フランスにも戦隊ものが!? 銃士戦隊フランス・ファイブとは
80年代に『愛國戰隊 大日本』というインディーズ特撮があったことをご存知だろうか。エヴァで知られる庵野秀明氏なども製作に携わっていたカルト作品だ。
これに感動したフランス人の若者たちが、なんと『銃士戦隊フランス・ファイブ』というアマチュア映画をつくっていた。なんでも悪の帝王グル・マン・シュウからエッフェル塔を守る、アツい戦隊の物語ということでビックリ! ショッカーによく似た悪の手先や、セクシーな悪役美女も登場する。

日本でも5月末にNHKのデジスタで紹介され、マニア以外の人にも知られつつあるようだ。2000年に第1話が完成、現在までに4話がリリースされており、回を追うごとにクオリティも上がっているらしい。監督のALEXさんはもちろんフランス人なのだが、日本人の奥様を通じてあれこれお話を伺ってみました。まずフランス・ファイブはいつ頃、どのように結成されたのでしょうか?

「5年ほど前にまだ皆が学生だった頃、友達の家で日本の戦隊ヒーローのビデオを観て、自分達もつくってみたいと思ったのがきっかけです。
そして周囲の友達に『こんなこと考えたんだけど一緒にやらない?』と持ちかけ、それがエピソードを重ねるごとに『ボクも参加したい!』など人数が増えていきました」

なるほど、皆さん最初からその道のプロ、というわけではなかったんですね〜。ちなみに、皆さんの現在の職業はリーダーのレッド・フロマージュはSE、ブラック・ボジョレーはネットワークエンジニア、イエロー・バゲットはコスメティックビジネスコーディネーター兼モデル、美しいピンク・アラモードは女優さんなのだとか。博士がアニメ雑誌編集長、悪の帝王グル・マン・シュウさんがアメコミ店店員をなさっているというのはなんかすごく納得〜! って感じです。衣装もすべて手づくりだそうで感心! フランス人が不器用だというのは偏見だったのですね!?

フランスではアニメのコンベンション「カルトニスト」で上映されたり、ケーブルチャンネル局のアマチュア映画紹介等でTV放映もされたそう。ちなみに、現地での反応はどんな感じだったんですか?

「あまり『オマージュとして作った』ということを理解してもらえてません。特撮オタクからは『日本の戦隊モノをバカにしてる』なんて声も届いたり。
パロディとして制作してるととられてしまうことが多く、残念なかぎりです。もちろん、喜んでくれる声もありますが、これは少数派かもしれません」

えっ!? そうなんですか。でも見れば見るほど、特撮への愛があふれる作品に思えるんですが…。それにしても、70年代生まれの私の世代では「ゴレンジャー」が定番でしたが、最近はご当地戦隊やデカレンジャーやらマジレンジャーまで、今だ衰えない戦隊モノ人気。それがついに海を超えてフランス・ファイブまで生み出していたかと思うと、なんか感慨深い気も。

ちなみにフランス・ファイブのwebサイトには日本語バージョンがあり、過去の作品もすべてwebからダウンロードできるので必見ですよ! 現在、エピソード5話の完成をめざして皆さん奮闘中だそうなのでこちらも期待して待とう。
(野崎泉)