支持率は依然高水準――。だが、その内実には“異変”が起きている。
高市首相に滲む「苛立ち」と「焦り」
「中東情勢の国内経済への影響については、ガソリン、軽油、重油等への補助を3月19日から開始した結果、ガソリン価格は補助開始前の3月16日に190.8円まで高騰していたところから、170.2円へと抑制することができました。
さらに中東情勢に伴う重要物資安定確保担当大臣の下、関係省庁の局長級をメンバーとする『中東情勢に伴う重要物資の安定的な供給確保のためのタスクフォース』を設置しました。
石油製品・関連製品を始め、中東情勢の影響を受ける重要物資の供給状況を総点検し、海外を含めたサプライチェーン全体を踏まえた重要物資の安定確保のための具体的対応方針を策定していきます」。
高市首相は3月31日、自身の「X」(旧ツイッター)にこのように投稿し、イラン情勢の緊迫化を踏まえた物価高対策に取り組む姿勢を強調した。ただ、昨年10月の自民党総裁選で自信満々に「大胆な危機管理投資と成長投資」などを訴えていた時の余裕は見えない。滲むのは「苛立ち」と「焦り」だ。
毎日新聞が3月28、29日に実施した世論調査によれば、高市政権の物価高対策を「評価する」とした人は19%にとどまり、「評価しない」が39%に上った。イラン情勢の悪化に加え、円安進行に伴う輸入コストの増加、エネルギー価格上昇などが現在進行形で人々の生活を直撃し、国民には「あれ、サナエノミクスどうした?」といぶかる声もあがる。
首相は総裁選で「日本列島、強く豊かに。」と掲げ、「暮らしの安全・安心」の確保と「強い経済」実現をアピールしたが、国民から期待されている施策をスピーディーに打てているとは言い難い。
政府関係者「本当に消費税減税を実施できるかはまだわからない」
ガソリン価格や電気・ガス代の高騰に伴う対策は検討するものの、2月の総選挙で首相が声高に訴えた「2年間、飲食料品の消費税率ゼロ」は霧散したかのような印象を与えている。
超党派の「社会保障国民会議」で議論し、夏前に中間とりまとめを行う意向というが、首相に近い政府関係者からは「本当に消費税減税を実施できるかはまだわからない」との声が聞こえてくる始末だ。
衆院選で大勝すれば、圧倒的な議席数を背景に高市首相の強力な経済政策が断行される––––。
年度内の成立にこだわり、首相が「数の力」で衆院側を押し切った2026年度予算案だったが、与党が過半数(125)に5議席足りない参院側ではゴリ押しが通用せず、ついに暫定予算案が編成されることになった。
立法府に対して「無理筋」を要求しようとする高市首相には自民党内からも不満の声が漏れる。先に触れた毎日新聞の世論調査を見ると、直近の内閣支持率は2月21、22日の前回調査から3ポイント下落し、58%となった。支持率が60%を下回るのは2カ月ぶりという。
依然として高水準を維持するものの、国内外の情勢をにらめば高市内閣の先行きには不透明感が漂うといってもいいだろう。
政権を支えてきたコアな支持層の間で不満か
誤解を恐れずに言えば、筆者は高市首相が強力なリーダーシップを発揮して諸課題を乗り越え、長期政権を築いてもらいたいと期待するものだ。その最たる理由は、頻繁に内閣総理大臣が交代する日本の「悪しき政局」は国益を損ねるリスクであると感じる点にある。
もちろん、思想・信条や政策の方向性に異を唱える人々は少なくないだろうが、国家として考えた場合にトップリーダーがコロコロ代わるような事態は避けるべきと考える。
ただ、高市内閣の先行きが気がかりなのは、政権を支えてきたコアな支持層の間で不満が広がっているように映る点にある。言い換えれば、保守政治家を代表してきた高市氏が首相就任後は「現実路線」に舵を切るシーンが目立ち、大きな期待が「不満」や「苛立ち」に変わりつつあると感じてしまう。
これは「期待が大きすぎた政権」の宿命とも言える構図だが、これから状況を一変させるようなシナリオを高市内閣が持ち合わせているとは思えない。
憲法改正に本気で取り組むつもりがあるのか不安視
歴代政権が踏み込めなかった政策転換や大胆な決断が首相に期待されていたはずなのに、いつの間にか「現実路線」に修正されている状況はコアな支持層からすれば「物足りなさ」を感じるのではないか。
内閣総理大臣就任前は、保守層の歓心を買うようなフレーズを次々に発し、トップへの階段を登ってきた高市氏だけに「支持率の反動減」はある日を境に大きなうねりとなるような気がしてしまう。
消費税減税への取り組み、国民生活を下支えする物価高対策の規模やスピード感といった政策にかかわるものだけでなく、それは「政治家・高市早苗」そのものに向けられるものだ。
象徴的なのは、憲法改正への取り組みだ。高市首相は2月20日の施政方針演説で「国会における発議が早期に実現されることを期待する」と述べている。
憲法改正は衆参両院で総議員の3分の2以上の賛成で発議が可能となる。現在の国会における勢力は自民党が衆院で3分の2を占めるものの、参院では改憲に前向きと言える野党を加えても数議席は足りない。無所属議員の動向がカギを握ることになる。
首相は「憲法改正にしっかりと挑戦する」「実現に向けて力強く取り組みを進めていかなければいけない」などと言葉を繰り返すものの、首相の「岩盤支持層」といわれる保守層からは憲法改正に本気で取り組むつもりがあるのか不安視する向きもある。
首相就任後は靖国参拝を自重
保守層からの期待が外れたという意味では、「靖国神社参拝」も当てはまる。
高市氏はこれまでの記者会見で「靖国神社は戦没者慰霊の中心的な施設であり、平和の社。どのように慰霊をするのか、また平和をお祈りするのかは適宜適切に判断させていただく。これは絶対に外交問題にされるべきことではない。お互いに祖国のために命を落とした方に敬意を払い合える国際環境をつくるために一生懸命努力していきたい」などと述べ、首相在任中の靖国参拝を「公約」としてきたはずだ。
だが、首相就任後は靖国参拝を自重している。
正直、こうした首相の「変節」にはガッカリしている方も少なくないのではないか。
中国に対する言動と比較して「媚米」ぶりは顕著
昨秋の国会審議においては、台湾有事の際は「存立危機事態になり得る」と主張して保守層から評価を受けた高市氏だが、米国によるベネズエラ攻撃やイラン攻撃などに対しては慎重に言葉を選んだままだ。
昨年10月の記者会見で、首相は「日本の国益に合わないことが起きた場合には、日米の協議の枠組みの中でしっかり申し上げる」と言っていたはずだが、中国に対する言動と比較して「媚米」ぶりは顕著だ。
言うまでもなく、日米同盟関係が我が国の外交・安全保障の基盤であるものの、時に「NO」と言えない日本であっては困る。加えて、2月22日の「竹島の日」式典には閣僚の派遣を見送った。
高市首相は「竹島の日、堂々と大臣が出て行ったらいいじゃないですか。顔色を必要は窺う必要はない」などと威勢良く語っていたにもかかわらず、である。自民党三役が出席するのとでは意味が全く違う。
保守層、不満爆発の可能性も
高市首相に対しては「強い保守政治」を体現するリーダーとしての期待が寄せられていたはずだ。だが、これまでのスタンスを見る限り、与党内調整の末の修正や米国一辺倒とみられる外交ばかりが目立つ。
つまり、「首相就任前の言葉は強かったが、首相としての実行力には疑問」という評価が生じてくるのではないか。
コアな支持層からすれば、首相の理念には共鳴・評価するものの、それが結実しないという不満が爆発してくる可能性は少なくないだろう。問われるのは、どこまで「実行」できるかだ。
高支持率を背景に一時は「サナ活」「サナ推し」といった言葉まで生まれたが、高市氏を支持する保守層の期待に応えていけなければ、今後は支持の厚みが薄れていくのは間違いない。政権発足から半年近くが過ぎ、期待先行で突き進んできた高市内閣に対しては国民も冷静な視線を注ぐようになっている。
再評価において「看板倒れ」と見なされるのか、それとも「実行力がある」と映るのか。内閣支持率は今後、期待と失望の間で揺れ動いていくことになりそうだ。
文/竹橋大吉

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