種なしオリーブの種はどうやって抜き取られてる?
種を抜き取られた「種なし」オリーブ。左が私を惑わせた?! 例のバツ印
ワイン好きの私にとって欠かせないのがオリーブ。
「種あり」から「種なし」、アンチョビやアーモンドなどを詰めた「スタッフド」まで、瓶詰めされた輸入品がいろいろ販売されているので、常になにかしらストックしている。


中でも一番食べやすい「種なし」のオリーブをよく食べるのだが、食べる度に気になっていたことがある。きれいに抜き取られたオリーブの種は、一体どうやって抜き取っているのかということ。

見れば、種が抜き取られたオリーブには、おしりの部分にバツ印がついている。もしかして、手作業で抜き取っては、「抜き取りました」というサインのバツ印をつけてたりして?!

というのも、以前、パンの工場でアルバイトをしていた友人から聞いた話を思い出したのだ。それは、ぶどうパンの上に散りばめられているぶどうを、手作業で均等にばらまいているという話。うそだ〜、と思ったけれど、実際にやっていた友人が言うのだから本当なのだろう。
これは小さな工場の話だったかもしれないけれど、ちょっとしたカルチャーショックだった。

さらに、こんなことも浮かんだ。オリーブの輸入品はたいていヨーロッパ産。ヨーロッパでは、しかけ本や、手間のかかる仕様の本など、どうしても機械ではできない作業の本が、意外にも多く作られている。つまり、手作業で作っているということだ。日本でもそういった本はあるけれど、コストがかかるので国内ではあまり生産しない。
でも、もしかしたらヨーロッパでは、手作業の文化? みたいなものがポピュラーで、本に限らず、食品などいろいろな場面で通用しているのではないか、と。

そんなわけで、ますます想像力はふくらみ、工場内にたくさんの人たちが並んで、オリーブの種をひとつひとつ抜いた後、チェックのバツ印をつけているイメージまで浮かんでは消え……。

そこで、さっそく真相を確かめるべく、オリーブを輸入している複数の会社に尋ねてみた。
すると、答えはどこもきっぱり、「機械でやっています」であった。普通に大きな専用の機械があって、流れ作業で進められるのだ。

中には、「もしかすると、こだわりのある小さな農家などは手作業でやっているところもあるかもしれない」という話もあったが、「輸入されている商品はほとんどが大量生産のため、現実的に手作業だと間に合わず、コストもかかりすぎてしまうので無理」なのだそうだ。


やっぱり……。
まさか、とは思っていたのだが、手作業の可能性を考えてしまうと、どうしても確かめずにはいられないのだった。でも、これでようやくスッキリ。これからは余計なことを考えず、美味しいオリーブが味わえる!
(田辺 香)