
・ オースター扮するブラックは本人の「ライフマスク」である
オースターの妻で作家のシリ・ハストヴェットは4人姉妹で、ジョン・ケスラーはシリの妹アスティの夫。
・絶版の英語版『幽霊たち』ペーパーバックに会える
「『幽霊たち』は今では『ニューヨーク三部作』が一緒になったペーパーバック版でしか読めないけど、前に出ていた『幽霊たち』だけのペーパーバックのほうがデザインが全然いいんだよね。書体も太目の特殊なものを採用していて、字組みも美しい」と柴田元幸。今回のアート制作にあたり、絶版となっているペーパーバック版『幽霊たち』を古書店などから20冊取り寄せたという。床を丹念に見てみると、ペーパーバック版の表紙やページを見つけることができる。現在の版の表紙とぜひ比べてみよう。
・オースター・ワールドのキーワードがいっぱい
「映画」「ニューヨーク」「野球」といったオースター作品ではおなじみのキーコンセプトを表す写真やポストカードも見どころのひとつ。ファンならさらにつっこんで『幽霊たち』に登場するアイテムを探してみよう。ちなみに柴田元幸は「あ、これは『ウォールデン』の家、これはブルーがホワイトを待ち伏せる郵便局の私書箱。実際にジョンがブルックリンまで行って撮ったらしい」という具合にどんどん見つけだしていた。
「この作品は、前衛芸術好きの人以上に『幽霊たち』が好きな人に楽しんで欲しい」と柴田元幸がいうように、確かにアートはわからなくても(私である)オースターのファンなら結構楽しめる。単行本・文庫あわせて14万部という、オースターの作品の中では日本で最も読まれている『幽霊たち』、読んだことのある人はぜひ足を運んでみては?
【幽霊たち ジョン・ケスラー+ポール・オースター展】
会期:2004年2月24日〜5月9日
会場:メゾンエルメス8階フォーラム
中央区銀座5−4−1 (地下鉄銀座駅B7出口)
開館時間:11:00〜19:00(入場は18:30まで)
休館日:水曜日 入場:無料
ジョン・ケスラー
1957年ニューヨーク生まれ。80年代以降、東洋的キッチュとマシン・デザイン&テクノロジーの共存する作品を多数発表。作家ポール・オースターとは義兄弟の関係。現在、コロンビア大学ビジュアルアート学科長。
(エキサイトニュース編集部 みと)
★オースターの最新刊 『トゥルー・ストーリーズ』。カバーデザインに採用された手書きの英文はオースターの直筆だとか。