日本人観光客とペットボトルの口
(上)ワンタッチキャップ(下)ワンタッチキャップを外せば丸口に変身
ニュージーランドでは、ペットボトルの口が、画像のようになっているものをよく見かける。「ワンタッチキャップ」と呼ばれるもので、ニュージーランドでは丸口のもの以外に、このワンタッチキャップが主流だ。
ワンタッチキャップとは、キャップを上げ下げするだけで、開閉できる優れもの。たいていの人は、手で開閉するのではなく、口でキャップを上げたり下げたりしている。

しかし、このワンタッチキャップ。日本人にはあまり馴染みがないのでは? ニュージーランドに住み始めた当初、わたしは、これが、どうも苦手だった。ワンタッチキャップの機能を完全に無視して、キャップの部分をまるまる取り外し、丸口として飲用していたものだ。

そんな私も、さすがに今では、ワンタッチキャップをワンタッチキャップのまま利用している。
が、ニュージーランドを訪れる日本人観光客を見ていると、ワンタッチキャップを丸口として飲用している人の多いこと。以前、観光客相手の仕事をしていた時にも、日本人観光客のご婦人たちが、ワンタッチキャップを丸口にしてお水を飲んでいた。それを見て、ついつい「このペットボトルは、ここのキャップの部分を上げ下げして、このまま飲むんですよ」とお節介。すると、「哺乳瓶で飲む赤ちゃんみたいで恥ずかしい」「口紅がとれちゃいそう」「品がよくないわよね」「飲みにくい」などとおっしゃる。それを聞き、ワンタッチキャップついて説明したにもかかわらず、「その気持ち、よぉーくわかります。丸口でどんどんいっちゃってください」と丸口を奨励した。


日本コカコーラ株式会社では、2002年にこのワンタッチキャップを起用した「アクエリアス」を期間限定で販売していた。日本コカコーラ社に問い合わせたところ、現在は取り扱っておらず、理由については、マーケティング戦略に関わるため答えられないとのこと。実際に普及していないところから察するに、日本ではあまり受け入れられないのかも……。

引き続き、日本人観光客とワンタッチキャップの行方を観察したいと思います。(畑中美紀)