〈名古屋〉「熱くて入れない!」サウナが150℃に急上昇…客が機械室を無断操作、警報作動の緊急事態 女性店主が明かした被害の実態
〈名古屋〉「熱くて入れない!」サウナが150℃に急上昇…客が機械室を無断操作、警報作動の緊急事態 女性店主が明かした被害の実態

客が勝手にサウナの設定温度を変えて室温が150℃近くまで上昇、施設全館に警報が鳴り響くというトラブルが発生した。昨年12月に個室サウナで死亡事故が起きたばかりのなか、客による故意で危険を招いたこの事案。

いったい何があったのか、店主に話を聞いた。

機械室を確認したら温度が150℃近くまで上がっていた

4月10日、愛知県名古屋市で昭和32年に創業された『長喜温泉』公式Xの、迷惑行為への注意喚起を呼びかけるツイートが話題となった。その内容はこんなものだった。

〈昨日、男性サウナにて「お客様が勝手に機械室を開け、設定温度を上げる」という極めて危険な迷惑行為が発生しました。一時的に温度が150°C近くまで上昇し、警報が鳴る事態となりました。幸い怪我人はおりませんでしたが、命に関わる大変危険な行為です。(略)現在は対策として機械室の施錠を強化しております。お店の設備を勝手に操作することは、重大な事故や器物損壊に繋がります。絶対におやめください。〉

このポストに対しては「出禁にすべき」「威力業務妨害で警察に突き出せ」など、迷惑客を非難する声がほとんどだったが、なかには「機械室の施錠してないのが悪い」などの意見もあった。

創業者の祖母より事業を引き継いだ三代目店主井上美菜さん(37)は言う。

「9日20時過ぎ頃、1階から3階の全館に警報が鳴り響いたんです。驚いて確認したら2階の男性サウナ室に異常があることに気づきました。

向かうとサウナ室にはお客様はいませんでしたが、入ろうとしたお客様が『熱くて入れない』とのことで、機械室を確認したら温度が150℃近くまで上がっていたんです」

温度が低いと感じたお客様が機械室の設定を変えたのでは…

『長喜温泉』のサウナは、最高120℃の“ストロング系高温サウナ”と10℃まで冷える水風呂の「100℃近いトガッた温度差」が地元民に愛されていた。

それがさらに150℃まで上がっていたというのだ。もちろん井上さんはじめとするその場にいたスタッフが設定を変えたわけではない。

「ふだんは105℃に設定しており、サウナ室が完全に密閉された状態が維持されると最高120℃になります。9日20時に私が確認した時はその設定が120℃設定に変えられてしまっていたんです。この設定にすると、最高150℃まで上がってしまう。もしかしたらですが、温度が低いと感じたお客様が機械室の設定を変えたのではないかと推測しています。私たちが変えることはないので」(井上さん)

その機械室はどこにあるのか。そしてその設定は容易に変えられるものなのか。

「機械室は男性浴場の脱衣所にあり、ふだん施錠しています。鍵は近くに隠してあるんですけど。もしかしたら施錠されていなかったか、そうでなければ鍵を隠した場所を知るお客様が勝手に開けて温度を変えてしまったとしか考えられません。脱衣所には防犯カメラはないので誰がやったかは正確にはわかりません。

誰が出入りしたかはわかりますが、そのお客様ひとりひとりに聞くわけにはいきませんし…」(同)

井上さんによれば「先代が経営していた当時、サウナの温度を上げてほしいというお客さんからの要望が多く、現在の“ストロング系高温サウナ”になった」そうだ。

「先代によれば、もともとサウナの温度はもっと低かったんです。お客様から『もっと上げろ、もっと上げろ』との要望が強く、今の温度が恒例となりました。これまでも『ここは俺の席』とか威張ってしまう方はいましたが、さすがに勝手に温度を設定変更されてしまったのは今回が初めてで驚いています。なによりお客様の命に関わる事態にならずホッとしています。でも、9日20時から閉店の22時までのサウナは中止したので、楽しみにされていたお客様にご迷惑をかけてしまったので、申し訳なかったです」(同)

2022年にも同様のトラブルが…

今回のトラブルで警報器が壊れたため、新しい機材に変えざるを得なくなってしまった。

「機械の修理をできる状態ではなかったので翌日の営業前に修繕しサウナは再開しました。でも来月の請求金額が恐ろしいです。建物は老朽化により毎月様々な修繕費がかかっています。それは仕方ないですが、今回のように人的に壊されるのは複雑な思いです…」(同)

さらに、昨今のイラン情勢の影響が『長喜温泉』にも重くのしかかっていた。

「ウチのサウナもお風呂も重油と薪で温めています。重油は取引先から『来月はもう入れられない』と言われています。

薪は解体業者さんから譲り受けてなんとか凌いでいますが、それも手に入りづらい状況です。来月からどうやって重油も薪も調達しようかと悩んでいるところに、思いもよらない設備損壊と修繕費が降りかかり、本当に頭が痛いです」(同)

名古屋市在住で『長喜温泉』に長く通う医師の40代男性は言う。

「医師的な立場で言うと120℃のサウナと10℃の水風呂は100℃もの温度差があるので長時間入りすぎると体に負荷はかかります。でもたまに刺激がほしくなるじゃないですか(笑)。だからもう5年以上常連です。熱さは耳や鼻が痛くなるほどですが『トガリがほしい!』時にはここに来ます。二郎系ラーメン好きの人がただの食事ではなく闘いだというように、ここの銭湯は自分との戦闘なんですよ」

サウナ好きのあるライターも「120℃はなかなかの暴れ系です。昔ながらって感じです。そういうローカルルール内の銭湯なんだから地元民は節度を持って利用しないと」と言いながら、過去に起きたこのようなトラブルにも触れた。

「2022年にも滋賀県の大津市の銭湯で客によってサウナの温度設定が上げられ、140℃になっていたトラブルが起きました。その当時も死亡者が出てもおかしくない温度だと騒がれていました。都湯では温度設定の機械は移設するか囲いをつけるかなどで対策するとのことでしたが、地元民に支えられている店で地元民が店を苦しめる行為は許せません。

刺激の溢れるこの世界で、銭湯のような『憩いの刺激』を自ら壊すマネはやめていただきたい!」

とにかく室温が熱ければいいという暴走はやめて、節度と温度を守って銭湯は利用したいものだ。

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取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班

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