
大根が練馬でさかんに栽培されていたのは実は昭和のはじめ頃までのこと。度重なった病気・害虫の流行や、農地の減少により徐々に衰退。そこに代わって現れてきたのは「キャベツ」で、いまや練馬産のキャベツが都全体の出荷量の5割を占めるまでになったという…。全然大根じゃない! 練馬の特産物はキャベツだったのだ。
その証拠に練馬区石神井には「甘藍(キャベツ)の碑」が建立されているとのことで、行ってみることにした。
石神井公園のすぐそばにポツンとそれはあった。等身大(って言っていいのか)のキャベツをかたどった彫刻の下には「練馬区の特産物キャベツを後世に伝え、生産者の労をたたええるため、キャベツの碑を建立する」とある。これだけ堂々と特産物宣言をしているのだから間違なさそうだ。
さらに、「甘藍(キャベツ)の碑」の建立を記念して生まれたという和菓子が大泉学園駅近く「豊月堂」にあった。その名も「キャベツっ子最中」! 「小倉あん」「抹茶あん」「餅入り」など、11種類の味が楽しめるおいしい最中だ。
とはいえ、「キャベツっ子最中」も選ばれている「ねりまの名品21」という名産品カタログには、別のお店の商品、「練馬大根最中」も載っていたりして、和菓子界では、いまもなお大根か! キャベツか! と名物の座をめぐる戦いが繰り広げられているのかもしれない…。(スズキナオ)