
一見しただけではどこがそんなに凄いのか分かりませんね。
フラスコ型の容器を上下に組み合わせ、中にコーヒー色の液体を封入しただけの作りですが、これの楽しさは実際に手に取ってみて初めて分かります。
下部の球体をそっと包むと、体温で暖められた液体が中央の細い管を通ってゆっくりと上側に押し上げられていきます。
全ての液体が上がりきった後が見せ場で、何も無くなった下部の空間からポコポコと気泡が出続け、さながらサイフォン内でコーヒーが沸騰しているかのようなアクションを見せてくれます。
う〜む、素晴らしい!
でもこの商品の凄いところは、その構造もさることながら、むしろボールペン本体にあるのではないかと私は考えます。
他の変り種ボールペンでも言える事ですが、どんなに素晴らしいギミックを考案してもそれを商品として売り出す為のカテゴリーが必要になる筈です。ギミック単体で売るには市場が限られてしまうしインパクトも弱い。キーホルダーやストラップにするには無理がある。
そんな場合に重宝するのがボールペンの存在です。
いかなる物体でもボールペンに付加してしまえば、れっきとした商品に成り得ます。文具や玩具として、お土産として、時には別の商品のオマケとしてあらゆる場所で販売する事が可能になるからです。
え〜と、少し熱が入ってしまい話が逸れましたが、この商品、見た目のお洒落感も相まって実に反響が多く、プレゼントすると喜ばれるペンの上位にランクインしていました。10年近く前までは文房具店などで売っていましたが、現在ほぼ入手不可能かと思われます。
なお余談になりますが、このペンと形状は全く同じで、中の液体が緑色の「ブレインジュース(脳汁?)ペン」なるモノも存在します。パッケージに妙な雰囲気の科学者が描かれてましてなんとも怪しいテイストが漂ってます。こちらなんか特に、ボールペンとしてでなければ、誰も買いませんよねぇ。多分…。
(館長/ボールペン博物館)