野球ファン必読!? 中学野球専門誌が創刊
「中学野球小僧」(白夜書房・1200円)は隔月刊。次号は8月発売です。
ちばあきおの『キャプテン』は、私がこれまでいちばんたくさん泣いたマンガです。天才ばかりがゴロゴロいるいまどきのスポーツマンガと違い、体格も才能も特に恵まれているわけじゃない、ごくふつうの中学生が努力して、努力して、努力して、うまくなっていく姿が胸を打ちます。
中学野球っていいなぁとしみじみ思わせてくれるのです。

そんな中学野球にスポットをあてた雑誌が6月10日に創刊されたことをご存じだろうか? その名も「中学野球小僧」。野球専門誌「野球小僧」の中学生版である。中を開いてみてまず驚いたのは、その内容の濃さ。

まず特集は「レギュラーを奪え」。「野球人生の大半をレギュラー奪還に捧げた男」として、南海や近鉄を渡り歩いた不屈の男、カズ山本のインタビューなどがある。
また、各打順の役割分析や、ポジションごとに「どんな役割?」「どんな性格が必要?」「体のどの部分が強いのが理想?」など、様々な視点からわかりやすく解説。他にも、カウントの読み方、試合直前のメニュー案まであって、実用的で読み応えもたっぷりだ。中学生だけに読ませておくのはもったいない気もするが、そもそもなぜ「中学野球」なのか? 編集部に聞いてみた。

「1年前の2004年6月10日に、初の試みとなる『中学野球でまるごと1冊196ページ!』の『野球小僧・中学野球特別号』を刊行しました。おかげさまで好評を得まして、同年10月に秋冬版、2005年2月に春版、4月に新学期版を刊行し、このたび隔月刊として創刊したんです」と言うのは、編集部の平田美穂さん。

あえて「中学」にこだわる理由については、
「『日本野球を支えているのは中学野球だ!』というところが原点です」と言い、中学生とはどんな時期かということを説明してくれた。

「1つ目に、『将来はプロ野球選手になりたい』『甲子園に出て活躍したい』ということが、まだ素直に言える、夢を見られる年代。2つ目に、グラウンドの広さが大人と同じサイズになり、変化球が解禁となる、つまり、大人の野球への入り口です。3つ目に、成長期を迎え、野球の技術もグンと伸びる時期ですが、監督はたいてい学校の教員のため、野球シロウトの先生が担当する可能性が非常に高い。指導者自身も悩み、うまくなりたい選手も悩むケースですね」
つまり、可能性を伸ばせるかどうかのターニングポイントが、「中学生」ということ。ちなみに、日本全国には約9000の中学校野球部(軟式)があり、硬式のクラブチームは約1100。中学生チームは、なんと1万以上存在しており、これは単純計算で甲子園の予選参加校の倍以上なのだとか。


「日本の野球のピラミッドを、まさに底辺を支えているのが中学野球といえます」(平田さん)
確かに、中学野球にはまだまだ「明日のイチロー」が眠っているかもしれない。中学野球の選手や保護者だけでなく、「野球ファン」はぜひ一度、『中学野球小僧』で野球を原点から学んでみては?
(田幸和歌子)