「上半身はフツーだけど…異次元の脚太め女」を自称、コンプレックスを強みに変えたアパレル店員…11.9万人が共感する発信力
「上半身はフツーだけど…異次元の脚太め女」を自称、コンプレックスを強みに変えたアパレル店員…11.9万人が共感する発信力

「上半身は普通なんですけど、脚の付け根から下だけ別人みたいで」。そう語るのは、人気セレクトショップ「GALLARDAGALANTE(ガリャルダガランテ)」ルミネ北千住店の販売員で、約11万9000人のフォロワーを持つインスタグラマー・さじー(本名・笹嶋千翔)さんだ。

自らを「異次元の脚太め女」と称し、体型にとらわれずファッションを楽しむスタイルを提案。その発信に多くの共感が寄せられている。脚にコンプレックスを抱えていた幼少期、アパレル店員としての葛藤、そして子育てと両立しながら発信を続ける現在――そのポジティブな力の源泉について聞いた。

小学校の卒業式には「パンツスーツで出席しました」

――「GALLARDAGALANTE(ガリャルダガランテ)」の販売員として、またインスタグラマーとしても活躍されているさじーさんですが、どんなきっかけでアパレル店員になられたのでしょうか。

小学生の頃から、自分の脚が周りと違うことに気づいていました。卒業式では同級生がミニスカートやハイソックスなどの可愛い洋服を着る中、どうしても脚を出したくなくて、母に頼んでパンツスーツで出席しました。女子で一人だけスラックスだったのを覚えています。

それでも洋服は好きで、20歳の頃にアパレル店員になりました。ただ当時はカリスマ店員と言えば細い人ばかりで、自分の体型には劣等感がありました。だからひたすら体を隠してお洋服を楽しんでいました。特に冬が来るのが怖くて、当時、働いていたお店の店長に「ブーツが入らないんですけどいいですか」と相談したり、「お店の服が入らなくなったら終わりだよ」みたいなことも言われたりしながら、駆け出し時代を過ごしていました。

その後、25~6歳の時に(今の会社の)パルに入社しました。一年目ぐらいは別のブランドのお店で働いていて、結婚を機にガリャルダガランテ(以下「ガランテ」)に異動しました。

それから妊娠出産を経てずっとガランテです。

――アパレル店員と子育ての両立はいかがですか。

やっぱり忙しいですね。自分の気持ちとは裏腹に子どもの体調が悪くなってしまったりもしますし。今は副店長として店頭に立っていますが、年末年始や日曜日などお客様が多く来店されるときに保育園がやっていないので、お休みをせざるを得なくて。そういうときにモヤモヤしたりしながら、時短で働いています。

――このお仕事の魅力は何でしょうか?

お洋服を通してお客様の人生に携わることができることです。お客様がすごく笑顔になられる瞬間があって、それがやはり楽しいですし、お洋服ってパワーがあるなと感じます。

初めて脚を出した動画で「フォロワーさんが一気に3万人増えました」

――インスタグラムの最初の投稿は2022年で、顔を出されていなかったんですね。

出してなかったと思います。「誰得だよ」ってずっと思ってたんです。こんなぷにぷにな販売員の投稿なんて誰が見るの?って。やっぱりアパレル店員は「憧れられる存在」であるべきだって思っていたんです。

だから最初はすごく嫌だなって思いながら投稿していました。

――今では笑顔の投稿ばかりで、最近ではさじーさんコラボのお洋服まで作られました。その間の変化にはどんなきっかけがあったのでしょうか。

2024年に、初めて脚を出した動画を投稿したんです。「実はずっと秘密にしてました」って。そしたらフォロワーさんが一気に3万人くらい増えまして。そこで、いろいろな方から本当にたくさんメッセージをいただきました。「私だけじゃない」とか「こんな人もいるんだ」とか。本当にあたたかいものばかりでした。

その瞬間、私も皆さんと同じように「悩んでいるのは私だけじゃなかったんだ」って嬉しくなって、みんなの力になれたらいいなって思ったのが最初のきっかけだったと思います。

――投稿に対して、中には「チクチク言葉」も届いていると。

届きますね。

そういう方は私の脚が太いことに対して私にコメントしてきてるんですけど、同じように脚が太いことで悩んでいるフォロワーさんもたくさんいるので、不快に感じるコメントを見つけたらすぐ消すようにしています。でも共感してくださる方のほうがずっと多いですね。

――ちなみに、昔の投稿では少し表情も抑えめでしたが、今のキャラクターは多少作っていたりするのでしょうか?

いえ、昔のほうが多分作っていたと思います。今のほうが素の私ですね。アパレル店員はスタイリッシュじゃないといけないというか、そんな風に思っていたんです。でもそのままの素の自分のほうが楽ですし。

――日々投稿するネタに苦労されたりすることもありますか。

私は“伝えたい精神”がちょっと強いほうなのかわかりませんが、私は自分があまりスペシャルな人間ではないと思っているので、とにかく数をいっぱい打つ!みたいな意識で投稿していますね。なのであまりネタに困ったことがなくて。それは日頃からお客様と会話しているからなんだろうなと思うのですが。

――それだけ実際にお店に来られる方も増えたのでしょうか。

ものすごく増えたなと思います。

北千住店はもちろんですが、他店舗にもインスタを見て来店されるお客様もたくさんいらっしゃいますね。

「実は私も『服を試着していいですか』って言うのはすごく緊張するんです」

――最近では「ボディポジティブ」という言葉が聞かれるようになってきましたが、いっぽうで若い人を中心に「やせ志向」も根強くあります。そういう風潮に関して、どのように感じていますか。

そういう風潮がなくなって、みんなが好きに服を着れればもっといいのになって思います。最近だと骨格診断やパーソナルカラー診断などが流行っていますが、「イエベ(イエローベース)だからこの色は絶対に着れない」とか「私、年だからこんなの無理」っておっしゃる方が本当にいらっしゃるんです。自分から閉ざしてしまうというか。だからそういうのがなくならないかな、もっと自由にお洋服を選べればいいのになって、すごく思いますね。

――ファッションに消極的な方もたくさんいると思いますが、そういう方に向けてアドバイスはありますか。

実は私も他ブランドのお店に入って「服を試着していいですか」って言うのはすごく緊張するんです。だから本当にガランテでしか洋服が買えてなくて。で、ガランテではないお店で試着すると「あーやっぱり入らないわ」とか「やっぱりここの形ダメだ」ということがよくあるんです。でも店員の立場になると、やっぱり色んな服を試着して、ときめく一着を見つけてほしいなっていつも思っています。

「遠慮しないでいいんだよ」って。

今、ウェブで買い物がするのがスタンダードになりましたが、でも店頭にわざわざ足を運んで洋服を見るのは、オンラインで買うのとは違うときめきとか高揚感があると思います。洋服屋はそういうのも楽しむ場所ですし、もっと店員側に委ねてもらってもいいですよって思います。

それに、きっと店員さんもみんな何か悩みは持っていると思います。私のように。悩みがない人なんていないのではないでしょうか。

――では、さじーさんと同じ体型の悩みを持つ方に向けて、メッセージをいただいてもよろしいでしょうか。

脚が太いことは恥ずかしいことではありません。恥じることではなくて、チャーミングだと思います。だって、脚って体の50%ぐらい、自分の体の半分ぐらいを占めているんですから。自分の脚が嫌いって言ってる人は自分の半分を嫌いって言ってるようなものです。だから好きになってほしいですし、みなさんがそうなれるような投稿していきたいですね。

店舗の開店前にバックヤードからインタビューに応じてくれたさじーさん。誰しもコンプレックスを抱えているものだが、それを強みに変えたさじーさんの姿は、多くの人の背中をそっと押してくれそうだ。

取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班

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