ところで学ランの「ラン」って何?
もう2度と袖を通すことのない学ラン。極端な変形服はともかく、他の服ではなかなか味わえない襟のかたさとか、ちょっと懐かしいッス。
桜の季節も終わり。中学や高校に入学した新入生たちも、そろそろ学校や真新しい制服になじんできたころ。


そんな男子学生服の定番といえば、詰襟学生服、通称“学ラン”。自分も中高6年間の制服は学ラン、高校では応援団に所属して、部活でも学ランと、“どっぷり学ラン生活”だったわけだが、ふと思う。
結局、学ランの「ラン」って、なんだ?

学ランの「学」はまあ、考えなくても分かる。「学生」の「学」だ。でも、ランは何の「ラン」なのか。
長い学ランは「長ラン」、短いのは「短ラン」と呼び、どっちにしろ「ラン」がつく。
ただし、ブレザー制服は別に「ブラン」とか「ブレラン」とか呼んだりしない。詰襟限定の呼称だ。

「カンコー学生服」でおなじみ、尾崎商事にたずねてみたところ、マーケティング部の平尾さんが、こう説明してくれた。
「江戸時代、洋服全般を『ランフク』と呼んでいたんです」
ランフク?
「オランダの『ラン』のことですね。くさかんむりの」
オランダ。おお、阿蘭陀。
「蘭学」など、鎖国時代に西洋のものを指す意味合いで用いられていた「蘭」、アレだ。すなわち、西洋の衣服という意味で、洋服を「蘭服」と呼んでいた時代があったのである。

そうなると、「学ラン」の語源はもう簡単。「学生用蘭服」ということだ。
詰襟学生服が登場するのは明治に入ってからだが、途中で「学生用洋服」、通称「学ヨウ」とはならなかったようで。

ところで、現在ではイメージ戦略や変形制服対応など、様々な理由から、学ランからブレザーに切り替えている学校が増えてきているようだが、現在の学ラン率はどんなもんなのだろうか。

平尾さんによると、
「だいたい、高校は8割ぐらいがブレザーになっているかと思います。ただ、中学になりますと、比率が逆転し現在も7対3で、詰襟のものが多いようです」
と、中学ではまだまだ学ラン優勢が続いているよう。

ブレザーだと、「第2ボタン」をもらったり、裏地に凝ってみたりとかいうことも、そうない。その江戸時代から続く「ラン」という呼称とともに、ずっと残っていってもらいたい気もするな。
なんとなく、がんばれ、学ラン。
(太田サトル)