豪華キャストに注目の映画『サヨナラcolor』
竹中直人と同級生という設定に違和感を感じさせない原田知世もすごい!
その昔、私の中で“笑いながら怒る人”だった竹中直人。でも、いつの間にか映画監督、俳優として当り前の存在になって、だいぶ時が過ぎていた。
それもそのはず、初監督作『無能の人』からほぼ15年だもの。そんな竹中監督の第5作目として公開されるのが『サヨナラcolor』だ。

これは日本が誇るファンクバンド、SUPER BUTTUR DOGの名曲『サヨナラcolor』と同タイトル。というのも、監督自身がまさにこの曲を想起して、脚本にアイデアを織り込んだ作品なのだ。

主人公、佐々木正平(竹中直人)は、海岸沿いの病院に務める医師で、高校時代の同級生、及川未知子(原田知世)のことを20年も一途に想い続けている。そしてある日、未知子が正平の病院に患者として入院してきて……。
と、とりあえずストーリーはここまで。

とにかく、この映画の楽しみのひとつが、“あんなところに、こんな人が”という豪華キャストたち。ちょこっとしか出てこないとはいえ、女医を演じた中島みゆきの存在感、内気な医師役が超ハマり役のウッチャン(内村光良)、正平の同級生役、忌野清志郎の目立ち度もすごい。

ちなみに、正平と未知子の同窓会シーンには集まったのは竹中監督の実際の同級生たちで、撮影現場はなんと母校の図書館だとか。さらに、正平の高校時代のエピソードはほとんど全部、竹中監督の実話だというからビックリ! (それは観てからのお楽しみ!) そして、忌野清志郎は、同級生役なのに、患者としてもエキストラで出ようと病院まできたという裏話も(しかも都内から100キロ近くある久里浜まで自転車で来てたらしい)。でも、さすがにカットされてしまったとか。
さらに、病院の院長役、三浦友和と忌野清志郎のふたりは実際に高校時代の同級生、というのはわりと有名な話。それに看護師役を演じているのは、普段、監督が通っているスポーツジムで働く人=素人だとか。こうしたコネタも知ってから観れば、より楽しいはず!

また、ミュージシャンたちの出演も多数。スチャダラパー、田島貴男、北川悠仁(ゆず)など、まだまだたくさん。そんなキャストたちの名前も最後のテロップで流れるので、「自分はどれだけ見つけられたか?」という楽しみ方もあり。

だからといって、決してお友達映画なんかじゃない。
ピュアで切なくて、どこかホッとするような温かさを感じる、素敵なラブ・ストーリーなのだ。エンディングに流れる『サヨナラcolor』は、忌野清志郎も参加したスペシャル・バージョンでこれも必聴!!(田辺香)

『サヨナラcolor』は8月13日よりユーロスペース、MOVIX本牧にて公開、他全国順次公開予定。