先日、朝起きたら、自分が見慣れない場所にいることに気づき、パニック状態になった。

しばらくしてから落ち着いてあたりを見回すと、なんのことはない、単に頭と足の位置が真逆になり、枕の方に足がきている状態になっており、普段起きたときに見る景色と若干違っていただけだった。


筆者の寝相は良い方で、基本的に、寝たときと起きたときの寝相はほとんど変わっていないのだが、年に数回、体の向きが変わるほどに激しく寝相が悪くなることがある。知り合いに聞いてみても、「あるある」と同意してくれる人が、少数だがいる。これは一体どういう現象なのだろうか?

眠りに関する情報提供などを行う「快眠コンソーシアム」のコラムによると、「睡眠は、脳を積極的に休息させる時間。熟睡していれば当然、自分の姿勢をコントロールする脳の運動野、頭頂連合野、小脳の働きも低下します。そのため、姿勢を制御できず、寝相が悪くなりますが、それは、熟睡を示す重要な生理現象のひとつといえます。」とのことであり、寝相が悪い、ということは別に悪いことではない。

また、滋賀医科大学睡眠学講座認定の睡眠指導士で、120年以上の歴史を持つふとん屋さんのオーナーでもある沢田昌宏氏によると、「眠りには、レム睡眠とノンレム睡眠の2種類があります。
レム睡眠は脳が活動状態にあり、ノンレム睡眠は脳も休息状態にあります。夢を見るのは、レム睡眠のときだと言われていますが、このとき、夢の通りに体が動いてしまうと危険なので、身体の筋肉は弛緩しています。しかし、レム睡眠時でも弛緩状態にならない、いわゆる『寝ぼけ』という状態があり、このときに布団の中での体の動きが大きくなることがあります」とのこと。

赤ちゃんや幼児の場合、寝ている間にも体がバタバタ動いたりして、「朝起きたら体の向きが反対だった」ということはざらにあるようなのだが、これはこの「寝ぼけ」の状態が比較的多いために起こるのだそう。大人になると、「寝ぼけ」の状態は減っていき、寝相も落ち着いてくるようである。

これらをまとめると、「朝起きたら体の向きが真逆になっていた」現象は、

・その夜、かなり寝ぼけていた
・その夜、夢の中で激しく体を動かしていた

ということが原因である可能性が考えられる。
寝ながらの姿勢で、体の向きが変わるという動きなので、「柔道で寝技をかけられ、必死で場外に逃げようとした」「プロレスラーで関節技を決められ、必死でロープに逃げようとした」「北島康介と平泳ぎで競った」のような感じの夢を見ていた可能性が考えられるのではないだろうか。

ちなみに、沢田氏いわく、「寝ぼけは誰にでもあることですが、寝ぼけがひどい場合はレム睡眠行動障害である可能性もあるかもしれません」とのことで、普段寝相のいい人が、10日連続で「朝起きたら体の向きが真逆になっていた」場合などには注意が必要のようである。

ただ、睡眠についてはまだまだ分かっていないことも多く、常に新しい発見がなされている。例えば、「寝返り」というのはここで考えてきた寝相の悪さとはまた少し違うのだそう。奥深い睡眠について考えていたら、眠くなってきたので、今日はこれで寝ることにします。
(エクソシスト太郎)