
レンチブルドッグとボストンテリアの特徴と歴史
まずはじめに、フレンチブルドッグとボストンテリアがどのような犬種なのか、その基本的な特徴と歴史的背景について見ていきましょう。それぞれのルーツを知ることで、より深い理解につながります。
フレンチブルドッグの特徴と歴史
フレンチブルドッグは、19世紀後半(1860年代以降)にイギリスからフランスへ渡った小型のブルドッグが元になったと言われています。
フランスのパリで伴侶犬として活躍し、その後、その愛らしい風貌から貴族や芸術家たちの間で人気を博しました。
陽気で遊び好き、そして人懐っこい性格から、家庭犬として世界中で愛されています。
ボストンテリアの特徴と歴史
一方、ボストンテリアは19世紀後半のアメリカ合衆国マサチューセッツ州ボストンで誕生した、比較的新しい犬種です。
ブルドッグと、現在は現在は純血個体の確認が困難になったしたホワイト・イングリッシュ・テリアなどを交配して作出されました。その名の通りボストン市が原産地であり、「アメリカ犬界の紳士」とも呼ばれることがあります。
スマートで引き締まった体つきと、短いながらもバランスの取れたマズル、そして黒地に白いマーキングが入る「タキシードコート」が特徴的です。賢く、愛情深い性格で、飼い主に対して非常に忠実な一面も持っています。
フレンチブルドッグ・ボストンテリアの見た目の違い

次に、多くの方が気になるであろう、見た目の違いについて詳しく解説します。耳の形や毛色、体型、しっぽなど、それぞれの特徴を比較してみましょう。
特徴フレンチブルドッグボストンテリア耳の形バットイヤー(コウモリ耳)やや小さめの立ち耳毛色フォーン、ブリンドル、パイド、クリームなど多様ブリンドル&ホワイト、ブラック&ホワイト、シール&ホワイト体形がっしり、筋肉質、スクエア、重心が低い引き締まったスクエア、やや小柄で脚が長めしっぽ生まれつき短いスクリューテイルまたはストレートテイル生まれつき短いストレートまたはスクリューテイル耳の形の違い
フレンチブルドッグの耳は「バットイヤー」と呼ばれ、付け根が広く先が丸みを帯びた大きな立ち耳が特徴です。顔のサイズに対して耳が大きく、前方やや斜め外側を向いています。

一方、ボストンテリアの耳は、頭の大きさに比例した中くらいの立ち耳で、フレンチブルドッグほど大きくはありません。耳の先端はやや尖っているか、丸みを帯びています。ピンと立った耳は、彼らの賢そうな表情を一層引き立てます。

毛色の違い
フレンチブルドッグの毛色は非常にバラエティ豊かです。代表的なものには、フォーン(明るい茶色)、ブリンドル(黒地に他の色が混じった虎毛模様)、パイド(白地に黒やフォーンの斑点)、クリームなどがあります。

一方、ボストンテリアの毛色は、ブリンドル&ホワイト、ブラック&ホワイト、またはシール(日光の下では赤みがかって見える黒)&ホワイトが犬種標準として認められています。胸やマズル周り、足先などに白いマーキングが入るのが特徴で、この配色が「タキシードを着た紳士」という愛称の由来にもなっています。

体形の違い
フレンチブルドッグは、ずんぐりとして筋肉質、骨太でがっしりとした体型をしています。「スクエア(正方形)」に近い体型で、特に胸幅が広く、重心が低い印象です。体重は一般的に8kg~14kg程度です。

対してボストンテリアは、フレンチブルドッグに比べるとやや小柄で、より引き締まったスクエアな体型をしています。筋肉質でありながらも洗練された印象で、脚が比較的長く、軽快な動きを見せます。体重は一般的に3つのクラスに分けられ、軽いものでは6.8kg未満、重いものでも11.35kgを超えない程度が標準とされています。

しっぽの違い
フレンチブルドッグのしっぽは、生まれつき短い「スクリューテイル」または「ストレートテイル」が一般的です。スクリューテイルは螺旋状にねじれているか、短く曲がっている尾のことです。ストレートテイルも根元は太く、先細りで短いものが理想とされます。
ボストンテリアのしっぽも同様に短く、ストレートまたはスクリューテイルですが、両犬種とも極端に短い尾が認められるが、個体差が大きい傾向があります。どちらの犬種も断尾の習慣はありません。
フレンチブルドッグ・ボストンテリアの性格の違い

見た目だけでなく、性格も犬種選びの重要なポイントです。ここでは、フレンチブルドッグとボストンテリアの性格について、似ている点と異なる点を解説します。
性格の似ている部分
フレンチブルドッグとボストンテリアは、どちらも非常に愛情深く、人懐っこい性格をしています。家族に対して献身的で、一緒に過ごすことを好むため、素晴らしい家庭犬となります。
また、遊び好きで活発な一面も持ち合わせており、飼い主とのコミュニケーションを大切にします。賢く、しつけもしやすい傾向にありますが、個体差や育った環境も影響します。頑固な一面を見せることもあるため、根気強いトレーニングが必要です。
性格の違う部分
異なる点としては、まずその活発さの度合いが挙げられます。フレンチブルドッグは陽気で遊び好きですが、比較的落ち着いている時間も多く、過度な運動量は必要としません。
一方、ボストンテリアはフレンチブルドッグよりもやや活動的で、運動神経が良い傾向があります。知的好奇心も旺盛で、ドッグスポーツなどを楽しむポテンシャルも秘めています。
また、ボストンテリアは「紳士」と称されるように、ややデリケートで感受性が豊かな面があり、大きな音や飼い主の感情の変化に敏感に反応することがあります。フレンチブルドッグは、どちらかというとマイペースで、物怖じしないおおらかさを持つ個体が多いと言われています。
フレンチブルドッグ・ボストンテリアの飼育に関する違い

実際に家族として迎えるにあたり、飼育のしやすさや注意点、かかりやすい病気、そして飼育コストは気になるポイントでしょう。両犬種を比較しながら見ていきましょう。
飼いやすさの比較
フレンチブルドッグとボストンテリアは、どちらも比較的飼いやすい犬種と言えます。共通して無駄吠えが少なく、集合住宅でも飼育しやすい傾向があります。ただし、これは適切なしつけがされていることが前提です。
ボストンテリアは賢く物覚えが良い反面、神経質な一面もあるため、子犬の頃からの社会化トレーニングがより重要になります。フレンチブルドッグは頑固な一面があるため、一貫性のあるしつけが求められます。どちらの犬種も、飼い主とのコミュニケーションを重視し、愛情をかけて接することで良好な関係を築けます。
かかりやすい病気やケガの比較
両犬種ともに短頭種(鼻が短い犬種)であるため、呼吸器系のトラブルには注意が必要です。特にフレンチブルドッグは、鼻腔狭窄(びこうきょうさく)や軟口蓋過長症(なんこうがいかちょうしょう)といった短頭種気道症候群のリスクが高い傾向にあります。
また、皮膚がデリケートで、アレルギー性皮膚炎や膿皮症(のうひしょう)などを起こしやすいです。椎間板ヘルニアなどの背骨のトラブルも注意が必要です。
ボストンテリアも短頭種気道症候群のリスクはありますが、フレンチブルドッグほど顕著ではないとされています。しかし、眼のトラブル、例えば若年性白内障(じゃくねんせいはくないしょう)や緑内障(りょくないしょう)、膝蓋骨脱臼(しつがいこつだっきゅう)などが比較的見られやすい犬種です。
飼育時の注意点の比較
フレンチブルドッグとボストンテリアに共通する最大の注意点は、暑さと寒さへの対策です。短頭種は体温調節が苦手なため、夏場の熱中症には特に警戒が必要です。
エアコンでの温度管理を徹底し、散歩は涼しい時間帯に行いましょう。
フレンチブルドッグは、皮膚のシワの部分に汚れがたまりやすいため、こまめに拭いて清潔に保つことが大切です。また、興奮しやすいため、過度な運動や激しい遊びは呼吸に負担をかけることがあります。
ボストンテリアは、比較的活発なので、適度な運動でストレスを発散させてあげることが重要です。また、眼が大きくやや突出しているため、物にぶつけてケガをしないように注意が必要です。
飼育コストの比較
初期費用としては、子犬の価格、ケージやトイレ、食器、おもちゃなどの飼育用品代、そして最初のワクチン接種や健康診断の費用などがかかります。子犬の価格は、血統やブリーダー、ペットショップによって大きく異なりますが、一般的にフレンチブルドッグの方が高価な傾向にあります。
毎月の費用としては、ドッグフード代、トイレシーツなどの消耗品代、定期的なトリミングは不要ですが、シャンプーなどのケア用品代、フィラリア予防薬やノミ・マダニ駆除薬などの医療費、そして万が一の病気やケガに備えたペット保険料などが考えられます。
食費は体の大きさに比例しますが、どちらの犬種も中型犬ほど多くはかかりません。ただし、フレンチブルドッグは皮膚疾患にかかりやすく、特別な療法食や治療が必要になる場合があり、その際は医療費が嵩む可能性があります。ボストンテリアも遺伝的な眼の病気など、定期的な検査や治療が必要になるケースがあります。
まとめ

フレンチブルドッグとボストンテリア、どちらも魅力あふれる素晴らしい犬種です。改めて特徴を整理すると、フレンチブルドッグはがっしりとした体型と愛嬌のある「バットイヤー」、陽気でマイペースな性格が特徴で、比較的落ち着いた生活を好む方に向いています。
一方、ボストンテリアはスマートな「タキシードコート」が印象的で、賢く活発、飼い主に忠実な性格を持ち、一緒にアクティブに過ごしたい方におすすめです。
どちらの犬種を迎えるにしても、短頭種特有の健康上の注意点や、それぞれの犬種がかかりやすい病気について理解しておくことが大切です。そして何よりも、犬種ごとの特性を理解した上で、たっぷりの愛情と責任を持って接することが、愛犬との幸せな生活に繋がります。