KinKi Kidsの堂本剛が19歳の頃に出演し、話題となったドラマ「青の時代」。今回は懐かしのこのドラマについて振り返ってみよう。


影のある少年役を任されたアイドル


当時、青春ドラマは一つのトレンドのようになっていた。特にドラマのTBSと称された同局では、同じような題材を扱った「若葉のころ」、「Summer Snow」とまとめて青春3部作と括られることもあった。そして特筆すべきは、この3作全てを同じ役者が主演しているということだ。それがKinKi Kidsの堂本剛である。

アイドルユニットの一員として、歌にバラエティーに引っ張りだこだった堂本剛。他のジャニーズ事務所に所属するタレントと同じように目まぐるしい芸能活動を続けていたが、その中でも彼は卓越した演技力が光り、ドラマでの活躍が印象的であった。代表作と言えば、1995年から1997年にかけて主演を務めた「金田一少年の事件簿」シリーズを思い浮かべる人も多いだろうが、一方で少し影のある少年役に抜擢されることも多かった。
このような役柄を演じさせたら、当時彼の右に出る者はいないのではないかというくらいの存在感があった。

少年犯罪を大きく扱ったセンセーショナルなドラマ


このドラマのあらすじを簡単に紹介しよう。不良グループに属する主人公は屈折した想いを抱えながら日々を送っていた。かつあげやひったくりなどの非行を繰り返しながらも、根は真面目で優しい人柄の彼が人と出会い成長していく様を描いている。純粋な少女や、問題のある弁護士や、売春を繰り返す若者が登場し、それぞれの思いが交錯していく。傷ついた仲間を守ろうとするあまり、結果的に自分自身を傷つけてしまうといったシーンは印象的で、不器用にしか生きられない主人公の苦悩する姿を描いていた。

この作品は当時、メディアでも大きく取り沙汰されるようになった少年犯罪にスポットをあてている。
罪を犯す少年側だけではなくその周りの人間模様も描くことで、社会問題化したこの事象の要因を多面的に炙り出しているのである。また奇遇にも同クールに放送されたドラマ「神様、もう少しだけ」もエイズ問題を扱ったセンセーショナルな内容であった。当時の時代背景を如実に反映し、なおかつエンターテインメントとして昇華させた制作陣の手腕は今でも評価されるべきだろう。

あのタレントも出演していた!


このドラマで話題となった上川隆也の演技力も書かずにはいられない。主人公の弁護を引き受ける弁護士役。しかし実は二重人格の持ち主で、物語全編を通して主人公を苦しめることになる。
無自覚にもう一つの歪んだ人格を発露させる演技は見事だった。視聴者は彼の存在に大いなる恐怖感を抱いたことだろう。

現在、お茶の間を席巻するタレントが密かに出演していたことも記しておきたい。第1話と第4話にゲスト出演したのは、今や癒し系タレントとして定着している優香。当時はグラビアアイドルとしてデビューしまだ人気が出る前で、ドラマでは援助交際をする少女役として出演していた。また、ベテラン俳優でMCもこなすマルチタレントの高橋克実も第2話と第3話に登場。
売春する少年の同性愛の相手役という難しい役どころをこなしている。

KinKi Kidsが歌う同名主題歌「青の時代」も大ヒットしたドラマ。気になった方はもう一度作品に触れてみてはいかがだろうか?
青の時代