娘の小学校には「副校長先生」がいる。最初は「“教頭”じゃなくて“副校長”なんて、東京はハイカラな言い方をするんだな」と思った。


「教頭」と聞くと、まず思い浮かべるのは、夏目漱石の小説『坊っちゃん』の「赤シャツ」という人も多いだろう。それだけに、なんだか「教頭」より「副校長」のほうがカッコ良さそうな気もする。
だが、実はいま「副校長」は、東京に限らず、全国にいる。とはいえ、「教頭」がみんな「副校長」にかわったわけでもない。
どういう違いなのだろうか。文部科学省に聞いた。


「『副校長』は、職階的にいうと『校長』と『教頭』の間にあたります。校長は『校務を司る』役目で、副校長は『校長を助け、命を受けて校務を司る』役目。教頭は『校長・副校長を助け、校務を整理する』となっています。副校長と教頭との大きな違いは、副校長が校長の命を受けて“副校長自身の権限で決済などできる”のに対し、教頭はあくまで“整理する”役目だということです」
実は「副校長」は、平成19年に法律が作られ、平成20年4月から導入されているのだとか。とはいえ、法律の内容は「置くことができる」というもので、自治体によって置いているところと、そうでないところがあるのだという。

平成22年4月1日付では、全国の副校長数は3449名。

副校長が多い自治体は、東京がダントツの2342名(内、女性441名)。次いで、岩手の689名(内、女性164名)、静岡の118名(内、女性18名)があるが、副校長が全くいない自治体も相当ある。

ところで、そもそもなぜ「副校長」を置くことになったのだろうか。
「教頭はあくまで『校務の整理』ですので、あまりに校長に一極集中していた事情があり、学校のマネジメント的な観点から、校長と教頭の間のポジションを置こうということになったのです」
というと、学校によっては「副校長」「教頭」の両方がいる場合も?
「ありますね。教頭も同様に、法的には『置いてもいい』という役割ですので、いない学校がありますし、副校長と教頭の両方いる学校もあります。大きな高校などは、もともと教頭が二人いるところもあって、一人を副校長にしたりしています。
副校長の選考は、自治体によって面接・論文のみだとか、筆記試験をやるところとか、自治体によって様々ですが、何らかの選考によって決まっています」
東京の場合、法改正前から「副校長」を独自で導入しており、「現実にあわせて法改正をした」のだという。

つまり、ハイカラな呼称でも何でもなく、マネジメントでの必要性から生まれた存在が「副校長」なのでした。
(田幸和歌子)