成長を遂げた男だ。
日本のWBCが終わり、ここからは一気にシーズンモードに入る。WBCベスト8という結果、さらには村上、岡本和真といったスター選手のメジャー移籍など、日本球界には課題と不安が入り混じる実情がある。
2年後にはメジャーリーガーも参戦予定のロサンゼルス五輪が、その後には「リベンジ」を期待されるであろう次回WBCも開催される。兼ねてからメジャー志向があることを報道されている佐藤が、そのときどの球団のユニフォームを着ているかは正直わからない。
ただ、少なくとも2026年のNPBには、縦じまのユニフォームを纏った佐藤輝明がいる。
今季も、NPBの主役はこの男――。佐藤輝明がWBCで世界に示した可能性は、それを確信させるに十分すぎるものだった。
取材・文/花田雪

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