茨城の不思議ドリンクに失われた子どもの世界を見た
(上)常陸多賀駅近くのお菓子やさん、(下)茨城県のごく一部で販売されているクリームソーダ味「パレード」(有限会社 コマツ)、100円で売ってました
 北茨城の常陸多賀駅というところへ出かけたときに、左の写真上のお菓子やさんで、「飲めるのか!?」と思わず震える毒のような色をしたドリンクと遭遇。「パレード」というのが商品名で、キャップにはなぜか「寿」と大きくかかれている。
製造は北茨城市にある(有)コマツさんとのこと。

 早速この不思議ドリンクの素性を洗ってみた(取材協力:コマツのおばさん)。
「これはね、もう40年も前からある飲み物。何色を買いました? ああ、にごった緑…”クリームソーダ”ですね。あとはにごってない緑の”パンチ”、”オレンジ”、”ブルーハワイ”、”ラムネ”もありますよ。」
「どこで売ってるかって? こういう飲み物はね、昔は駄菓子屋さんとか子ども向けのお菓子屋さんに卸していたんです。小学校の近くによくあるようなね。
でもほら、最近はそういうお店がどんどんなくなっているでしょう。だからもうほんの少ししか作ってないですよ。売っているのは北茨城市内に1、2軒、日立市に2軒、水戸に1,2軒…ぐらいかしらね…。」
「ウチの近くにもこういう飲料の会社があと2軒あったけどつぶれちゃってね…、うちも家内制で細々とやってるんです。実はよくお問い合わせいただくんだけど、通信販売とかもできないし…茨城のお店で見つけたら買っていただくしかないですね」

 この「パレード」という商品名は(有)コマツ以外にも使っていたことがあるらしく、「昔このパッケージのコーヒー味を飲んだことがある」との声もある。「でも今はほとんど使われていないんじゃないかしらね」とコマツのおばさんは言う。
 
 ちなみにこのパレードは、昔は当たりくじつきで子どもたちに大人気だったとか。
親に「食べちゃダメ!」と叱られる食べ物が昔はたくさんあったよなぁ、と何だか心はセピア色。
 駅前に一軒もコンビニがない町(常陸多賀がそうだった)に行けば、失われた昭和の子ども空間と不思議ドリンクに出会えるかもしれない。なんだかそんな旅に出たい気分である。(みと)