
小雨の降る寒い朝、電車に乗った途端にひとりメガネを曇らせているのも、周りの人に気づかれやしないかと地味に恥ずかしかったりする。
メガネが曇るのは結露が発生するため。冬の朝、窓ガラスの内側に水滴が付いているあの現象と同じだ。
結露発生のメカニズムは、湿度と室内外の温度差による。
冬の寒い空気の中、駅までの道を歩くまでにメガネのレンズがすっかり冷えてしまい、電車に乗ると同時に湿った暖かな車内の空気が冷たいレンズに触れて、結露となってメガネを曇らせるのだ。
空気は一定の量しか水分を保持できなくて、その量は温度によって厳密に決まっている。女性がお腹いっぱい食事をした後の発言「甘い物は別腹よ」と同じようには行かないのである。温度が低くなって(メガネのレンズによって冷やされて)空気が持ちきれなくなった水分をレンズの表面に吐き出してしまった結果が結露。室内外の温度差があれば必ず結露が起こると言う訳ではなくて、雨が降るなどして湿度が高くなる必要がある。
東京・大阪・名古屋など、冬の太平洋側は乾燥するので比較的曇りにくかったりするけれど、日本海側の地方では天気と共にメガネも曇りがちではないだろうか。
メガネが曇るのは何も冬の日本だけではない。
カンボジアやベトナム、タイ南部などの高温多湿な亜熱帯モンスーン気候の地域では、夏季や雨季などに同じようにメガネが曇る。
全国に6千万人を超えるとも言われるメガネ所有者にとって、冬はとても鬱陶しい季節。お腹が減ったと店に入ればメガネが曇り、麺類を食べればまた曇り、ゴルフやテニスなど屋外スポーツで曇り、自宅でビデオを見て大泣きしても曇ってしまう。
視力の良い人には体験出来ないメガネマンの冬の風物詩ではあるけれど、そろそろ本格的に曇らないメガネレンズが出てきて欲しいものである。(シロー)