「子どもが行方不明」「塾と習い事でお金がかかる」“小4の壁”問題に親たちが悲鳴…学童に入れない子どもたちが直面する危険な放課後
「子どもが行方不明」「塾と習い事でお金がかかる」“小4の壁”問題に親たちが悲鳴…学童に入れない子どもたちが直面する危険な放課後

新学期が始まった。生活リズムが変わり、戸惑いを覚える人も少なくない。

子育て世帯にとって大きな問題となっている「小1の壁」が広く知られているが、近年では、4年生に上がるタイミングで直面する「小4の壁」に悩む声も増えている。背景には共働き世帯の増加や放課後児童クラブ(学童クラブ)の受け入れ体制の問題があるとされるが、現場は今どうなっているのか。保護者や自治体、専門家への取材から、その実態を探った。

連絡なしに友だちの家へ…「小4の壁」に直面する保護者の悲鳴

小学生の子どもが4年生に上がるタイミングで訪れる「小4の壁」。

この頃に成長の節目を迎える子どもたちの、心や学習の問題を指す時にもつかわれる言葉だが、最近特に話題になっているのは「放課後の居場所」の壁のほうだ。

自治体によって事情や対応はさまざまだが、学童クラブの入所可能学年が「小学3年生まで」と制限されているケースもあり、保護者はこのタイミングで子どもの放課後の居場所を新たに確保する必要に迫られる。

都内で二人の子どもを育てる父親は、まさに今「小4の壁」に直面しているという。

「ちょうどこの春、子どもが4年生になりました。これまで放課後は学童に預けていましたが、うちの自治体は3年生までしか入れないため、まずは家で留守番をしてもらおうかなと思っていました。

ところが先日、放課後に子どもの居場所が分からなくなってしまって、学校にも問い合わせたんです。そしたら、同級生のお母さんから『○○君、うちに来て遊んでますよ』ってLINEが来て……。

まさか何も連絡を入れずに友だちの家に行ってしまうなんて思いもよりませんでした。帰ってきてから、子どもを怒ってしまいました」

続けて、学年が上がることに伴う思わぬ環境変化についてこう語る。

「小学4年生になると、習い事や塾通いをする同級生ばかりで。うちは中学受験をさせる予定はありませんでしたが、家にいてもゲーム三昧だし、居場所もかねて塾に行かせるかな…と考えています。それにしてもお金がかかるので、困っちゃいますね」

また、小学4年生と1年生の子どもをもつ母親は次のように話す。

「春から子どもが4年生になり、うちの学童は3年生までだから、春休みから駅前の民間学童に通わせました。楽しかったみたいだけど、始業式の日からは学校から帰るとお友だちと公園などに遊びに行っています。

少し前から家の鍵とGPSは持たせていますが、不安はあります。4年生はほぼみんな塾や習い事に通っていて。うちの子は『塾はぜったい行かない』と言っていて、通信教材を始めましたが、あんまり進んでいないようで……悩みは尽きません」

広がる受け皿、それでも埋まらない「学童不足」

こども家庭庁の資料「令和7年 放課後児童健全育成事業(放課後児童クラブ)の実施状況」によれば、実は学童の対象児童を「小学校6年生まで」としている自治体は全体の96%にのぼる(「小学校3年生まで」は2.1%)。

その一方で、登録児童のうち低学年(小学1年生から3年生)が全体の約78%を占めており、待機児童の約3分の1を小学4年生が占めるのが現状だ。背景には、低学年の利用が優先されている実態がある。

子どもの放課後の居場所づくりに関しては、平成19年に文科省と厚労省が「放課後こどもプラン」を創設し、全国での実施を目指して推進している。

その一つに「放課後子ども教室」がある。学校の余裕教室などを活用して、地域とも連携しながらさまざまな活動を行なうというものだ。

入所にあたって保護者の就労要件などが必要となる学童クラブとは異なり、登録すればだれでも利用できる。

東京都でも「東京都放課後子供教室」を実施している。都の資料によれば、事業初年度の平成19年度に38区市町475教室だったが、令和6年度には56区市町村1308教室にまで拡大し、着実に取り組みは広がっているという。

担当者は、「放課後児童クラブと連携して子どもの居場所づくりに取り組んでいきます」と話した。

学童や放課後児童クラブに加え、塾や習い事、民間学童など選択肢は多いものの、費用面などで悩む保護者も多い「小4の壁」。

その課題について、子育てアドバイザーでキャリアコンサルタントの高祖常子氏は、「学童不足」を真っ先に指摘する。

「保育園の待機児童問題を受けて(保育園は)大きく増えましたが、働く親が増えているにもかかわらず、学童は十分に増えてこなかったのが要因としてあると思います。

学童の受け入れ可能人数が少ないために、3年までは入れても、4年生以降は新入生受けいれのために退所せざるを得ないのが現状です」

こうした学童不足の影響は、子どもの放課後の過ごし方にも及んでいるという。

「学童に行かなくなると、保護者も、子どもがゲームばかりしたり、ダラダラ過ごしたりすることが気になり、習い事を詰め込むケースも多く見られます。

親心としてそれは自然なことですが、子どもも朝8時から集団生活をして疲れていますし、4年生にもなれば、友人関係などで悩みを抱えたり、勉強も難しくなってきたりするのでなおさらでしょう。

学童に行かなくなったからといって、塾や習い事で1週間を埋めることに対しては懸念もあります」

「連絡を忘れても過剰に怒鳴ったりはしないで」

では、この「壁」をどう乗り越えればよいのか。

「できれば4年生いっぱいぐらいまでは学童に入れてほしいとは思いますが、難しい場合は、少しずつ家で留守番の練習をすることも一つの選択肢です。

子どもにスマホを持たせないにしても、見守りGPSのボイスメッセージ機能などを活用して『帰ってきたよ』と連絡を入れさせる習慣をつけることも大切です。

ほかにも、地域の放課後子ども教室や児童館、図書館もあります。最近では、一部の地域にはなりますが子ども用のコーナーが完備されている図書館もあります。

あるいは保護者同士で連携してお友だちと遊ぶ曜日を決めたり、子どもと相談して『何曜日は図書館の日、何曜日は児童館の日』などとルーティンを決めてしまうのもいいでしょう」

高祖氏は、子どもが連絡を忘れてしまった場合でも「過剰に怒鳴ったりはしないこと」が大切だと指摘する。

「怒られてしまうと、子どもは『言わないでおこう』となりますから。『心配になるから、行く前にちゃんと連絡を送ってね』と伝えることが大切だと思います」

大きく環境が変わる新年度は、大人も子どもも疲れを感じやすい時期でもある。無理をしすぎず、それぞれの家庭に合った形で「小4の壁」と向き合っていくことが大切ではないだろうか。

取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班

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