失踪したベトナム人技能実習生13人を住み込みで働かせた中国籍のピーマン農場主(36)を逮捕…地方で広がる“闇の受け皿”の実態〈岩手〉【2026年3月ニュース記事5位】
失踪したベトナム人技能実習生13人を住み込みで働かせた中国籍のピーマン農場主(36)を逮捕…地方で広がる“闇の受け皿”の実態〈岩手〉【2026年3月ニュース記事5位】

2026年3月、集英社オンラインで読まれた人気のニュース記事ベスト5をお送りする。第5位は人口5084人の村で起きた、ある事件の記事だ。

2026年3月に、集英社オンラインで反響が大きかった人気ニュース記事のベスト5をお送りする。

第1位は、学歴詐称問題で揺れる田久保前伊東市長の記事だ。その後に在宅起訴となったが、記事では地元の声などを取材した。
第2位は、18歳の女性を殺害した罪で22年の実刑判決となった事件の記事だ。容疑者は一体どんな人物だったのかを詳報した。
第3位は顔出しで過去のいじめを告発した女性のインタビュー記事、第4位は世間を震撼させた池袋・女性店員殺害の記事、第5位はベトナム人実習生を違法に働かせたピーマン農場主の記事だ。

第1~5位のランキングは以下の通り。

第1位
「もう言い逃れできない」「卒業証書はニセモノ」と静岡県警は断定 田久保前市長は起訴か…“68単位”発覚で支持者離反、現市長は1億円請求へ

第2位
〈江戸川・18歳女性殺害〉「遺体を弄び被害者の尊厳すら奪った…」パンチパーマ男(33)に“異常かつ悪質”と懲役22年の判決「小さな頃から悪ガキだった」

第3位
〈独自〉19歳少女が壮絶いじめを顔出し告白「メダカとからかわれ、筆箱を取られ、道路に突き飛ばされ…」150年の伝統校で起きた重大事態「まだ過去が足かせになっている」

第4位
〈池袋ストーカー殺人・親族の告白〉「彼女ができたんだ!」と母親に自慢していた廣川容疑者(26)幼少期に両親が離婚、学生時代は「沖縄で水泳頑張っていた」大学受験は失敗

第5位
失踪したベトナム人技能実習生13人を住み込みで働かせた中国籍のピーマン農場主(36)を逮捕…地方で広がる“闇の受け皿”の実態〈岩手〉

↓以下記事本編

2月26日、岩手県警は技能実習先から失踪したベトナム人らを雇用し働かせたとして入管難民法(不法就労助長)の容疑で、中国籍の会社役員A(36)=同県二戸市=と、中国籍の同社員B(41)=同県九戸村=を逮捕した。ベトナム人らが働いていたのは逮捕されたAが経営していた九戸村の農場だ。人口約5084人という静かな村でいったい何が起こっていたのか。

日給は8千円~1万円、就労時間は午前8時半から17時半まで

昨年10月、二戸市や九戸村に住むベトナム、タイ、中国籍の男女30人余りが入管難民法違反(旅券不携帯)の容疑で逮捕された。社会部デスクが解説する。

「昨年10月に入管難民法違反(旅券不携帯)で逮捕されたベトナム人13人を自身の経営する農場などで働かせたとしてAは逮捕された。

ベトナム人らはもともと技能実習生として来日し関東などで働いていたが、給料面や待遇を理由に失踪していた。

働いていたのは昨年3月からとみられている。BについてはAの指示で、失踪した技能実習生を斡旋していたとみられているが、県警は余罪も含め実態の解明に当たっている」

ベトナム人らはAの経営する農場や作業場で住み込みの形で働いていた。Aが経営する会社のHPによると、日給は8千円~1万円、就労時間は午前8時半から17時半までだったようだ。共同生活を送っていた九戸村の一軒家の近隣に住む男性はこう話す。

「多くの外国の人が出入りするのを何度か見たことはあるけどね。農業をしにきているというのは知っていたけど、何か付き合いがあったわけでもないしどんな生活をしていたのかとか内情は知らないよ。私自身は特にトラブルがあったっていうわけでもないし」

九戸村と言えば県内一の生産量を誇る鶏肉や、国内有数の産地である甘茶が有名だが、そうした生産現場では年々外国人労働者の重要性が高まり、人数も増えているという。前述の近隣住民男性が続ける。

「この10数年でこのあたりにも外国の人をよく見かけるようになったよ。この村も過疎化が進んで人が減っていってしまっているから人が来てくれるのはいいんだけど、事件が起きたりすると心配ではあるよね」

2024年の技能実習生の失踪者は6510人

Aが就農したのは2018年のことだ。もともとは飲食店に勤めていたAは家族5人で露地ピーマンの作付けからスタートしたという。

その後はミニトマトやネギの栽培と拡大していった。2023年には新岩手農業協同組合から特別功労賞を表彰し、その時のことを会社のブログにてこう綴っている。

〈令和5年●●株式会社(※編集部伏字)に特別功労賞を頂き、ありがとうございます、人々と環境と地域への貢献の情熱をもっと燃せいるように頑張ります。(原文ママ)〉

岩手県内の農協関係者が語る。

「一組合員でピーマンとネギの受託販売を行なっていましたが、ピーマンの量は管轄内の組合員の中では多い方でした。そういったこともあり地域に貢献したとして表彰されたのだと思います。昨年の10月に従業員の方たちが逮捕されたという話は現地の支所から聞いておりましたが、その後もネギの出荷の時期に入っていましたから普段通りに出荷されていたと聞いています。

今後のことについてはどうなるのかなどはまだ聞いていないのでわかりません。これまでに同じケースで県北で逮捕されたという話は私は聞いたことありません。

今回は失踪した外国人実習生がAさんの会社に来ていたということですが、周辺では逆に外国人実習生の方が行方不明になってしまったなどの話を耳にします」

出入国在留管理庁によると2024年の技能実習生の失踪者は6510人。前年からは3243人減少したものの技能実習生の1.2%が失踪している計算になる。

失踪の理由の多くは、低賃金と不当な扱いだと言われてきたが、こうした背景をふまえて従来の技能実習制度が見直され、2027年4月1日からは育成就労制度が始まる。

育成就労制度が技能実習制度と大きく違う点は、日本で働き続けてもらう人材確保を前提にしている点だ。前出の社会部記者が解説する。

「新制度では人権侵害などがあった場合、いつでも転職することが可能になる。全国各地で失踪した技能実習生による窃盗や強盗事件などが多発していることを考えれば、失踪者を減らすことは治安回復に繋がる。一方で外国人増加による治安の悪化も叫ばれ難しい問題だ」

技能実習生の失踪は都会でも、地方でも起きている。その受け皿のあり方は日本全国が直面する課題なのかもしれない。

取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班

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