火山の熱い噴火で寒くなることがある
これは浅間山ではなく三宅島。中央やや左下の、茶色く窪んだ部分が火口。
避暑地で有名な長野県軽井沢町。町の北側にある浅間山(2542m)が、9月1日、21年ぶりに噴火した。
そして、また14日から活動が確認されている。夏頃には落ち着いてたから、ちょっと驚いた。9月1日は、偶然にも、関東大震災の起きた日だ。

さて、火山が噴火すると気温が上がるようなイメージだが、逆に下げてしまうケースがあるのをご存知だろうか。1991年に起きたフィリピンの大噴火では、煙が太陽の光をさえぎって、世界中で気温が少し下がったとか。火山は熱い。そのエネルギーは強大なのに、寒くなってしまうのは、かなり不思議だ。

火山から流れる溶岩は、何百℃にもなる。火山の近くは確かにすごく熱いけれど、離れていれば感じない。一方、煙は風に乗って広がるから、広範囲で太陽の光が減ってしまう。だから、影響が大きいわけだ。ボクシングに例えれば、噴火の熱さは鋭いストレートパンチ、煙による気温低下はじわじわ効いてくるジャブ、といったところか。


フィリピンの噴火の9年前、地球の裏側メキシコでも大きな噴火があった。この時も約1年の間、世界の平均気温が0.5℃下がったそうだ。0.5℃なんて大したことない、と言うなかれ。これは、過去100年間の地球温暖化を、帳消しにしてしまう数字。噴火で、一時的にだけど、地球の気温が100年前に戻ってしまったわけだ。

浅間山の話に戻ろう。これまで何度も噴火しているけれど、一番有名なのは、今から221年前、1783年の噴火。折しも、世は大飢饉だった。冷夏が続いたらしいけれど、噴火との関係は、古いことでよくわからない。今回の噴火はそれよりはずっと小さい。気温が下がることはないと思うけれど、しばらくは様子を見守りたい。(R&S)
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