〈本人直撃〉かまいたち山内の弟・剛、詐欺被害を止める店長としての矜持「自分のお店を犯罪の舞台にしたくない」
〈本人直撃〉かまいたち山内の弟・剛、詐欺被害を止める店長としての矜持「自分のお店を犯罪の舞台にしたくない」

お笑いコンビかまいたち」の山内健司さんの弟でファミリーマート松江学園南店の店長の山内剛さん(38)。彼が特殊詐欺被害を阻止してきたことは地元の人に広く知られ、店には被害相談に来る人までいる。

山内店長によれば、この「相談」を周囲にできるかが被害に遭うかどうかの分かれ道になるという。

名指しで相談依頼がくる山内さん

――剛さんが警察から感謝状を受けられたニュースを見て、わざわざ店に訪ねて来た人もいたそうですね。

山内剛さん(以下同) 
高齢の男性がスマートフォンを見せて「こんな内容来たけど、これ大丈夫かな。どう思う?」って普通にレジに来られました。

いきなりで「えっ」と思いましたが、確かに詐欺っぽい内容だったんで「これはブロックして無視していいですよ」とアドバイスしました。

――そのお客さんは山内さんが詐欺被害を防いできたことを知って来たんですか?

そうです。名指しで「山内さん、あんた詳しいでしょ。これどうかね」って(笑)。ほかにもスタッフさんが話を聞いてあげたこともあります。

――詐欺師が送ってきた文面を見て「これはだまされるかも」みたいな、巧妙なものはありましたか?

「何億円当選しましたよ」とあり得ない額が書かれていて、「あなたにも分配金がありますので振込手数料払ってもらったらお金あげますよ」っていうのがありました。

しかも「当たったのは4人で、あなたはそのうちの1人です」とあって、メッセージを受け取った人が払わないでいると、別の当選者を名乗る人物から「君が払ってくれないと僕ももらえないんだけど」みたいなLINEがきて早く払わせようとしてました。

――それもLINEで?

LINEの設定を勝手に友達に追加されるようにしておくと、次から次に(詐欺グループ側に)登録されるんだと思います。それで新しい登場人物が送ってきたんじゃないでしょうか。

――これだけ報じられているのにだまされる被害が止まりませんね。

だまされている方って詐欺師のことをすごい信じてるんですね。

例えば「香港の銀行のCEOがいま決済をするのに手数料が必要で、何万円かの電子マネーを送ってくれたら決済した何割かをあげるから」みたいな、明らかにおかしなメッセージを信じて「いや、この人は信用できる人やから」みたいな感じで言うお客さんが来たことがあります。その後、警察が来てようやく納得されましたが。

被害に遭った方って相談できる人がほとんどいなくて、誰かに話せば絶対「詐欺でしょ」ってわかるような内容なんです。

だから相談してもらうと被害に遭う確率はものすごく減ると思います。

――相談できる人がいないというのは?

高齢で1人暮らしの方とか、ご家族と離れて周りと交流されない方が(一人で)判断しちゃって、みたいな感じです。

「自分のお店を犯罪の舞台にしたくない」

――そういう方がどこで詐欺グループと接点を持つのでしょうか。

高齢の男性で、TikTokで女性の動画に「いいね」やコメントをつけたら返って来て、そこからLINEに誘導されてやり取りが始まったというのがありました。

その方は信じちゃって「彼女が羽田空港まで来たけど入国手数料みたいなのが必要で、送ってくれないかと言われている」って言うんです。

向こうから電話が来なくても自分から入っていってたら、警察もどうしようもないとは確かに思います。

――では防衛策としては誰でもいいから相談してみると?

本当に誰も相談する人がいないっていうことならスタッフに聞いてもらえば、うちだけでなく他のお店でも全然止めると思います。

買う時に“最終防衛”としてスタッフに「こんなん来たけど」ってLINEの内容を言ってもらいたいです。

――コンビニがそうした社会的な機能を持つことをどう思いますか?

「自分のお店を犯罪の舞台にしたくない」っていう気持ちがあって(声掛けを)始めました。

なかなか難しいとは思うんですけど、どのお店もそういう気持ちを持ってやっていただいて、その上で買う方も意識を高めて注意していただけたらと思います。

相談してもらえばスタッフがいるし、逆にスタッフから声がけすることによって、お客様はその詐欺に気づくっていうこともあると思うので、そこはお互い対策をやっていければと、とは思います。

――――

詐欺師はターゲットに「コンビニで電子マネーカードを買ってその番号をSNSで送れ」と要求することが多い。ファミリーマートでは被害防止策として、同社が扱うPOSAカードをレジに通すと「POSAカードの番号を教えろは、全て詐欺です。ご注意下さい。」というメッセージがレジ横の画面に流れるという。

だが、だまされた人の心に最後に響くのはやはり人の声のようだ。「阻止の匠」の教訓が広まれば被害は確実に減りそうだ。

取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班

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