「一般道から利用OK」という高速道路のSA・PAが増えています。なかには、国道沿いのコンビニとほぼ同じ感覚で利用できるところも。

SA・PAは高速道路の利用者だけのもの、という考えは変わってきています。

国道バイパスと近接する絶妙な立地の高速道路PA

 高速道路のSA・PAでは、一般道側からも入場可能なゲートを備えたエリアが増えています。そのなかには、一般道側から見るとほぼ“ロードサイドのコンビニ”というスタイルのところも。実は高速道路のSA・PAは近年、かなり一般道側に開かれてきているのです。

国道沿いのコンビニかと思ったら「高速道路PA」だった!? 一...の画像はこちら >>

駒門PA下り線の一般道側駐車場。ほぼ一般道のコンビニの感覚だ(乗りものニュース編集部撮影)。

 その「一般道のコンビニ」っぽいスタイルのエリアのひとつが、東名高速の駒門PA下り線(静岡県御殿場市)です。国道246号バイパス沿いに立つ「ローソン」の看板のところを左折すると、そこにあるのは「駒門PA」の建屋。その商業施設としてローソンが入居しています。

 高速道路側の駐車場は大型・小型合わせ85台ぶんですが、一般道側にも51台確保されており、うち大型用マスは14台分。建屋とトイレを挟んで高速・一般道の徒歩での行き来はほぼ自由で、“ゲート”の概念すらありません。スマートICも備えており、クルマの出入りも可能になっています。

 駒門PA下り線はもともと別の場所にありましたが、新東名の工事に伴い移設、2017年に現在の位置でオープンしました。付近には自衛隊の3つの駐屯地があり、災害派遣の迅速性確保を考慮して、東名と国道バイパスが近接する位置にスマートICとセットで設計されたものです。

 NEXCO中日本のSA・PAにおける一般道の徒歩出入口は「ぷらっとパーク」という名称がありますが、この駒門PA下り線は、ぷらっとパークに大型車用の駐車マスも設けた初めての例でした。コンビニやフードコート、地元のホテルリゾート「時之栖」が運営する売店などは、当初から一般利用が想定されていました。

施設だけ使いたい 以前からあったニーズ

「ぷらっとパーク」のほか、NEXCO東日本の「ウォークインゲート」、NEXCO西日本の「ウェルカムゲート」を含め、一般道から利用可能なSA・PAは全国で250を超えます。2005年に日本道路公団が民営化されてNEXCOが発足して以降、各社はSA・PAを高速道路利用者だけでなく、地域の人にも利用してもらう方針に転換、ゲートを順次増やしてきたのです。

 SA・PAの運営会社に以前話を聞いたところ、そうしたニーズは近隣に飲食店のない山間部などで昔から存在していたほか、将来的な人口減少で高速道路の交通量が増えないと予測されるなか、SA・PAを地域連携の拠点にする狙いがある――こう口を揃えていました。

国道沿いのコンビニかと思ったら「高速道路PA」だった!? 一般道と“ほぼ一体化” 背景にある“方針転換”
Large 240423 komakado 02

NEXCO東日本のウォークインゲートの例(画像:NEXCO東日本)。

 ちなみに駒門PA下り線、一般道側の交差点の向かいにはホテルがあり、天然温泉の立ち寄り利用が可能(6―25時)なのは嬉しいところでしょう。高速道路の利用中はカーナビも高速モードになるなど、高速道路の施設のみに着目しがちですが、このように一般道側との行き来が可能なところでは、SA・PAに近い施設の利用も視野に入るようになります。

 その一方で、こうした一般道とのゲートを通じ、人と待ち合わせ相乗りで高速道路を利用するといった行為は、認められていません。