よっちゃんイカのロールス・ロイスは実在した!
(上)みんな大好きカットよっちゃん(下)よっちゃんイカロールスロイスと金井芳雄会長
駄菓子屋さんなどで人気のイカのおやつ「カットよっちゃん」。このパッケージに使われているキャラクター「よっちゃん」(写真上)をあしらったロールス・ロイスがある、という噂を耳にした。
超高級車の代名詞として100年以上世界に君臨し続けるイギリスのブランドとイカの融合……!? その真偽を確かめるべく、Bit取材班はさっそく極秘調査に乗り出した。

が、調査開始後わずか1分で疑惑は解明。な、なんと、よっちゃんイカのメーカー「よっちゃん食品工業株式会社」の「会社案内」欄にふつうに載っていたのである(!)。

この写真だと見えにくいが、イカしたオープンのロールス・ロイスの脇には、確かによっちゃんらしきシルエットがプリントされている。しかし、このページに車についての記述は一切なく、語られているのはスルメ加工の個人事業からはじまった同社が、いまや宝石、貴金属の販売や林業経営など幅広い事業を手がけるようになったという、ごく普通の会社概要。まるで、よっちゃんイカのロールス・ロイスなど珍しくもなんともないかのようなスルーぶりである。


これでは事情が全くわからないので詳細を同社広報に問い合わせてみた。
「もともと弊社は、発売されたばかりのフェアレディZによっちゃんイカの絵を描いて営業車にしたりして話題になったんですよ。広告費をあまり使えない会社ですので、誰もやっていないことをやることで話題になればいい宣伝になるのでは、ということで、今は代表取締役会長である金井芳雄が社長時代によっちゃんイカのロールス・ロイスを作ったんです」

この風変わりな車が生まれたのは今から31年前の昭和50年4月。金井氏は当時のお金で2,250万円で黒いロールスロイス・コーニッシュを購入し、それを金色に塗りなおした上で、フロントによっちゃんイカをあしらったのだった。その大胆不敵な装飾には誰もが度肝をぬかれ(野口五郎が「私鉄沿線」歌ってた時代ですよ!)、狙い通りかなりの話題に。
「ロールス・ロイスの車体にイカの絵を描くなんて! とメーカーからクレームが来たこともあったようですよ」と広報担当者は笑うが、大英帝国が誇る世界のトップブランドのちょっぴり切ない気持ちも、まぁ、わからないではないような……。


ということで、見事「広告塔」として大成功を収めたよっちゃんイカのロールス・ロイスだが、それなりに苦労話も多い。

特に手がかかるのが「よっちゃん」のクオリティ維持。イラストがはげたり汚れたりするたびに何度も手を入れ描きなおし、今のバージョンのよっちゃんは「もう何代目かわからないほど」だとか。また、30年以上も前に購入した車ゆえ、イギリス本国にも部品がなかったり、多少の故障でもやたら修理に時間がかかるなど、メンテナンスに多大なコストがかかるのも悩みの種。

とはいえ、車体は当初の金色からいまや銀色へと塗りなおされ、今でもこのロールス・ロイスはばりばりの現役。来客時などには、そのゴージャス&キュートな車体を動かしてみせては、周囲を楽しませてくれるという。
(エキサイトニュース編集部 みと)